日本将棋連盟と三浦弘行九段、一連の騒動について和解が成立

第29期竜王戦七番勝負の挑戦者だった三浦弘行九段が出場停止処分を受けたものの、その後の調査で三浦九段は不正を行っていないと結論づけられた一連の騒動について、三浦九段と日本将棋連盟が合意したということで会見が行われました。

この記事では、その会見について私が重要そうだと思った点について記しておきます。

会見の模様については、ニコニコ生放送をご覧下さい。

合意内容については日本将棋連盟のホームページにも掲載されています。

また、本件の経緯については、この記事の最後の方に簡単に書いておきます。

合意内容要旨

会見で佐藤康光会長から伝えられた、合意内容の要約。

・第三者調査委員会の報告書「不正の根拠はない」「出場停止処分はやむを得なかった」を双方受け入れる。

・連盟は三浦九段に謝罪し、慰謝料(金額非公表)を支払う。

・今後は相手方の名誉等の毀損等を相互にしない。三浦九段は今後、民事・刑事ともに何ら請求しない。

・昨年10月11日の三浦九段の聴取において、休場の強要はなかった、「竜王戦は開催されなくなった」という発言はなかったということを確認する。(聴取の際に「このままでは問題である」という趣旨の話題が出ており、三浦九段がこれを「竜王戦不開催」と認識した)

・これをもって円満解決とする。

その他

合意内容以外の内容のうち、重要そうなこと。

・三浦九段によると、会見の前に、渡辺竜王から謝罪があったとのこと。急だったので驚いたそうだが「お互い傷を負った」という話も三浦九段からしたようだ。将棋界を盛り上げたいというはお互い暗黙の了解ではないかとのこと。渡辺竜王から「すみませんでした」と2回か3回繰り返し言っていただいた、と発言があった。

・渡辺明竜王が今年2月10日のブログで「いずれは皆さんの疑問に答えますが、双方向性のある場でないと説明が難しい」と書いていた件について記者から質問があった。佐藤会長は「現状こちらではわかりませんので、ちょっと、お答えできないところでございます」と返答した。

・「今後対戦したい棋士を3人あげてください」と質問された三浦九段は「えー、まあ、やはり藤井聡太くん。と、そうですね、あと二人、えー、まあ、じゃあ、渡辺竜王。あと一人。あと一人、あと一人ですか。橋本くん(橋本崇載八段)で。別に他意はないんですけど。はい」と応えた。

三浦九段と橋本崇載八段

・2016年10月13日 処分発表の翌日であるこの日、橋本八段が三浦九段の疑惑について「1億%クロ」「二度と戦う気しない」などとツイート。しかしその後一転して「不正と断定した事実はない」ともツイート。

・12月10日 橋本八段が著書「棋士の一分 将棋界が変わるには」(角川新書)を発売。三浦九段の疑惑についても書かれていました。

・2017年3月1日 橋本八段が、三浦九段に謝罪したことを明かし「一兆%無実です。疑ってごめんなさい!」などとツイート

・5月11日 三浦九段がラジオ番組で「橋本さんはちゃんと謝ってくれた」と発言。

・5月24日 三浦九段が会見で「今後対戦したい棋士3人」のうちの1人に橋本八段をあげた。

騒動の経緯

2016年10月12日、日本将棋連盟が三浦九段の出場停止処分と第29期竜王戦七番勝負の挑戦者変更を発表。

その後の報道等によって、三浦九段が対局中にソフトを不正に使用したという疑惑があり、連盟は三浦九段に休場を求めたものの、三浦九段が休場届を出さなかったための処分だったとわかった(しかし、その後の調査によって実際は不正はなかったことがわかった)。

特に渡辺明竜王は、週刊誌のインタビューで三浦九段が「クロ」だという考えを強く示唆。他の棋士らも本件についての考えをそれぞれ表明したりして、大騒動になった。

12月26日、連盟が設置した第三者調査委員会が、「疑惑の根拠とされたもの、いずれも実質的な証拠価値は乏しく、不正の根拠はない」「出場停止処分は当時の判断としてはやむを得ない」などとする調査結果を発表。

2017年1月19日、当時の谷川浩司日本将棋連盟会長、島朗常務理事が辞任。2月6日に佐藤康光九段が新会長に就任した。

2月27日、棋士らから処分当時の連盟理事5人の解任請求があり、そのうち青野照市専務理事、中川大輔常務理事、片上大輔常務理事の3人の解任が可決された。残りの2人も次期理事選に出馬しなかった。

4月27日、連盟の理事選(予備選)が行われ、森内俊之九段、森下卓九段、清水市代女流六段、鈴木大介九段、佐藤康光九段(現会長)、脇謙二八段、井上慶太九段が当選した。5月29日に連盟の総会があり、このメンバーによる新理事会が正式に発足する。

より詳しい経緯は三浦弘行九段の件の時系列まとめ記事(その4)。 3分で振り返るマーカー付きをご覧下さい。

将棋ワンストップをご覧いただきありがとうございます。ぜひシェアをお願いします

記事の追記や更新の通知はツイッターで行います。フォローをよろしくお願いします!



