女優の高梨臨さんとタレントの志村けんさんが5五将棋で対局しましたのでご紹介します。2016年1月2日のテレビ朝日系「志村&鶴瓶のあぶない交遊録」という番組です。
5五将棋は、駒の動き方は本将棋と同じで、駒は歩、銀、金、角、飛車、玉を使用します。
この記事の後半では棋譜もご紹介します(放送された分)。最後は片方が頓死してしまったのですが、正しく受ければ逆転の可能性も大いにあったと思います。5五将棋は、本将棋のルールが分かる方ならとっつきやすいですので、検討してみるのも面白いと思います。
美しい高梨臨さん
高梨さんが将棋好きであることは将棋ファンの中では知られていると思います。これまでもテレビなどで将棋の話をされていますし、ニコニコ生放送で豊川孝弘七段と将棋講座をされていたのも観たことがあります。将棋歴は私(管理人)より長いはずです。
そんな高梨さんと志村けんさん、笑福亭鶴瓶さんの3人で、お酒を飲みながらトークをして将棋もする、という番組でした。鶴瓶さんも将棋はできるようですが、強くなさそうでした。
なお高梨さんが将棋を始めたきっかけは。
高梨「日曜日に一人でボケっとテレビを観ていたら、将棋をしていて。決着がついた時、勝ちになっても『うんー』っていう顔をしていて、負けになっても同じ顔をしていて。『何なんだろうこれは』と思って、気になって毎週観ていた」
NHK杯テレビ将棋トーナメントですね。ほぼ私と同じ動機です。
志村けんさんと将棋
志村けんさんと将棋に関しては、itumon先生の解説が詳しいです。
志村けんさんは将棋がお好きで有名で、「ドリフターズ」の皆さまとはコント収録の合間とかに将棋で勝負されておられました(いかりや長介さんと志村けんさんが特にお強かったそうです)
また芸能界でも棋友もたくさんおられて、渡辺徹さんや吉田拓郎さんとかもそうだったと思います^^
— itumon (@itumon) 2016, 1月 1
ちなみに加藤茶さんのハゲチャビンのカツラにビン底メガネは大山康晴十五世名人を意識されて模されたいで立ち。
志村さんは将棋で優勢になるとつい歌を口ずさんでしまい、「その歌面白いな」とドリフの方と指されているときに言われたのがきっかけでできたのが『東村山音頭』だったりも^^
— itumon (@itumon) 2016, 1月 1
本当におまけですが、大山康晴十五世名人が名人戦で相手がまさかの大悪手を指してしまい、その時に部屋を出るときに口ずさまれていたのは
「サンフランシスコのチャイナタウンー」という歌詞の『桑港のチャイナタウン』という昔の流行歌
— itumon (@itumon) 2016, 1月 1
志村さんはこの番組内でも、ドリフターズの楽屋で将棋をしていたという話をされていました。ご自身はうまくないけど好き、だそうです。ドリフターズ内では一軍、二軍、三軍があったそうで、一軍は良い駒、二軍は安い駒、三軍は紙で対局をしていたそうです。
将棋世界の2003年4月号では、志村さんと米長邦雄永世棋聖の対談があったようで、将棋ペンクラブログさんにその一部が掲載されています。
志村けんさんと故・米長邦雄永世棋聖の対談(将棋ペンクラブログ)
番組内で触れられていた一軍、二軍、のところも書かれています。記事より引用。
志村 Aクラスがいかりやさん(長介)と仲本さん(工事)。次に僕と加藤さん(茶)。僕はいかりやさんに何回かに1回勝つぐらいですね。高木さん(ブー)だけがあまりやらないのかな。考えると寝ちゃうんでね(笑)。
5五将棋
5五将棋はその名の通り5×5のマスで行う将棋。初期配置は以下。
駒の動きは普通の将棋(本将棋)と同じ。ただし成駒になる「敵陣」の範囲は相手側の1列のみとなっています。
最初は鶴瓶さんが高梨さんとの対局に意欲を見えせましたが「どうせ俺のところは(オンエアでは)使われへん」ということで、志村さんと高梨さんの対決になりました。
▲高梨さんvs△志村さん
5五将棋にも定跡などはあると思われますが、二人は知らなかったと思います。
先手は高梨臨さん。初手を指します。
(オンエア上は上が先手、下が後手として表示されていましたが、この記事では一般的な表示である下が先手、上が後手とします)
後手の志村さんは一手で穴熊を完成させます。
「難しいなあ」「難しいですね」と言いながら駒組みを進める二人。
棋譜読み上げは鶴瓶さん。ただし「銀を動かした」「飛車を横に」という感じで。
ここで飛車取りに角を出る志村さん。
しかし高梨さんはこれを無視して銀を立ちます。
