第73期順位戦においてA級への昇級を決めた佐藤天彦八段。
その師匠である中田功七段が、2015年3月19日のニコニコ生放送(第64期王将戦・渡辺明王将VS郷田真隆九段・第6局初日)に出演し、弟子のこれまでの昇級についていろいろ語ってくれました。
フリークラスに行かなかった経緯
まずは三段リーグからフリークラスへ行かなかった話。
佐藤天彦八段といえば、当時16歳の奨励会三段リーグ時代に次点2回を獲得しながらも、フリークラスの棋士としてプロ入りしなかったことが有名。これについては本人も先日のニコ生で語っています。
中田七段もこの時のことを振り返って話してくれました。
親御さんも本人も「どっちでもいい」
中田功七段は、弟子が三段リーグで次点を2回を取ったと聞いてフリークラスの制度や給料、順位戦参加の四段とどう違うのか、将来など、いろいろ調べたそうです。
そしてまずは佐藤天彦三段の親御さんにこれを説明し、どちらにするのか尋ねたとのこと。すると親御さんから「中田先生にお任せしますので」という返事が。
そこで今度は本人の希望を聞こうと思って会ったのですが、本人も「どちらでもいいです」と答えたそうです。
オジサンたち相手の星勘定させられない
中田七段は「(当時の)16歳からオジサンたち相手に(フリクラ脱出のための)星勘定してるようじゃね。それよりは当時の三段リーグ、豊島くん(現・豊島将之七段)とか、精鋭ばっかり。もまれて力をつければいい」ということで、三段リーグ残留を選択したとのこと。
佐藤天彦さんはその2年後の2006年に、晴れて順位戦に参加する四段としてプロ入りします。
B1に上がった時は連絡なし
2014年には順位戦B級1組に昇級。
この時のことについて中田功七段は「昇級の報告がなかった」と寂しそうに発言。
楽しみに待ってたのに
最終局を残して1月に昇級を決めたのですが、中田七段は「びっくりしまして。本人の報告を待っていたんですよ。そしたら報告来ないんですよね」と振り返り「あ、順位戦が最後まで終わってから来るのかな、と思っていたんですが、終わっても来ないんですよ」と述べました。
中田七段は「そうこうしているうちに、3月の健康診断でばったり本人と会った。『なんで連絡しないだよぉ。楽しみに待ってたのに』って言ったら、彼が『えっ!?』って言ったんです」と発言。この佐藤天彦七段(当時)の「えっ!?」は、本人としては報告したつもりだったのか、報告の必要はないと思ったのか、それとも他の理由があるのか、今でもわからないのだと不思議そうに話していました。
中田七段は、弟子と頻繁に会うわけではないので「楽しみにしているんだから、次はちゃんと報告してくれよ」と佐藤天彦七段にお願いしたとのこと。
A級に上がったら朝5時に報告
1年後、今度も最終局(抜け番をあわせると2節)を残してA級に昇級。
そのときはなんと朝の5時にメールが来たそうです。中田七段はその対局を見ていたそうで「見てたよ!おめでとう」と返信。
その後、電話が来て話もしたそうです。
よかったですね、中田七段。弟子がA級上がって、それに連絡もくれて。連絡しない主義の棋士もいるようですが、中田七段は連絡もらって嬉しい派。
余談ではありますが、NHKの将棋講座テキスト2015年4月号の「貴族 天彦がゆく」では、佐藤天彦八段本人がこのA級昇級の日の夜のことにうれしそうに書いていますので、お手元にある方はご覧になってみてください。
あとは見守るだけ
中田七段は弟子のA級昇級について「びっくりしました。でも残留するの大変なんですよね」と心配したものの「もう、あとはね、見守ってるだけ。まだ、これからですよね。残留しようが降級しようが、まだまだ先がある。残留してくれればうれしいですけどね」と穏やかな声で話していました。
コメント
C1、B2昇格のときは報告したのかな
弟子と師匠ってプロになってからだとほとんど会わないって人が多いね
師匠といっつも一緒ですって棋士どれくらいいるんだろう
コメントありがとうございます!
C1やB2の時のことは話してませんでしたね。
今度佐藤天彦八段がゲストで来たら、誰かメールしてくれないかなと。
あんまり師匠と一緒にいる弟子って、思い浮かばないですよね・・・。
一年後、1期で名人挑戦、そして名人位獲得。