ドラマ「となりの関くん」で将棋回。裏切り者の金将、銀将の子供の誕生などが示す将棋というゲームの価値観

森繁拓真さんの学園コメディ漫画で、アニメ化もされた「となりの関くん」が、7月下旬から実写ドラマとして放送されています。

同じく漫画が原作の「るみちゃんの事象」との2本立てのドラマ「となりの関くんとるみちゃんの事象」(MBS系、TBS系)です。

このドラマ「となりの関くん」の第2話(2時間目)は将棋回でした。

ドラマ「となりの関くんとるみちゃんの事象」(MBS)

この記事では、「となりの関くん」の将棋回のストーリーを簡単に紹介し、将棋ファン視点での感想を述べたいと思います。

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キャストと設定

まずキャストですが、男子生徒の「関くん」こと「関俊成」を渡辺佑太朗さんが、隣の席の女子生徒「横井るみ」を清水富美加さんが演じています。

設定は学校の授業中。

2人は隣の席に並んで座っています。

予告動画はこれです。

以下の「あらすじ」の見出しは、ドラマを見ていない方向けです。ドラマを見た方は、「金将の裏切り」の見出しまで読み飛ばして下さい。

あらすじ

平和だった先手の王国に、異変が起きた。

王将を守る側近中の側近であるはずの金将が、突然クーデターを起こし、王将を真っ二つに引き裂いたのだ。

金将は王将の「王」の部分を自らの頭にかぶせ「王金将」を名乗った。

しかし、一夜にして王になった明智光秀的存在の王金将を支持する駒は軍内部に存在しない。

王金将は孤立する。

軍は王金将に退陣を迫るが、王金将は盤上に落とし穴などのトラップを仕掛け対抗。

さらに、「銀将の子供」を人質にとるという卑劣な手段を用いて、全軍を自らに従わせることに成功する。

後手軍の野望

一方、後手の王国は、先手の王国の混乱に乗じて領土を拡大する野心を見せる。

国内で「偽王」呼ばわりされている王金将が率いる先手軍は、後手軍にすっかり包囲された。

ジリジリと迫る後手軍。

駒割は先手軍の「玉損」。これでは先手軍に勝ち目はない。

リーダーの逃亡

窮地に陥った王金将は、いち早く戦場から逃亡。

クーデターで王将を失い、そのクーデターを首謀した新リーダーの王金将をも失った先手軍は大混乱に陥る。

駒損は拡大。

王国は投了の危機に晒される。

その時!

先手陣の最前線に突如現れた小さな駒が・・・。

それはあの人質だった「銀将の子供」。

謎の駒

銀将の子供は後手軍に前に立ちふさがる。

しかし所詮子供は子供。そもそも銀将の子供なんていう駒は将棋にはない。

後手軍にナメられる銀将の子供。

その時!!

先手陣の奥深くからノコノコと謎の駒が登場。

「将」の文字が見えるが、頭が隠されている。

その駒が後手軍の兵どもを次々になぎ倒す。

強い!これは誰だ!!

謎の駒は銀将の子供に近づき、隠された頭を露出させる。

頭がない。

これは!!

王将の帰還

金将に裏切られ、真っ二つに引き裂かれた前王将の「将」の部分だ!

「将」だけになったとはいえ、王将の帰還に先手軍は沸き返る。

帰ってきてくれた!!俺達の王将だ!!

「将」の獅子奮迅の大活躍により後手軍は撤退。

ここに先手の王国の平和が取り戻された・・・?

ところが。

動かない将

「将」は、その場にうずくまり動けなくなる。

やはり引き裂かれた体での無理がたたったのであろう。

自らの最後の力で後手軍を撤退させたのだ。

動かない「将」。それを心配そうに介抱する銀将の子供。

その時だ。

銀将の子供が何者かにぶっ飛ばされる。

誰だ!!!!

えええええ!!!こいつは!!

