タイトル戦は、王将戦七番勝負で挑戦者の久保九段が開幕2連勝、女流名人戦でも挑戦者の上田女流が開幕2連勝を飾っています。
また、加藤一二三九段の引退が決定。しかしその翌日に史上最年長勝利をあげるというのが素晴らしい。多くのメディアが加藤九段について特集したりコメントを放送したりしました。
日本将棋連盟では、谷川会長、島朗理事が辞任を発表しています。
1月18日
日本将棋連盟の谷川浩司会長が辞任を発表。
一番の理由としては体調不良だということですが、メディアは事実上の引責辞任と伝えたところもありました。以下、詳しい会見の内容。
「寝つけず」「早い段階で手を」将棋・谷川会長一問一答:朝日新聞デジタル
三浦弘行九段の復帰戦が、2月13日の竜王戦1組ランキング戦の羽生善治三冠戦だと発表されました。
第三者調査委員会の報告書、公開された版とは別に、ドラフト版が存在した件。連盟の渉外部広報課の担当者「手違いでドラフト版を公開状態にしてしまった」経緯について広報担当者は「こちらからお答えできることはありません」。
将棋不正疑惑、公開された報告書とは別の報告書が存在 連盟広報「お答えできることはない」
昨日は、冷静さが足りなかったと反省。自分ルールを変えて、もう少し話せるものを増やしていきます。昨日受けた説明で、第三者委員の報告書についてありました。連盟は一切手を加えてなく、ドラフト版とされるものは、手違いでアップされたみたいです。どちらも第三者委員が書いたものということです。
— 大平武洋 (@oohira0511) 2017年1月24日
1月19日
日本将棋連盟の谷川会長の辞任が、理事会で承認されました。島朗常務理事も辞任。
臨時総会は2月6日(月)に開催。新理事2名を選任。その後の理事会で(現在の理事を含めた互選で)新会長が決定。
C級2組順位戦の結果、同順位戦に参加している史上最年長棋士の加藤一二三九段は、3つめの降級点が確定(加藤九段は対局がありませんでしたが、他の棋士の対局の結果で)。この結果、規定により加藤九段の引退が決定しました。
加藤九段がコメント発表。
「まだ、今後の対局も残っており、全力投球する所存ですので、進退に関するコメントは最後の対局が終わってからに致したいと存じます」
”ひふみん”加藤一二三九段、今期限りで現役引退…77歳で資格喪失 : スポーツ報知
1月20日
日本将棋連盟の理事選に、佐藤康光九段が出馬の意向。次期会長候補に。
元名人の佐藤康光九段、理事選出馬へ 日本将棋連盟:朝日新聞デジタル
サイバーエージェント系(テレビ朝日も出資)のネットテレビ「AbemaTV」に「将棋チャンネル」が開設されると発表。2月1日に開設され、同日9時からは「第75期順位戦A級8回戦」の4局が放送されるとのこと。オリジナル番組や藤井聡太四段の番組も予定されているそうです。
インターネットテレビ局「AbemaTV」にて新たに「将棋チャンネル」を開設 棋界でもっとも格式と歴史のある最高峰の棋戦「名人戦」を生中継 | 株式会社サイバーエージェント
第88期棋聖戦二次予選△加藤一二三九段vs▲飯島栄治七段は、98手で加藤九段が勝利。これで加藤九段は、史上最年長対局記録に続き史上最年長勝利記録も更新。しかも勝った相手は今期B1の飯島七段。さらに同予選、次の相手は佐藤天彦名人。
本日の将棋・勝ちました!