コメント

  1. 棋太郎 より:

     三浦九段にとっては、過ぎてしまったことをこだわるより前を向いていこうとして、折れるところは折れて、和解を受け入れたという印象を受けました。
     和解金の額は公表されていないし公表すべきものではないと思いますが、相当の金額ではあろうと感じています。
     理由は、合意内容のうちの次の部分です。

    「三浦九段は今後、民事・刑事ともに何ら請求しない。」

     こういう和解では、和解したことによってお互いそれ以上の民事請求(金銭的請求)はなにもしないという形を取りますが、今回の合意内容に「刑事」が入っているところに注目しました。
     これは本件は三浦九段に、挑戦権の不当な剥奪等の他に、刑事で訴えを起こせるだけの被害があったということを物語っていることになります。お金で刑事事件となることを抑えたのだとすれば、相応の額でないとおかしいように思いました。
     三浦九段が和解を受け入れた以上、外野はそのことについてとやかく言う資格はありません。

     しかし、今回の告発を行った人たちが無責任に対局を続けていた姿を将棋ファンは見せられてしました。刑事事件となるようなことをしていたことについて、将棋連盟は、団体・個人ともにささやかな減給以外なんの処分も行われていません。
     確かに一部理事は辞任しましたが、理由は健康上でした。解任された理事もいましたが、それは処分ではありません。
     藤井四段の活躍が一般マスコミを賑わしていますが、まだ一過性のものと考えますし、とうの昔にコンピュータの実力は名人を超えていたと思いますが、正式に名人はコンピュータの軍門に下っており、現在のプロ棋士の存在価値はより強いコンピュータがある中で新たな局面を迎えていると思います。

     そんな中で、今回のような不当な挑戦者変更が行われるようなことが起きてもなんの責任も取らない団体が生き残っていくことが出来るのか疑問を感じざるを得ません。
     今度発足する新しい理事会が何らかの行動をして、冤罪挑戦者変更事件について将棋連盟としてのけじめを付けることをするのか、興味深く見守りたいと思います。

    • 匿名 より:

      >今度発足する新しい理事会が何らかの行動をして、冤罪挑戦者変更事件について将棋連盟としてのけじめを付けることをするのか、興味深く見守りたいと思います。

      100%ないですね。彼らはこれをもって全て解決したと思ってます。
      将棋ファンが納得していようがしていまいが、彼らは関係ないと思ってます。
      今までの態度を見て、そう断言します。

  2. かな より:

    和解については、三浦九段の考えを支持したいと思います

    ただ渡辺氏の謝罪についてはどうしても不愉快な印象があります
    「突然現れて謝罪をした」とのことでしたが、それはあまりに失礼ではないでしょうか?
    この事件で渡辺氏は終始三浦九段に礼を欠いています
    突然疑惑を突きつけ、取り調べのような聞き取りを自ら行い、今度は突然現れて謝る
    将棋は礼にはじまって、礼に終わる
    せめて謝罪くらい相手に礼を尽くしていただきたかったと思います
    連盟も当事者たちも三浦九段の懐の深さに救われています

    渡辺氏は叡王戦抽選のニコ生に電話で出演された際に謝罪をされたようですが、なにかのついでに半端な、主旨のよくわからない謝罪を繰り返すのは逆効果だと思います

    • てんてーフリーク より:

      和解内容の詳細は聞こえてきませんが、渡辺さんも和解金に協力するする旨を発言していたことから、そういった内容になっているのではないでしょうか?(もしかすると久保さんも)
      連盟だけを相手にやり取りをしていたとすれば、和解内容にあるように個別の訴えを起こさないという内容になっているあたり、関係者で折半している可能性が高いでしょう。
      そこが解決したから、本人が三浦さんの前に出てきたとみるのが自然です。

      今回の事件を俯瞰してみれば、事の起こりはやはり久保さんの訴えについて連盟が動画などで離席の確認を怠ったことが一番大きな問題だったように思います。そこから三浦さんへの疑惑が独り歩きを始めてしまい、何でもかんでも証拠になる筈だとこじ付けて周辺が騒いだのが一連の事件の本筋でしょう。その点では渡辺さんは自分も被害者と思っていると考えるのが妥当です。
      初動捜査が失敗し、竜王戦直前に今度は渡辺さん(週刊誌)が騒ぎ出した。たしかに連盟としては出場停止は仕方がないとみる向きもあるのだろうが、騒動の実態を追いかけると酷いものです。そこになにかしらの力(はやりの忖度)があったのではないかと勘繰るのも当然と言えます。やはり一連の渡辺・島らの行動について検証結果を知りたかったというのがファンの思いじゃないでしょうかね?
      (個人的には読売新聞社が圧力をかけたんじゃないかと思っている。「手を引くぞ」とね。そのぐらいの圧力がないと連盟の強引な動きは理解不能だ。)

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。