偽王の帰還

なんと、銀将の子供をぶっ飛ばしたのは王金将。

王国を裏切り、戦場からいち早く逃亡した偽王だ。

先手軍の勝利を聞きつけ戻ってきたのだろう。

動けなくなった「将」を蹴り痛めつける王金将。

奴にはもう誰も逆らうことができないのか。

王国の希望

いや、王国には希望がある。

王金将の強力なパワーで遥か彼方の別の大陸までぶっ飛ばされ、そこに不時着した銀将の子供だ。

銀将の子供はこの大陸で十分な力を蓄えた。

そして、王金将との最後の決戦を決意する。

以上が、関くんの机の上で発生した事件です。隣の席の横井るみは終始先手を応援していました。

金将の裏切り

この話は「金将の裏切り」から全てが始まっています。「金将の裏切り」は普段、我々が将棋を指していても理不尽に感じることだと思います。

つまり、将棋の守備陣形である矢倉囲いや美濃囲い、穴熊などにおいては、金は自玉を守る存在です。ところが中盤から終盤にかけてその金が相手に取られて持ち駒にされ、その持ち駒を自玉の頭に打ち込まれて詰まされるなんてことは日常茶飯事です。

以下の図は、振り飛車の代表的な守備陣形である美濃囲い。

kifu20150806-0手

固そうな美濃囲いも、何かの拍子に金が1枚取られれば・・・。

以下の局面、後手から3手詰があります。

kifu20150805-00手

△3六桂が強烈。

kifu20150805-1手

これは取れない(歩で取れば敵の角が自玉を直撃)ので、玉は1八か3九に逃げることになりますが、どちらに逃げようとも裏切り者の金を2八に打たれて詰みです。

kifu20150805-3手

金は自玉の守りについていてくれる分には頼れる存在なのですが、一旦裏切られると敵の強力な攻め駒になる。

このドラマは約10分を使って、そんな将棋の真理を教えてくれたのかもしれません。

銀将の子供は

ならば「銀将の子供」は何者でしょうか。

「子供」は、新しく誕生したものです。なので、元々盤上にはなく、新たに盤上にやってきた存在だと考えると自然だと思います。

つまり将棋で言うと、新たに盤上に打たれた駒だと言えると思います。それは元々は敵の駒であり、取って自分の持ち駒となった駒。盤上に打たれ自軍を助ける存在。

銀将は守備だけでなく攻撃にも参加するだけあって、相手に取られやすく(逆も言えます)、戦場に散っていく存在です。

そして新しく生まれ変わり新たな活躍の場が与えられる。

金将に裏切られ窮地に陥った王国を、逆に自軍の駒として生まれ変わった銀将が救う。

kifu20150806-1手

これもまた「となりの関くん」が教えてくれることの一つです。

駒の再使用ルール

そもそも、この「となりの関くん」のストーリーが暗喩している、相手の駒を取って自分の駒として「再使用」できるという将棋のルールは世界的に見ても独特のもの。

世界のチャトランガ系ボードゲームの中で、将棋だけに存在するルールです。チャトランガは古代インド発祥のボードゲームで、将棋、チェス、シャンチー、チャンギなどの起源。

Wikipediaに「チャトランガ系ゲーム比較表」というページがありますので、ご参考に。

日本独自の進化

雑誌「将棋世界」の2015年9月号には「ここまでわかった将棋の歴史(第2回)」という特集記事があります。

その中で遊戯史研究家の増川宏一さんは、将棋の元になったゲームが日本に伝来したのは10世紀の中頃、それが改良され持ち駒「再使用」ルールができて現在の将棋が完成したのは16世紀前半だと述べています。

現代将棋はこのルールが完成してから急速に普及し、厚い愛好者層ができたとのこと。

追記:
このルールの成り立ちについて、窪田義行六段よりコメントをいただいています。

増川先生や木村先生がご考察の様に、「書き文字で種別する平型駒の素材に五角形の木片を使用したので、方向転換による持ち駒の使用が容易となった」

詳しくはこの記事のコメント欄をご覧いただけますと幸いです。

追記終。

文化的背景や価値観

そしてこのルールが日本で愛された背景には、日本の歴史や文化、日本人の価値観が関係しているとされます。以下の2つの記事が参考になると思います。

国史研究家の吉木誉絵さんによる「日本の歴史と将棋の駒の再利用ルール」の解説

「世界で将棋だけが、相手から取った駒を自分が再利用できる」のは、「血を絶やす戦いを好まなかった日本の歴史」が関係している

ETV特集「羽生善治×ガルリ・カスパロフ対談」。人工知能、加齢、引退、チェスと将棋の違いなど

(ガルリ・カスパロフさんの話)
チェスも将棋も社会の鏡なんです。(発祥地から)伝わりながら、土地の気質を取り込んでいったんです。
日本では伝統的に前言を撤回することが潔しとされません。それを反映して駒の多くが後戻りしないのではないでしょうか。

