2015年4月27日の読売新聞夕刊の「本よみうり堂コミック館」のコラム「マイ・ヒーロー」に、渡辺明棋王が登場しています。
マイ・ヒーローとして挙げているのは、漫画「3月のライオン」の登場人物。
自らと同じく中学生でプロ棋士となった主人公・桐山零ではなく、親友でライバルの二海堂晴信です。
二海堂は、腎臓の病気を持つが明るいキャラクターという棋士であり、モデルは故・村山聖九段だという話もあります。
私(管理人)の不勉強で、村山九段、3月のライオンともにほんの少しの知識しかないのですが、コラムは大変興味深いものでした。
中学生棋士に憧れた
渡辺棋王はコラムの冒頭で、歴代の中学生棋士(加藤一二三九段、谷川浩司九段、羽生善治名人)とその実績を列挙し、
中学生でプロになればトップ棋士として活躍できると信じていた
と述べています。
実際それを本人曰く歯を食いしばって
達成します。史上4人目の中学生プロ棋士。
そして3月のライオンの主人公である桐山零もまた、中学生でプロ棋士となった登場人物です。
主人公に自分を重ねる
渡辺棋王は、コラムの中で自らの経験を桐山に重ねています。
桐山は、中学を卒業した後1年間進学せず、その後高校へ入学。その高校生活も悩み多きもので、一方、将棋の成績も思うようにあがらないという状態。
渡辺棋王も、自らの高校時代について、
それほど活躍できなかった。普通の高校生活が楽しかったのだ
と述べています。なお「それほど活躍できなかった」という成績は以下です。
2000年度 25勝13敗 0.658
2001年度 24勝15敗 0.615 竜王戦5組昇級
2002年度 34勝12敗 0.739 竜王戦4組昇級、順位戦C級1組昇級を決める
ライバルで親友
そんな主人公のライバルで親友が二海堂晴信。渡辺棋王は、二階堂と村山九段との共通点について
みんなに愛されるキャラクター
だと述べています。
そして渡辺棋王はかなり昔から二海堂晴信が大好きだったようで、なんと、7年も前、3月のライオン第1巻発売日の翌日の渡辺明棋王ブログに、以下のような感想が書かれています。
とても面白かったです。特に二海堂君は最高です。92Pとか。
7年も同じキャラクターを愛し続けるとはすごい。92ページ、読みたくなったでしょう。
それにしても、自分と共通点が多い桐山ではなく、そのライバルで親友の二階堂がマイ・ヒーローというのは面白いところ。
中学生棋士ともなれば、普通の人より何年も早く過酷なプロ生活に入るので、その苦労は想像に難くないと思います。その側にいる二階堂がヒーロー、というのは実体験をしている渡辺棋王ならではの感覚かもしれません。
羽海野チカさんに感心
コラムでは、3月のライオン作者の羽海野チカさんの取材力・描写力にも言及しています。
二階堂と先輩棋士が意見をぶつけあい、桐山がそれに油を注ぐシーンに
棋士の立場で読んでもクスリとする
と感想を述べています。ますます読みたくなる。
渡辺棋王にとっての二階堂は・・・?
ところで、渡辺棋王にとってのリアル二海堂君は誰なのでしょうか。
私のイメージですが、渡辺棋王は同年代の棋士を中心に交友関係が広いような気がします。なので、リアル二階堂君は一人とは限らないかもしれません。
ちなみに、この読売新聞の夕刊が発行された頃の渡辺棋王の様子は以下です。
ベネチア行きの電車に乗っています。昨日と同じ構図の写真を撮ると、「毎日、同じ服だとなめられるからね」と渡辺棋王。 pic.twitter.com/cnvOUNpjsF
— おおかわしんたろう (@00lll) 2015, 4月 27
というわけでコラムのご紹介でした。詳しくは4月27日の読売新聞夕刊を購入しましょう。
以上、ありがとうございました。