斎藤慎太郎六段が、ツイッターで将棋用語検定をしていましたのでご紹介します。
将棋用語は難しい。紹介がてら、将棋用語検定はじめます。意味や形がおよそわかれば○
4級 両王手 割り打ち 指し過ぎ
3級 味がよい 中合 ○○先生の振り歩先
2級 残念棒 余せる おまじない
1級 半分返し 梅三小路(漢字を変換)
1級はおまけです。棋士間だけで使用。(斎藤)
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
出題の翌日、それぞれの問題の答えや意味の解説もツイートされていましたので、この記事でまとめてご紹介します。
また、私が所持している以下の各将棋用語集に、これらの言葉が掲載されているかどうかも書いていきます。問題の難易度や、用語集を購入される際のご参考に。
- 「日本将棋用語事典」(編集委員:森内俊之、佐藤康光、島朗、池畑成功、荒木一郎、編集協力:中原誠、米長邦雄、羽生善治、監修:原田泰夫、プロデュース:荒木一郎、2004年)・・・「事典」
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「読む将棋百科」(羽生善治、2009年)・・・「百科」
- 「将棋ガイドブック」(日本将棋連盟開発課、2003年)・・・「ガイド」
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「HIDETCHI Japanese-English SHOGI Dictionary」(Tomohide Kawasaki、2013年)・・・「和英」
(この記事では、それぞれ「事典」「百科」「ガイド」「和英」の略称を使います。すべてが単に「用語辞典」という性質のものではないですし、単語が網羅されているから優れている、逆に網羅されていないから優れていない、ということではありません)
両王手、割り打ち、指し過ぎ
まずは4級の答え。
昨日の将棋用語を紹介していきます。
両王手=二つの駒で同時に王手をかけること。言葉では難しいので何も置いてない盤面で現します。
後手の王を1一に置く→先手に1五角と1九香を置いて1五角を3三に動かすと両王手
飛角香のいずれかをつかうと両王手の形ができます。形が作れればOKです。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
詰将棋なんかでもよく出てくる両王手。強烈です。両王手が狙える局面では、必要以上にやりたくなる。
割り打ち=持ち駒の銀を、斜め後ろの利きを利用して相手の飛もしくは金が二枚その利きに入るよう打ったときにそう表されます。盤面では後手の3二金+5二金に対して先手が4一銀と打ったときなど。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
これは普通に使いますね。これも必要以上にやりたくなる。
指し過ぎ=攻めの手が勢い余ってしまい、その事を逆用される様。例→「香を捨ててまでの攻めは指し過ぎだった、その香で反撃されましたので」
日常では、何かやり過ぎたときなどで使われます。例→「夜中にラーメンと焼き飯は指し過ぎ」など。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
斎藤六段もご指摘の通り、日常会話で使えそうです。頭を抱えて「つい餃子も注文してしまった!!指し過ぎたああああ!!」とか言ってみたいです。
これらの言葉は多くの用語集で網羅されています。
両王手が掲載されているのは「事典」「百科」「ガイド」「和英」
割り打ちは「事典」「百科」「ガイド」「和英」
指し過ぎは「事典」「ガイド」「和英」
味がよい、中合、振り歩先
3級は観る将中級者ぐらいは知っていそうな言葉です。
味がよい=およそ2つ以上の効果のある着手を1手で表現できたとき。例えば取られそうな駒を逃げた手が相手の駒を取れるときなど、効果が3つを越えると味がよすぎると表されますね。
日常では、いくつかの信号を止まらず進めたり、駅のホームに上がると同時に電車が来たりするときに使えます。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
斎藤六段は、雑誌「将棋世界」の2015年10月号のインタビューでも、「実生活で棋士だと実感すること」を聞かれて
電車でピッタリ乗れたときに「味がいい」と言っちゃうとか、将棋用語が出てしまうことでしょうか
と回答されていますので、好きな用語なのだと思います。
中合→合駒は、相手の飛角香いずれかの離れたところからの王手に対して王手を遮る駒を置いて受けることですが、その合駒を王からも王手した駒からも一マス以上離れた空中に、ただのところに合駒した場合に使われます。ただで取らせる効果が出る場合があるのですが、中合をすることは少ないです。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
中合ができるようになったら中級者ぐらいでしょうか。無駄に中合をしたくなる時期があります。