— 加藤一二三@28日14時TBSラジオ出演 (@hifumikato) 2017年1月20日
加藤一二三九段が史上最年長勝利「残る対局を頑張る」:朝日新聞デジタル
加藤九段、引退を語る。
報ステに加藤一二三九段。引退について(1)
ご本人は「引退にはならない」と言う。
加藤九段「刀折れ矢尽きての引退ではなくて、刀も矢も持ったままで、まだ十分ですね、これからの対局にもですね、情熱を込めて熱闘する意欲は十分持っている。『元棋士』ではなく、『棋士』なんですね」
— 将棋ワンストップ (@shogi1com) 2017年1月20日
報ステに加藤一二三九段(2)
「モーツァルトとかベートーヴェン、あの大天才の作品は今でも、世界中に喜びを与えている。私の指した名局というものは、棋士として、はっきり言って、大変高いレベルの将棋を指してきた。生きる楽しみ、喜びを与えていると思っています」
— 将棋ワンストップ (@shogi1com) 2017年1月20日
報ステに加藤一二三九段(3)
公式戦で対局できなくなるが?
「はっきり言ってそれは寂しいですよ。今まで情熱を込めて戦ってきましたから。私も感動する立派な将棋を指してきた。負けてもいいと思ったことは一度もない。すべて勝つために努力してきた。この気持ちには、これからも変わりはない」— 将棋ワンストップ (@shogi1com) 2017年1月20日
報ステに加藤一二三九段(4終)
人間がコンピュータに負けたりしているが?「精魂込めて、芸術の領域まで高めた将棋を指してきた人間としては、心血注いた棋士の能力がコンピュータに劣ると思われるのが、極めて心外なんですよ。私がコンピュータと戦えば、私が先行逃げ切りで勝てる自負がある」
— 将棋ワンストップ (@shogi1com) 2017年1月20日
今日の加藤一二三九段戦は完敗でした。私の得意の戦型で途中までは形勢不明だと思ったんですが、加藤先生の8四角から局面が一変しました。全く読みになく、64手目75馬の局面はもうダメのようです。48手目、88歩に22歩と打つしかなく、これでも自信がないですが、こうやるしかなかったです。
— 飯島栄治 (@eijijima) 2017年1月20日
22歩と打たなかった以外は悪手らしい手はなく、完敗の内容でした。ちょっと調べてみないとわかりませんが、私が四段だった頃14、5年前に加藤先生と対戦した時に完敗した将棋を思い出しました。これを経験にして次を頑張っていくしかありません。
— 飯島栄治 (@eijijima) 2017年1月20日
ひふみん、永久に不滅。
ひふみんは永遠不滅です
その気迫で
これからの人生も全身全霊で闘い抜きます— 加藤一二三@28日14時TBSラジオ出演 (@hifumikato) 2017年1月20日
引退報道によりひふみんが表舞台から消えてしまう可能性を案じる方もおられるようですが、全くの杞憂です。
『人生は生涯現役』の信念に基づき、公式戦には出場できなくなりましても、テレビ出演、書籍執筆、講演会、イベント出演、将棋教室等すべての活動にこれまで以上に精力的に邁進する所存です。— 加藤一二三@28日14時TBSラジオ出演 (@hifumikato) 2017年1月21日
ひふみんは幸いなことに
77歳を迎えた現在も
体力、気力、知力、情熱、意欲、食欲、そのいずれにも限界や衰えを、微塵も感じないのです。
神様から贈られた才能を存分に発揮し得る環境を与えられている以上、それを最大限に活かすべく生きてゆくことは、ひととして当然の務めではないでしょうか?— 加藤一二三@28日14時TBSラジオ出演 (@hifumikato) 2017年1月21日
野月浩貴七段が八段に昇段。
野月浩貴七段が八段に昇段 https://t.co/5hIxvkRcph
対局終わって事務局に顔を出したら、明朝ではなく今日発表してくれるとのことでした。
引き続き精進していきたいと思います。
先に対局終わった組から呼び出しメールが来たので合流。— 野月 浩貴 (@nozuki221) 2017年1月20日
1月21日
YASUAKI!!
