2015年3月10日、第73期名人戦・順位戦A級の挑戦者決定プレーオフ2回戦では、久保利明九段が渡辺明二冠に勝利したわけですが、その対局中にニコニコ生放送ユーザーの心を掴んだのは、このプレーオフのすぐ隣で対局していた田中寅彦九段の姿。
同部屋のプレーオフが気になるのか「ガン見」しています。
あの将棋、勝つのか!! ( ゚Д゚) RT @nujokt: @MAKOTOTANAKA198 @umesan1127 タナトラ先生勝利おめでとうございます。2局分読んで勝たれるとはさすがです。隣ガン見がよかったかも pic.twitter.com/16yMxzhWvW
— 田中 誠(銀河将棋チャンネルの中の人) (@MAKOTOTANAKA198) 2015, 3月 10
プレーオフの対局について詳しくは、以下の記事を御覧ください。
しかも田中寅彦九段は、この対局に逆転の可能性があったことを指摘。
@MAKOTOTANAKA198 @nujokt @umesan1127
隣が気になって(^^;;気が着いたら寄せそこなってた。しょうが無いから怪しく粘ったり攻めたりしてたら、近藤さんも寄せそこねて久々の逆転勝ち
隣も渡辺さんが粘って逆転したのに△39角成逃して再逆転だと思う。
— 田中寅彦 (@tora_ejison) 2015, 3月 11
詳しくは以下の記事を御覧ください。
この「ガン見」はニコニコ生放送で終始中継され、加藤一二三九段の「ひふみんアイ」(盤面を先後逆から見る)ならぬ「タナトラアイ」と呼ばれるように・・・。
タナトラアイを本人が語る
あれから10日後、2015年3月20日にニコニコ生放送で中継された第64期王将戦(渡辺明王将VS郷田真隆九段)第6局2日目の解説に田中九段が登場。視聴者からは「あのプレーオフの光景がタナトラアイと呼ばれている。その時の心境を教えてほしい」というメールが寄せられました。
聞き手の竹部さゆり女流三段は「タナトラアイについてメールが多々寄せられている」と紹介。やはりユーザーの注目度が高いようです。
ガン見の理由
この質問について田中寅彦九段は「久々の4者プレーオフになって、渡辺さんが一番確率が低そうなのを、すっと(プレーオフに)入ってきたんで。これはチャンスだと思ってるだろうなと。こういう時ってのが将棋が面白いんです」という見解を披露。
確かに、棚ぼたと言っては失礼ですが、渡辺二冠は今期順位戦は3連敗スタートでしたからね。
田中九段は「それが、特等席で隣にいたもんですから。自分の将棋も大切なんですけども、やっぱ気になったんですね」と述べました。
特等席だったから!!
田中寅彦九段の読み
さらに、前述のように渡辺王将が見逃した手を気づいたことで「あれ?なんでだろう」と思ってさらに覗きこんだということでした。
つまり、隣の対局をガン見するだけでなく、実際に局面を読んでいたわけです。
なお、隣になった原因としてはやはりプレーオフの日程のようで「プレーオフは予期しない形で起こりますので、連盟の対局場が足りないんですよ。日にちを割り込めない。それで私、隣にいたわけです」とコメント。
この日はC級1組順位戦の一斉対局が行われることが既に決まっていたところに、プレーオフも重なった、ということです。
渡辺明二冠について
田中九段は、翌日も王将戦の移動日で一緒に行動した渡辺明二冠について「切り替えがすごい早い。勝負師に向いている。あまり負けを引きずらない」と評価。
それが「タイトルを獲る、常連になる絶対条件ですね」と述べていました。
二面指し
しかし田中九段は「ガン見」を振り返り「そんなことしているうちに自分の対局が苦しくなっちゃった」とも話していました。
ほとんど二面指し状態でしたからね。前述の通り自分の対局は逆転で勝たれています。
田中九段、貴重なお話をありがとうございました。