日本で生まれた多くの人が、学生から社会人になるときに、あまり意味があるとは思えない活動をすることになります。日本伝統の就職活動です。
私(管理人)は、思い出してみればとても運が良かったようで、割りとあっさりと活動を終えることができました。が、ニュースなどでよく目にするのは1人の学生が何十社も受験して苦労する姿。
将棋とも関連が深いドワンゴさんは、この就職活動のあり方に一石を投じ、学生が同社の採用試験を受験するにあたり3000円を支払う「受験料制度」を導入しています。
(普通、採用試験を受験する時に受験料は必要ないです。むしろ逆に交通費や食事代を出してくれた会社もありました)
おことわり:この記事は管理人の就職活動に関する個人的な思いが滲んでいる可能性が否定できません。特に、見出し「就職活動、面倒くさい」の部分。見出し「異能が求められる」からが本題ですので、そこまで飛ばしても良いと思います。
就職活動、面倒くさい
就職活動の経験のない方に、その一般的な流れを説明します。
企業の新卒採用試験を受験するには、まずエントリーシートという志望動機などを書いたWebの文書を作成し送付します。
しばらくすると筆記試験に呼ばれ(もちろん呼ばれない場合もあります)、それに合格したら一次面接に呼ばれ、それに合格したら二次面接・・・、そして最終面接、健康診断、内々定、採用条件を受諾すれば内定、となります。
就職活動では、この一連の流れを何社か、あるいは何十社か並行して行います。
一番面倒なのは、それぞれの企業の下調べ。将棋でいうと事前の研究。それぞれの会社がやっているセミナーや会社説明会に行ったり、Webサイトを読んだり、その会社に就職した先輩に会ったりします。
特に面接では何を聞かれるかわからないし、ヘタすると面接官から「我が社を志望しておいて、企業理念も知らないの?」とか言われかねないし、そうなってしまうと失礼なことだし、場合によっては学校の評判も悪くしてしまう。
ということで、学生はある程度下調べをしてエントリーシートを書いたり面接に行ったりしなければなりません。どうしても入りたい1、2社なら、喜んでやると思います。現実は、それを何十社と繰り返すので辛い。
割に合わないロールプレイング
そして何十社も受けるにしても、1社1社の面接では志望動機をひねり出し「これこれこういう理由で御社が一番です。御社にどうしても入りたいんです」と訴える演技力が求められる。就職活動が終わった頃にはアカデミー賞俳優クラスの演技力と、社会ってこういうもんなんだという悟りが手に入るという仕組み。
このようなロールプレイング・ゲームが楽しいとか、意義があるとかと思う方もいると思いますが、せっかくの学生生活の貴重な時間にこれをさせるのは、悪い習慣のような気もします。
異能が求められる
2015年5月25日のNHKニュース「おはよう日本」の「けさの知りたい!」では、企業などに「異能」の人材を求める動きが広がっているという事例の紹介がありました。
事例の一つのとして、大手電機メーカーの富士通が新卒採用で、ある分野で高い実績をあげた人を採用する「限定採用枠」を設けていることがとりあげられました。
この枠で採用されたのが、藤高彩(ふじたかあや)さんという女性。
むむむ?藤田綾さんではありません。
藤高彩さんです。入社5年目。同志社大時代にラクロス部に所属。関西のリーグで得点王となり、日本代表にも選ばれた方だそうです。
自信に満ちている
同社人事部の方によると「藤高さんらは自信に満ちている。周りに刺激を与えて先輩や上司まで動かしている」とのことで、やはりある分野でトップになった人というのは、そのプロセスの経験を活かして別の分野でも活躍できるようです。
過去には、シンクロナイズドスイミングの日本代表キャプテンや、将棋の学生選手権大会の優勝者の採用実績もあるそうです。
シンプルな採用制度
この富士通の制度は、「Challenge & Innovation採用」というもの。2016年度入社の採用は2015年5月20日から受付が始まっています(6月25日まで)。
Challenge & Innovation採用(富士通採用サイト)
同社の採用試験を「自由応募」で受験すると5段階、「学校推薦」で受験しても5段階の選考過程があります。もちろん面接があって志望動機を言わなくちゃいけなくて・・・。
ところが「Challenge & Innovation採用」で受験すると選考過程は3段階のみ。
比べてみてください「自由応募採用」「学校推薦採用」に比べて、「Challenge & Innovation採用」のなんとシンプルなことか。
ロール・プレイングしなくてよさそう
しかも「Challenge & Innovation採用」の最初の1段階は
実績のみを自由にアピールしてください
というシートの提出。これは実績さえあれば難しくないでしょうから、実質は2段階。
残り2段階の面接(1次面接、2次面接)も
プレゼンテーション方式です
と書いてあり、これはあの面倒くさい志望動機をひねり出すことから始まるロールプレイング・ゲームをやらなくていいような感じです。
この採用方法による実績例の一部を紹介します。
部活動で日本一を経験/日本代表に選出
司法試験合格・公認会計士試験合格などの資格取得
将棋、囲碁等の上位有段者で全国大会レベルの実績
数学オリンピックやプログラミングコンテスト、ロボットコンテスト等で入賞
優勝しなくても「上位有段者で全国大会レベルの実績」があればOK!!
異能を求める動きは拡大
今回、富士通の事例をご紹介しましたが、このような「一芸入試」的採用方法は以前から存在し、そして年々拡大しているようです。
大学のAO入試と比較されるかもしれません。大学では様々な授業を受けて幅広く単位を取らなきゃいけないため、AO入試で入学した者は落ちこぼれがちだと言われますが、企業の場合は特定の分野で仕事ができさえすれば重宝されます。
特に大企業にとっては、組織内にある分野に特化した多様な人材がいることが強みになるのだと思います。
また企業だけでなく、国や自治体でも「異能」を求める動きがあるようです。
目指せ学生選手権優勝
富士通は、将棋の大会・棋戦のスポンサーもしていますし、企業内の将棋部も強いようです。一時、就職活動をする学生の間では他のメーカーに比べて評判が悪かったようですが、その後改善されたような話も聞きます。
というわけで、学生の皆様(あるいは学生のお子さんをもつ親御様)、この機会に将棋の学生チャンピオンを目指されてみてはいかがでしょうか。
コメント
結局、就活しないといけないような人たちは「無能」ってことやねwww
コメントありがとうございます。
あれ?そう読めましたか(いやまあ、確かに私は就活してかつ無能なんですけどね)。
記事の意図としては、現在異能の人が求められていて、将棋でも異能と認められるので、社会に出る時に有利になります、ということでした。
わかりやすい記事作成を目指します。ありがとうございました。