まだ小学1年生なのに大学入試レベルの数学を理解している天才少年・高橋洋翔くんをご存知でしょうか。
高橋洋翔くんは、2014年秋に史上最年少で数学検定2級に合格した児童。数学検定のサイトによれば、2級(高校2年程度)というのはどういう問題かというと
次の計算を,分母を有理化して答えなさい。ただし,i は虚数単位を表します。
(1+i )÷(1-i )
とか
1から6までの6個の整数をすべて並べて6けたの整数をつくります。このとき,その6けたの整数が3の倍数になる確率を求めなさい。
とかいう問題です。普通、小学1年生って、犬と牛と馬と魚を連れてきて「仲間はずれはどれでしょう」みたいなレベルじゃなかったでしたっけ・・・。
この天才少年が、2015年3月21日のTBS系「知っとこ!」で取り上げられたのですが、彼のお気に入りのゲームは「将棋」。iOSアプリの「i羽生将棋(あいはぶしょうぎ)」を愛用しています。
天才小学生、将棋を指す
洋翔くんがスゴいのは、単に問題を解くだけでなく、説明もできること。数学的帰納法について「kのときが成り立つと仮定すると、k+1が成り立つということを示して・・・・そうするとnが1のときに成り立つことが示されているから、ドミノ倒しのようにすべてのnについて示される・・・」と身振り手振りを交えて説明していました。すごすぎ!
両親はともに東大出身。洋翔くんは、2歳の頃に両親からプレゼントしてもらったというマグネット式パズルで数学に興味をもったそうです。3歳で中学レベルの数学の問題を解いたという。
本棚には数学の本と将棋の本
洋翔くんの部屋は、この年頃の子供では一般的なキャラクターグッズとかおもちゃなどはなく、本棚も絵本などはありません。
代わりに置いてあるのが数学の本。
「道具としての微分方程式」
「ガロアの群論」
「数学オリンピック問題にみる現代数学」
「集合とはなにか」
・・・「集合とはなにか」ですよ。「戦隊ヒーロー大集合」じゃないんです。しかしそんな数学の本の横にはなんと・・・!
「上達するヒント 羽生善治」
「初段をめざす詰め将棋 羽生善治」
「逆転の妙手 上級編 広瀬章人」
おおお!!
ちなみに「クレヨンしんちゃん」も置いてありました。ほっとしました。でもクレヨンしんちゃんって意外と大人向け・・・。
i羽生将棋を愛用
そんな洋翔くん、番組ではiPadを使ってアプリ「i羽生将棋」で遊ぶ姿も映されていました。
i羽生将棋を知らない方に説明しますと、将棋の基礎的なルールや手筋や定跡を覚えることができるアプリで、また追加購入する問題は、級位者向けから(たぶん)初段ぐらいのレベルまでの次の一手問題や詰将棋、逃れ将棋もあります。
問題に正解すると羽生善治名人のイラストが出てきて「セイカイデス」と言ってくれます。間違えたら「フセイカイデス」。
コンピュータと対局することもできます。
天才は将棋を選んだ
洋翔くんは将棋について「最初は本で見て、面白そうだなと思って。『将棋買って』ってお母さんに言った」とのこと。与えられたわけではなくて、自ら本を読んで興味を持ったというのが天才らしいですね。
同級生が妖怪ウォッチに熱中する中、天才は将棋を選ぶんですね。数学と同じで、無限の広がりがあって、これから先もずっとずっと付き合っていけるゲーム。それが将棋だと、小さな数学の天才少年は気づいているのではないでしょうか。
以下の記事に通じるものがあるかもしれません。参考までに。
拘禁反応で不可解言動を繰り返す袴田事件の袴田巌さんがほぼ唯一できる日常の会話は将棋
居飛車党のようです
洋翔くんは、i羽生将棋でコンピュータ相手に将棋を指していました。
盤面はチラッとしか映らなかったのですが、戦型は角換わりっぽいです。角を換えて、矢倉に囲って、飛車先に銀を持ってきて棒銀のように攻めていました。
正直、i羽生将棋に搭載されているコンピュータは強くないです。最高レベルにしても、初段の私(管理人)でも勝てるぐらいですから。
しかし世の中に、矢倉に囲える小学生1年生がどれほどいますか。
息抜きです
ちなみに、彼のiPadの本来の使用目的はYouTubeで大学の講義を視聴すること。
将棋は、彼にとっては数学の合間の「息抜き」なのだそうです。息抜きで矢倉に囲う小学生1年生なんているんですね。驚きとしか言いようがありません。
また、洋翔くんには弟が2人いるのですが、彼らの会話がこちら。
弟(4歳)「おにいちゃん、数字言って」
洋翔くん(7歳)「72」
弟(4歳)「2の3乗かける3の2乗(素因数分解している)」
