2015年3月14日に行われた将棋電王戦FINAL第1局(▲斎藤慎太郎五段VS△Apery、斎藤五段が勝利)について、先崎学九段の観戦記が配信されています。
このなかで、いつくか先崎九段ならではの面白い知見や意見がありましたので、以下にご紹介します。
電王戦の継続に賛成?
まずはこれ。いきなり来年の話なのですが、以下のようにあります。
来年もこの形式でやろうじゃないか。コンピュータにリベンジを挑ませようではないか
観戦記の最後に書いてあるのですが、なんと現在の形式での将棋電王戦の継続を望んでいるかのようにとれます。これは驚き。
来年もやろう
「この形式」とは、簡単に言って「人間5人VSコンピュータソフト5つの団体戦」という形式のことだと思います。(事前にソフト貸し出しとか持ち時間とか、ルール的な話ではなく)
先崎九段の意図としては、棋士の力を見せてやろうぜ!次回はコンピュータソフトにリベンジを挑ませてやろうぜ!みたいなことで、第2局以降の棋士を鼓舞するものだと思いますが、「来年もやろう」とはっきり書かれているのには驚きました。
日本将棋連盟は継続に消極的?
というのも、日本将棋連盟はこの形式での電王戦の継続に消極的と考えられているためです。
根拠としては、この第1局当日にニコニコ生放送に出演した、電王戦のエグゼクティブ・プロデューサーである角川歴彦・株式会社KADOKAWA取締役会長が同棋戦について「何らかの形で継承されていくことを祈りたい」としたうえで、ニコニコユーザーに「将棋連盟が、重い腰を動かすようにみなさんの声をあげてほしい」と訴えたためです。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
角川歴彦会長、将棋電王戦の継続に意欲「FINALがFINALじゃないという声をあげて」
ですので、当の将棋連盟に所属する先崎九段から「来年もやろう」という発言が出るのは、これは踏み込んでいると思いませんか・・・?
王手ラッシュには「楽しい」
解説の鈴木大介八段が「王手ラッシュだけは見たくない」「王手ラッシュされたら、その人と指したくない」などと発言し、一方、Aperyの開発者である平岡拓也さんは「是非とも見せたかった」とする「王手ラッシュ」。
連盟理事の片上大輔六段も「私は不快な気持ちはないですし、斎藤君も同じだろう」などと言及するなど、「棋士とコンピュータの文化の違い」としていろいろ議論になりました。
詳しくは以下の記事を御覧ください。
さすが、先崎学九段です
で、先崎学九段。さすがといいますか、これまでの議論とは違う方向からものを見ています。
これはこれでコンピュータ対人間という香りがして、非常に楽しめた。精密機械が壊れるのを見るのも楽しいではないか
精密機械が壊れるのが楽しい!!
10年ぶりに復帰する順位戦B級1組でのご活躍を願っております。
盛り上がった3年間
先崎九段は、この3年間(5対5形式で実施した3期)の電王戦について
雰囲気がよく盛り上がった
という見解を示しています。
その理由として、棋士とソフト開発者がお互いに尊重しあっていることをあげています。これが「来年もやろう」という発言に至る理由なのかもしれません。
次回はコンピュータがリベンジへ?
我々視聴者は、実際の現場がどのような雰囲気なのかはわかりません。
ただ、対局後の斎藤慎太郎五段や平岡拓也さんにしてもそうですし、斎藤五段の師匠の畠山鎮七段もそうですが、それぞれ本当に、この将棋電王戦という企画、それに関わる人々に敬意を表し感謝しているように感じます。
棋士がこの後も勝ち続ると、先崎学九段が言うように、次回はコンピュータソフトにリベンジの機会が与えられるということがありえるかしれないですね。期待しています。
以上、ありがとうございました。