思えば「となりの関くん」の2時間目は日本的な作品でした。制服を着た男女、規律正しく静かな教室、教科書は「古典B」、学級目標には「最高の絆」と書いてあります。

将棋という題材を通して、自分たちの文化や価値観を今一度顧みてみる。

「となりの関くん」が投げかけた夏休みの宿題なのかもしれません。

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コメント

  1. 窪田義行 より:

    先のエントリーではご訂正お疲れ様でした。
    “煽り”は熱情を煽るという意味で使いましたが、現実には更に反応を誘引するニュアンスで周知されている様ですね。
    “課金”に関しても「置き薬業者が減った分だけ課金して利用者が支払う」という元来の使用法から、アカウンティングの訳語としてウェブサービスに導入され、ソーシャルゲームの登録別任意制(単体もしくは従量制)有料サービスに敷衍されるに至り、自称“廃課金兵”の出征といった日本語(及び経済活動)の乱れを呼んだと思います。
    閲覧を誘引する“釣り”共々目を惹く要素を排除すると“つくレポ”の特性からも掛け離れてしまう様ですが、’すてきな奥さん&旦那さん’に相応しい新ネタの登場が楽しみですね!

    本作に関してですが、実はアニメ版の当該話も某将棋界準公式動画サイトの公式チャンネル(無料時期)で観賞していました。
    横井さんが『恐怖政治か~!?』と叫んだシーンで乱舞する赤字に呆れつつ時期を反映して、「将棋だけに我が○×と同じか」と呟いたかは記憶にありません(苦笑)。
    ドラマ版を見直しての感想ですが、駒は我が“日本将棋連盟DigitalShop”の定番商品“プラスチック駒(並製) fs04gm”の様です(ダイマ)。
    上下に分離した王将は各々そっくりに作ったにせよ(手技で割る設定なので中空が自然でしょう)、他の駒は今話題の知的財産権上もわざわざ手造りする必要はない様に思います。
    ドラマ版では銀に言及されていますが、横井さんが金と銀を混同しているのが気になります。動画を見れば敵味方は判別できるにせよ、敵味方共に“キン”扱いではいささか興醒めとした物です。
    子銀は携帯型磁石駒として、すんなり偽王金に密着しているのが気になります。
    関くんがハナクソでも接着剤にしたにせよ、アニメ版の様に戦国風イメージ映像がない事もあって「刷り込みで偽王金を慕っていたのでは?」と勘ぐってしまいました。
    管理人様が裏切りと再生に就いてご考察ですが、前局の最後に敵味方共々同じ駒箱に収まり、次局で王将(玉将でないのが惜しまれます)の左に収まった筈の金が、前局で遊び駒にされて筋悪と蔑まれた恨みを初手に!晴らす。
    一方、前局で玉飛割り打ちの大戦果を挙げて駒台送りにされた銀が、寛恕の恩義に報いるべく次局の急所で子銀共々身を挺する……想像すると壮大なドラマを感じますね(笑)。
    アニメ版では横井さんが消しゴムの代わりに子銀を突撃させますが、偽王金と王胴部を分離させただけで偽王金を窓外に叩き落として関君に一層の怨恨を買ったりしていません。
    研修会員もお気に入りの弾弓(囲碁おはじき)で鍛えたのか、話題の“奇皇后”もかくやの超絶射撃能力を獲得した様に見受けられました。