泰明!!!(笑) pic.twitter.com/Iu2iJPTIzR
— 塚田恵梨花 (@erika_hana_) 2017年1月21日
最近、屋敷九段に深い興味をいだいています。
リコー合宿にお邪魔しています🌸
これからリレー将棋💫
屋敷先生、真梨花さんと一緒です😉🍀 pic.twitter.com/I9KTUmFCmm— 渡部 愛(わたなべ まな) (@nanu_ke) 2017年1月21日
1月22日
女流名人戦五番勝負第2局 ▲里見香奈女流名人vs△上田初美女流三段は、104手で後手の上田女流が勝利。
序盤から乱戦、長考合戦になりましたが中盤以降後手が良かったようです。上田女流は開幕2連勝でタイトル奪取へあと1勝に。
#ShogiLive 石田直裕>序盤から両者妥協を許さない展開で見ごたえがありました。桂得したあたりはわずかに上田女流三段が指せると思いましたが、実戦的には竜も大きいですし、居玉なのでまとめるのは大変とみていました。しかしそこからの指し手は正確で一手も悪い手がなかったと思います。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) 2017年1月22日
#ShogiLive 石田直裕>里見女流名人も悪手はなかったと思いますが、▲3八銀を立てなかったりと少しずつ損してしまったのかもしれません。終盤も一番な嫌な手で粘っていたと思いますが、時間のない中冷静に寄せきりました。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) 2017年1月22日
#ShogiLive 石田直裕>これで上田女流三段の2-0で奪取に王手です。二局とも内容が良く、充実されているのを感じました。しかし、里見女流名人はここから強いですから巻き返しを期待したいと思います。本日はご観戦ありがとうございました。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) 2017年1月22日
エライことになってきました!本日の女流名人戦第2局も、上田の初ちゃんが勝利で2連勝となりました。局面は里見さんの追い上げで怪しくなる場面でしたが、ここで鬼手△5一金がはっとする切返しです。第1局が5一角の妙手と、5一の地点に女神はいるようです。 pic.twitter.com/57g1g9kSxU
— 伊藤果 (@hi1844) 2017年1月22日
上田女流三段が連勝しタイトル奪取に王手「自分が読んだ手をしっかり指せた」 : スポーツ報知
1月23日
山陰地方、記録的な大雪。
雪の為飛行機が欠航となり、陸路で帰ります。長旅になりますが痛恨の詰パラ忘れ。無事に今日帰れるといいのですが…(*´-`)
— 上田初美 (@ueda823) 2017年1月23日
女流名人戦連勝の上田も雪に勝てず!欠航&運休で足止め連泊 : スポーツ報知
加藤一二三九段、街頭インタビューを受ける!?
TBS「ビビット」。新コーナー「シニアリサーチ」の街頭インタビューに、将棋大好きの加藤一二三さん(77)登場。
人生で一番の修羅場は?
加藤さん「1982年に第40期名人戦というのを戦いまして。9割5分負けてる将棋を逆転勝ちしたんですね。これはやっぱり修羅場ですよね」(続く)
— 将棋ワンストップ (@shogi1com) 2017年1月23日
(続き)TBS「ビビット」街頭インタビューに加藤一二三九段。
下の歯はどうされたんですか?
加藤九段「一言で言うと、かつて若い頃に歯を入れて頭が働かなくなったので、歯は治療しません。将棋指す意欲がまったくゼロになりますから(中略)ある意味人生最大の危機は歯の一件でした」(終)
— 将棋ワンストップ (@shogi1com) 2017年1月23日
下の歯がない理由って、深く考えたことなかったですが、こんな深い理由が。
ところでこの街頭インタビュー、一部で「偶然インタビューされた」とか、逆に「テレビ局の仕込みではないか」とか、言われてます。
実際は、この日、同じ番組(ビビット)の中で加藤一二三九段の引退を特集しており、その後のコーナー(シニアリサーチ)で加藤九段が街頭インタビューを受けていた、ということで、まあ番組のシャレみたいなものですね。
夜には、ニコ生で加藤一二三九段の特番もありました。
超おもしろかったです。
「名人戦に勝利できたのは“運”」引退が決定した生ける伝説棋士・加藤一二三が将棋人生を語る
連盟、月例報告会。