洋翔くん(7歳)「せいかーい!」
2015/7/16追記:
洋翔くんは2015年7月、小学2年生で数学検定準1級(高校3年レベル)に合格したとのことです。もちろん史上最年少。日本テレビ系「NEWS ZERO」で伝えられた際には、将棋(i羽生将棋)を楽しんでいる姿もありました。戦型は居飛車で、居玉で棒銀でした。
また、ガロア理論を説明していました。
天才の夢
洋翔くんの夢は「面白い数学や、新しい数学を発見すること」。仮面ライダーになりたいとか、ケーキ屋さんとかじゃないんです。
洋翔くん、これから大人になるに連れていろいろあると思いますが、時々将棋も指してください。将棋の面白い手や、新手も発見してみてください。長く遊べるゲームです。よろしくお願いします。
以上、ありがとうございました。
コメント
管理人様、いつも楽しい記事をありがとうございます。
管理人様のツッコミや感想がいちいち面白くて、笑いながら読ませていただきました。
すごい子供がいたもんですね。4才の弟くんも、素因数分解できるとかすごい・・・。
2年後くらいに、高橋洋翔君が作ったソフトと藤井聡太新四段の対局が実現したりするかもしれませんね。
矢倉は将棋の純文学と言いますし、矢倉を得意とされる加藤一二三先生はご自身の将棋を、完全に文系の将棋であると評価されていますが、モロ理系と思われる洋翔君が矢倉を指すというのは大変興味深いですね。一方で加藤先生は広瀬八段の将棋を理系の将棋だと評していて、洋翔君の本棚にも広瀬先生の本があるというのが面白かったです。やっぱり、理系同士(?)しっくりくるんでしょうか。
最後になりますが、「セイカイデス」とカタカナで書かれるあたり、さすが管理人様。
コメントありがとうございます。
そうですね、私も少し思いました。彼ならソフトを作るんじゃないかと。
やねうらおさんも5歳からプログラミングしていたといいますし、今は理系に進むとプログラミングは避けて通れないものですし、
必ずどこかで興味を持つと思います。藤井聡太四段と対局となったらすばらしい、どちらも応援したくなります。
彼が矢倉に魅力を感じているのか、単にいろいろ指すなかの一戦型なのかはわからないのですが、
明らかに普通の子供が適当にやってるような将棋とは違いました。
加藤先生のお話ありがとうございます。文系理系の話は知りませんでした。有益な情報です。
私の棋力が低くて棋譜からは理系文系は読み取れませんが・・・。
「セイカイデス」定跡なり。記事を書いているときは「正解」と漢字で書く発想すらなかったことに
今気づきました。ありがとうございます。
はじめまして(半年ほど前から将棋にハマっている者です)。
我が家も↑の記事と同様に、7歳と4歳の子がいます(うちは姉妹ですが)。
いやあ すごい天才さんがいたもんですねえ。
4歳児の素因数分解って 想像できない…
4歳児だと「かずのおおいほうに○をつけましょう」とかそんなレベルです。
足し算以前です…。
矢倉についてですが、うちの子たちでも囲うだけならできます(笑)
○○の一つ覚えってヤツです(^_^;)
はじめまして、コメントありがとうございます!
私も観た時びっくりしました。
記事には書いてありませんが、壁一面がホワイトボードみたいなお家なのですが、
そこで普通に数式を書いたりしていたので、目を疑いましたね。
ちょうど同じ年のお子さんいらっしゃるんですね、可愛いでしょうね。
4歳だと足し算以前で当たり前だと思います。普通そうですよね。
私自身は、矢倉はやらないので、ちゃんと矢倉に囲えるか怪しいです。
なのでお子さんが、もし一つ覚えでも矢倉に囲えるのは素晴らしい。
ぜひ将棋強くなって欲しいですね。コメントありがとうございます。
数学者で将棋が趣味の人が多いとういう印象がありますね。
コメントありがとうございます。あ、そうなんですか。私数学者あまり知らないのでそういうイメージはありませんでした。なるほどそうですか。
はじめまして。ついに高橋くん1級合格しましたね!!
今でこそ将棋ブームで、私も将棋について多少興味を持つようになりましたが、彼は4年も前から興味を持っていたなんて…やはり天才ですね!
今の将棋の腕前も気になるところです。
≪…「面白い数学や、新しい数学を発見すること」…≫で、
『数学妖怪キャラクター』の『(わけのわかる ちゃん)(まとめ ちゃん) (わけのわからん ちゃん)(かど ちゃん)(ぐるぐる ちゃん)(つながり ちゃん)』を語って頂きたい。
自然数の絵本あり。
有田川町電子書籍
[もろはのつるぎ」
御講評をお願い致します。