実は高梨さんは飛車取りに気付いていなかったようで「あっ、ちょっと待ってください! ちょっと待ってください」と「待った」。お酒を飲みながらなので注意力が散漫になっている模様です。でも真剣なのがいいです。
いったん待ったをした高梨さんですが、「ちょっと待ってくださいね・・・いいですよもう!」と待ったを取り消し。志村さんは笑いながら「そんなに、そんなにヤケになられても」と言って。
高梨さんは志村さんの手を抑えて抵抗を試みますが、志村さんは笑いながら飛車を取りました。高梨さんの無邪気な感じと、志村さんの大人な感じが素晴らしく、久しぶりに会った親戚のオジサンと姪っ子、みたいな感じにも見えました(正月なので)。
鶴瓶さんと志村さんは以下の会話。
鶴瓶「うまいこと考えてるなこれ。何やったっけ?」
志村「5五将棋。昼間やっちゃいけないんだからね」
鶴瓶「ごご・・・やかましいわ!!」
そんなくだらない会話をよそに、盤面に没頭する高梨さんが美しかったです。
終盤戦
残念ながら対局すべてが放送されたわけではありませんでした。途中はカットされ、以下の局面になりました。手番は先手の高梨さん。
高梨さんは形勢を悲観していたようです。ここで、高梨さんは▲3五飛と打つ手を考えていたようですが、志村さんにそそのかされて▲5一飛と打ちました。
志村さんは攻防に利かせる角打ち。
以下は鶴瓶さんが酔っ払いながら「いい手や!」と絶賛した手。
なんとなく先手が良さそうに見えるんですが。どうなんでしょうね。私も正月の酔いのなかこの記事を書いているので(言い訳)。
後手が開き王手。
ここで高梨さんが開き王手に動揺してしまって。
これは先手玉に詰みがありますね。考えてみてください。
一手詰めです。
答えはこれです。
先手の高梨さんは持ち駒がないので、合駒して受けることができません。4四の金は動かせない(王を角道に晒すので)。したがってこれで詰みとなります。
志村さんの勝ちとなりました。
感想戦
すぐに感想戦になりました。
鶴瓶「詰んだやないか!」
高梨「負けちゃいました」
鶴瓶「バカ!」
高梨「強いですね」
志村「いやいや」
高梨「やっぱここに飛車置いたほうが(再開局面で▲3五飛)良かったじゃないですか、じゃあ」
志村「終わってから?」
鶴瓶「終わってからそれ言うたらあかんやんか」
高梨さんだけ感想戦したそうでした。
検討してみよう
この対局、先手の敗着は以下の局面の次の手だったと思います。
開き王手を受ける必要があり、本譜高梨さんは▲4四金と移動合しました。しかしそれはこの記事で示したように詰みがありました。ではどうすれば良かったのか。
おそらく、王手している角を取る▲2二銀で、高梨さんが勝っていたと思います。
逆王手。
以下、後手は△同金とは取れないので△同玉とするしかないですが、そこで▲1一角と打って。
△同玉なら▲3一飛成から詰み。△2三玉なら▲5三飛成から自陣の金や角も働いて詰みそう。3二玉でも▲1四角と逃げながら王手して詰みはないかもしれないですが優勢になりそう。△1三玉でも▲5三飛成から優勢に進められそうな感じがします。
5五将棋の駒の動きは本将棋と同じですので、本将棋の動き方を知っていれば検討できると思います。お暇な時にでも検討してみてください。
5五将棋は、気軽に短手数で出来て面白いと思いました。普通の将棋の駒を使ってできますし、盤も簡単に用意できると思います。正月にぴったりです。読みが必要で、感覚としては詰将棋に似ているのかなと。
そして私はこの5五将棋をしばらく真剣に検討した後、普通の将棋に戻った時に、マスや駒の数が異常に多く感じてクラクラしました。たぶんみんなそうなると思います。お試し下さい。私の正月ボケの可能性もありますが。
コメント
「そこで▲3一角と打って」は▲1一角ですかね。
ご指摘ありがとうございます。大変失礼致しました。修正をしました。ありがとうございます。
明けましておめでとうございますm(_ _)m
未熟な初心者ですが、今年もお世話になります♪
これ、私のような初心者には勉強になるかもしれませんね~
志村さんがニヤニヤしながら楽しそうに指してる後継が目に浮かびます(笑)
コメントありがとうございます。明けましておめでとうございます。
志村さんも高梨さんも楽しそうで羨ましかったです。お酒が入っているというのもあると思うんですが、楽しそうで楽しそうで。
終盤の勉強にはなりそうですね。詰めろや必至、王手がすぐにかかるので。読みが鍛えられると思いますよ。お相手がいるならぜひ。
本年もよろしくお願いします。