今日は将棋連盟で、棋士に対する月例報告会が開かれました。谷川会長と島常務理事の辞任が報告され、一連の経緯が説明されました。一部の棋士からは、他の理事らの辞任を求める声も上がりました。
— 村瀬信也 (@murase_yodan) 2017年1月23日
一部棋士から青野理事ら5人の理事の辞任を求める声があり、執行部は臨時総会で5人の信任投票を行うかどうかを検討する方針を示した。
将棋ソフト不正疑惑、棋士に説明 理事の辞任求める声も:朝日新聞デジタル
会は4時間弱だったとのこと。また、上記の朝日新聞の記事では「理事の辞任を求める声があり」でしたが、スポニチでは「他理事の信任を問う請求書が提出され」とのことでした。
1月24日
第66期王将戦七番勝負第2局△郷田真隆王将vs▲久保利明九段は、113手で先手の久保九段が勝利。
先手の勝勢になっていた最終盤は何か事件が起こる予感もしましたが、結局先手が攻め切って、これで久保九段は開幕2連勝。
#ShogiLive 七段 窪田義行>夏芽様他担当者の皆さん、お疲れ様でした。本局は先手としては損な序盤作戦に思えて首を捻りましたが、後手も7三桂を保留しつつ8五桂ポンに反撃する駒組みが優ったかも知れません。それでも、封じ手の▲6九飛は蛙跳びパンチを狙う様な渾身の一着でした。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) 2017年1月24日
#ShogiLive 七段 窪田義行>堅陣かつ1歩得で模様良しのはずが、具体的な手が見えにくいながら長考一番の△8六歩は流石の郷田王将流でした。今度は、久保挑戦者が銀得ながら不本意な展開に甘んじた印象です。71手目▲5二角に、△3一桂以下徹底抗戦の研究手順は興味深いです。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) 2017年1月24日
#ShogiLive 七段 窪田義行>角金銀対二枚飛車他の攻め合いからは、先手の針の穴にらくだを通す様な攻めと攻防一如の玉捌きが絶品でした。後手は際どいながら、攻防にもう半歩の伸びを欠いた印象です。ともあれ、第3局は今度こそ郷田王将が半歩の伸びを見せて制するか興味深いです。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) 2017年1月24日
#ShogiLive 七段 窪田義行>皆さん、両日に渡り様々な媒体及び形式でご観戦頂きありがとう御座いました!昨今の情勢により、日本将棋連盟に対して様々な思いはおありにせよ、私も含めた正会員他構成員は最善を尽くしたという確信をお持ち頂ければ、これに優る喜びはありません。
— 日本将棋連盟モバイル (@shogi_mobile) 2017年1月24日
久保九段連勝!郷田王将110分の大長考退けた!― スポニチ Sponichi Annex 社会
おわりに
谷川会長が辞任。私、身近に谷川会長のファンがいまして(その人は、将棋の内容はほとんどわかっていないので、谷川会長のどこが好きなのかは今度聞いてみたい)、複雑な思いでした。
次期会長も批判にさらされるだろうなと思うと、それもまた複雑な思い。
棋士は対局が最も大切なはずなのに、その結果が不当に歪められた疑いがあったり、理事職に就くことによって対局に支障がでてしまうのではないかと危惧するのは、辛いですね。
日本将棋連盟を「社員200人あまりの中小企業」と表現することもありますが、これはかなり実態と違うと思いました。どっちかっていうと、芸能プロダクションとか、スポーツチームのような感じ。
所属タレントや所属選手が200人あまりで、運営は10数人の理事(しかしプレイングマネージャーである)+職員(何人?)で回している感じ。
しかも理事といったって経営やマネジメントの経験が十分なわけではないでしょうから。我々のように、最初は一人の後輩、その後数人のチーム、徐々に数十人の組織の管理を任されて・・・といったルートではないので。もちろん能力がないやつは脱落していくし、そういう出世過程で周りの信頼も得ていくのが普通。そうやってトップになる。
さらに連盟の場合、株式会社でいうと議決権を持つ株主にあたるのは、所属の棋士たち。つまりマネジメントの対象者、我々で言えば部下、芸能プロダクションで言えば所属タレント、スポーツチームでいえば所属選手が議決権を持っているという構図。
これは連盟の舵取りはそうとう難しいと思ったほうがよくて、次期会長もご苦労が多かろうと思います。