○○先生の振り歩先=これはプロの公式戦で振り駒する際のかけ声ですが、そもそも振り歩先とは、振り駒を振る側から見て歩が多い場合に振る側が先手になる決まりで、将棋指される方にとってはいつも通りの事でした。
公式戦では、記録係が上座側に座る先生の歩を持って冒頭の発声をします。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
「振り歩先」は「ふりふせん」、と読みます。これは将棋中継を見ているとよく聞く言葉ですね。3級はかなり実用的な用語が並んでいます。
味がよいが掲載されているのは「事典」「ガイド」「和英」
中合は「事典」「百科」「ガイド」「和英」
振り歩先は「事典」「百科」「ガイド」「和英」
残念棒、余せる、おまじない
2級はやや難しいです。
残念棒=プロ公式戦において、棋士が投了した局面で1分以上の考慮があったとき記録用紙には指し手の欄に横棒線を引いて考慮時間を書く決まり。その横棒線を俗称ですが残念棒と呼ばれるようです。その棒線には1局を振り返って反省したり、後悔の念が感じとれます。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
へー!残念棒。これは面白いですが、でも辛い用語。
余せる=相手の攻めを正確に受けきれば勝ちきれるときに使われます。相手の攻めを受けているとき限定のようです。→○○先生が余してそうにみえる。
という感じで使えます。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
これは解説でよく聞きますね。言葉のニュアンスからしてそういうことなんだと思っていましたが、斎藤六段に解説いただくとあらためてよくわかりました。
おまじない=狙いはとくにないが将来利いてくるかもしれないと期待して指した手。相手のミスを待つようなニュアンスもあり、局面がやや不利から苦しめの際に使われることが多い。個人的には歩を適当な場所に打つ手がおまじないになりやすいかと思います。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
「おまじない」は将棋以外の世界でも使わえることがありますね。その行為の意味を一言で説明するのが難しい時に使うことがあります。なるほど、将棋ではそういう意味で使うんですか。勉強になります。
残念棒が掲載されているのは「和英」
余せる(余す) は「事典」「百科」「ガイド」「和英」
おまじないは「和英」
半分返し、梅三小路
1級は難しいです。プロ棋士でも・・・。
1級わからん。
— Daisuke Katagami (@shogidaichan) 2015, 10月 24
ハイレベルです。
半分返し=相手の考慮時間が長め(20分以上?)で着手してきたとき、自身がその半分くらいの考慮時間で着手を返すこと。と私は解釈しています。
これは持時間も勝負のひとつという前提で、相手の長考で持ち時間をリードしたのでその半分まで考えてもOK、と指し手を決める際の目安時間にしてます。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
へー!普通は、半分返しといったらお祝い金をもらった時に、お返しとして半分ぐらい返すことだと思いますが、将棋界ではこのような使われ方をするんですね。精進します。
そして最後は本当に本当に難しい。超難問。正解が分かる人は世界に何人いるのだろうか。
1級にした梅三小路は関西限定でしたかね笑
盤上のとある状況ですので、場所としての意味はなく語呂合わせです。明日、順番に紹介します。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 24
梅三小路=うめさんこうじと読んで、埋めさん工事と書く。自玉のいる自陣が攻め崩されてきたとき、持ち駒の金や銀を埋めて工事する→埋めさん工事。なんかすみません。
10秒将棋などで▲3八金、▲3九金打、▲2八銀などを打ちつけながらつぶやきます。穴熊の将棋で頻出します。別称はリフォーム。
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 25
梅三小路は大阪市北区にある専門店街のようです。斎藤六段は奈良県出身で関西所属。「語呂合わせ」と言っていますが・・・関西らしいオヤジギャグですね!
考えていただきありがとうございました。半分返しは私の知識不足もあり正確な意味と異なるかもしれませんm(__)m
棋譜の中継などで使われていたら思い出したり、使えそうな用語があれば使ってみてください(^^)
(斎藤)
— 西遊棋実行委員会 (@kansaishogi) 2015, 10月 25
なお、半分返し、梅三小路ともにすべての用語集に記載はありませんでした。斎藤慎太郎六段のおかげで、知識が広がりました。
特に梅三小路は今後の記事で絶対に使わせていただきます。斎藤六段、ありがとうございました。
将棋ファン歴2年弱の私(管理人)は3級でした。次もあれば、がんばります。
知れば楽しい将棋用語はまだまだあると思います。当サイトでは今後も将棋用語をご紹介していければと思っていますので、よろしくお願いいたします。