    横井さんが何れも『下克上の戦国時代?』と金の裏切りを評していますが、
    『「世界で将棋だけが、相手から取った駒を自分が再利用できる」のは、「血を絶やす戦いを好まなかった日本の歴史」が関係している』などという文化論を拝見する度に、「敵一族の嫡子以下男児を抹殺して直系一族の断絶を図った、信長公以下戦国大名が異常なのだろうか」と思わずにはいられません。
    戦国大名から源氏長者や征夷大将軍に就任した徳川家康にせよ、豊臣家の男児を処刑し事実上断絶させています。
    我が将棋連盟が更に徳川幕府関係の記念行事に邁進すると、取り捨て前提の小将棋に回帰してしまうかはさて置き。
    肝心の玉を、隠居または蟄居させたり追放した事にする・酔象ならぬ太子を差し出させる(徳川家の旧主たる今川家の様な高家として存続させる)のではなく遮二無二“詰ます”以上は、神仏の慈悲の発露なり穢れの付着・怨霊の出現の防止といった流儀を敷衍させるには限界があるでしょう。
    日本人は、稲作伝来で農耕民族化したのみならず大乗仏教伝来の後に食用牧畜が廃れましたが、その半面で漁労もさる事ながら食肉補給の為の狩猟が重視されて一部は狩猟集団たるマタギが担い、マタギにせよ戦国大名にせよ集団猟では軍機教練さながらにリーダーシップに基づく統率が不可欠で、捕虜出身者の出る幕ではなかったでしょう。
    「農耕民族で人手が足りず、捕虜を組み入れるので持ち駒使用のヒントになった(計画性と役割分担を明確にすれば、臨機応変かつ有無を言わせない統率は無用なので捕虜でも可能)」という観点にも、食用牧畜民族たる遊牧民族への偏見混じりの限界を感じます。
    増川先生や木村先生がご考察の様に、「書き文字で種別する平型駒の素材に五角形の木片を使用したので、方向転換による持ち駒の使用が用意となった」という事実関係を先ず重視すべきだと思います。
    『日本では伝統的に前言を撤回することが潔しとされません。それを反映して駒の多くが後戻りしないのではないでしょうか。』
    という日本人の同義性へのご信頼に溢れたお言葉がありましたが、『前進できぬ駒はない』と仰った大先輩も千慮の一失をお認めの上で度々の釈明会見に臨まれ、古典Bの範囲たる『君子は豹変す』を身を持ってお示しでした。
    方や問題発言後に、「雑談や冗談、呑み屋トークに本音」と背景及び真意を二転三転させつつもある種のオピニオンリーダーとしての地位を得ているご仁が、『だからワシも伝統に則り前言撤回なんかしないんや』と仰らないか心配です(苦笑)。

    日本人らしくもなく少々角を立てた所で当たり障りなく結論としますが、『最高の絆は最善を尽くしあった盤上を介在する事で育まれる。金が裏切ったり学習机改造隠蔽の現場を目の当たりにしてして驚愕する暇に、お隣さんの誼で一局指導をお願いなさっては?』という言葉を横井さんに贈ります。
    (続編や続続編が存在する様ですが、管理人さんの鮮やかなお手際を楽しみにしています)

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      まさか前局からの続きの壮大な大河ドラマが描かれているとは。金将の突然の裏切りに、そのような動機があったとは、そこまでの考察には至りませんでした。

      私はアニメ版はまだ視聴しておりません。機会があればみてみたいと思います。「戦国風イメージ映像」が楽しみです。

      駒の情報までありがとうございます。プロの方に失礼かもしれませんが、そのようなところまでご覧になっているとはさすがだと思いました。

      またご指摘の通り、将棋の成り立ちについては、以下のことを書き添えるべきだったかもしれません。

      増川先生や木村先生がご考察の様に、「書き文字で種別する平型駒の素材に五角形の木片を使用したので、方向転換による持ち駒の使用が用意となった」という事実関係を先ず重視すべき

      私としては日本の文化や歴史が将棋の成り立ちに影響を及ぼしたとしたらロマンがあるなと、そのような気持ちで書きました。

      しかし窪田様が書かれた情報により、多くの人がさらにこの「となりの関くん」将棋回を深く理解、考察する助けになると思います(このコメント欄はツイッターで広く告知させていただこうと思います)

      そして突然の「前進できぬ駒はない」のくだり。私は将棋ファンになって1年半の新参者ですが、この言葉はなんだろうと思って調べてしまったところ、はい、そういう事件だったということの知識を新たに得ました。ありがとうございます。

      コメント全体を通してみましたら、深い考察が見えますとともに、これもプロの方には失礼ではありますが、将棋に対する理解のレベルが桁違いで、私の記事本体より余程このコメント欄の方が有意義ではないかと思えてきます。

      また、続編があるとは知りませんでした。調べてみると確かに複数回、将棋の話があるようです。情報有り難うございます。もしかしたらまた書かせていただくかもしれません。

      コメントありがとうございます。

  2. 窪田義行 より:

    長々と書き連ねましたが、またも丁寧なお返事を拝見しました。
    私の申し上げたい点は、正に【「書き文字で種別する平型駒の素材に五角形の木片を使用したので、方向転換による持ち駒の使用が用意(ママ:正・容易)となった」という事実関係を先ず重視すべき】にあります。
    書きそびれましたが、平型駒将棋の一例たる中国象棋では、現在「駒の向きは所属を意味しない」「駒の文字は赤か黒などの二色」「意味が変わらない程度に表記を違える」という仕様になっています。
    五角形の素材に関しても具体的に経緯を考察すると、古将棋に「上記の仕様が導入される前に、五角形の素材を使用開始」したか、「五角形の素材の使用開始後に、導入されていた上記の仕様が脱落」したかの何れかに大別できます。
    引いては、「それらの仕様の導入を阻んだ決め手が五角形の素材」だったか、「それらの様式が導入されながら排除された決め手が五角形の仕様」だったかという様に、正反対の動機付けとして機能した可能性がある訳です。
    私は漠然と前者だろうと考えていますが、「平型駒が粗雑な着手で180度回転してしまうと敵味方が逆転する(立体型駒は粗雑な着手で無様にそっぽを向くのみならず転倒する懸念がある)」という大問題を、各地域や競技でどう解決したかという根本的な問題にも繋がると思います。

    日本民族のいち源流たる大和民族に限っても、“農耕民族”なり‘流血忌避民族?’なりに相応しく定義される典型と、日本将棋の特性(定義は概ね明確ですが)との関連付け(こじ付け?)に関する考察は、管理人様の引用文に便乗するなど浅い所があると痛感しています。
    現在は隔月連載とお見受けしますが、増川先生のご考察を楽しみにしている次第です。

    逆コース前のGHQは、持ち駒仕様をあの様に考察して升田先生のお手を煩わせましたが、そもそも捕虜が「新所属対象への忠誠を行動を持って証明」するという状況が、現代の普遍的な道義性や心情に照らして異常極まる事態です。
    『下克上の戦国時代?』であれば、斎藤道三伝説?に代表される様に配下にせよ日常茶飯事でしたが、主家たる豊臣家を暴君として“放伐”しつつも太平の世ながら諸藩に放伐されない様に忠孝精神の普及に務めた、徳川幕府の影響は多大だと思います。
    創作物では、中国四大奇書の一角たる“水滸伝”では、一部の人物に関して‘108の中から何れかが該当する宿星を背景に、『天に替わって道を行う』大義を元に説得される’という形でクリアされています。
    方や、現代日本では駒擬人化モノの物語(取り分け萌え系)の作者が頭を悩ませる要因だとお見受けします。
    それらを踏まえて?“となりの関くん”ではアニメ及びドラマで一般的な視聴者に違和感を抱かせない様に料理していると思います。
    但し、私としては素直に持ち駒仕様を応用せず、前局に当てはめた上で配下と捕虜にまつわる具体的な背景も交えて解釈した次第です。

    またしても長文になり恐縮ですが、参考としてお勧め頂く上で読者の皆様に誤解を招かない様に論旨を整理しつつ、少しでも内容を充実させるべく補足も施した次第です。

    • 管理人 管理人 より:

      再コメントありがとうございます。

      読者の方に参考にしていただくために、以下の点について記事中に追記するとともに、詳細はこのコメント欄を参照いただくように促しました。

      「書き文字で種別する平型駒の素材に五角形の木片を使用したので、方向転換による持ち駒の使用が容易となった」

      チャトランガを起源とするゲームがどのようにして日本に入ってきて現代の将棋が成立していったかはとても興味があるところです。
      同じように興味をもっている読者の方も多くいらっしゃると思いますので、このように整理されてコメントいただくことは有益なことであり、感謝申し上げます。ありがとうございます。

      またそれとともに、将棋が数百年にも及ぶ長い間日本で愛好されてきた、他のゲームもあるのに将棋が他のゲームとの生存競争に勝って現代まで残ってきた理由も興味があるところです。これはまた別のテーマかもしれませんし、理由もひとつではないと思いますが、参考としては記事中の国史研究家の方や、外国の将棋類のトッププレーヤーの方からの意見も参考になると思いますし、窪田様のコメントにあるような成り立ちから考察するというのも興味深いです。

      後半では本件とクリエイティブコンテンツ産業との関係のご考察もいただきましてありがとうございます。

      私は、このような視点はありませんでした。このようなご考察も、当サイトの読者の方にとって有益だと思います。ありがとうございます。

      今回、

      参考としてお勧め頂く上で読者の皆様に誤解を招かない様に論旨を整理しつつ、少しでも内容を充実させるべく補足も施した

      とのことですので、再度このコメント欄をツイッターで告知させていただこうと思います。

      ありがとうございました。

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