2015年1月18日に放送されたNHK杯(第64回 NHK杯テレビ将棋トーナメント3回戦・第7局、藤井猛九段VS行方尚史八段)の対局前インタビューで、行方尚史八段が藤井猛九段のことを「盟友」だと言った。
「盟友」・・・。辞書で調べてみると、以下の様な意味がある。
かたい約束を結んだ友。同志
なかなか言える言葉ではない。私はちょっと驚いてしまった。
以前の記事でも書いたが、この2人は奨励会同期(1986年入会)である。そしてこの日解説の佐藤天彦八段も含めた3人は同じ研究会に所属している。
藤井猛九段インタビュー
まずは先手番となった藤井九段のインタビューが放映された。
藤井九段は、行方八段について
「過去の対局では、私が序盤から苦しくなる事が多かった。序中盤もうまい」
「練習ではよく、昔から何十番、何百局ぐらい指しているんですけど、公式戦になると違う気持ちになる。がんばりたい」
などと話した。
二人の関係が垣間見れるが、まあ普通の、一般的な受け答えだ。
行方尚史八段インタビュー
次に、後手番となった行方八段のインタビュー。
藤井九段の印象は?と聞かれた行方八段は、ちょっとぶっきらぼう気味に「はい」と答えたあと、以下のように述べた。
「まあ、奨励会時代から数えきれないほど指してきた相手で。そうですね、まあ、盟友と言っていいと思っています」
「毎局毎局、序盤で唸らされるような構想を出される」
佐藤天彦八段の受け
このインタビューを受けて、佐藤天彦八段は
「一番、心に残るのが”盟友”という言葉だと思うんですけど。なかなか普段使わない言葉ですけど、この世界でずっと一緒に戦い続けてきた中で、一方で仲の良い友人であると」
「将棋界の中で、盟友と呼べる存在というのは多くないと思うんですね」
「盟友っていうのは友人でもあり、競う関係でもある。2人の関係を端的に表している」
と述べた。
聞き手の清水市代女流六段も言っていたが、このようなインタビューで堂々と「盟友」と言える行方八段って、なんかいいですね。なかなか言えるもんじゃないですよこれは。
そしてそれを言わせてしまう藤井九段の魅力。解説でも面白い人なんですが、普段も魅力的な人なんだろうな・・・と思いました。
行方八段が勝利
以前の記事でも書いたが、この対局は行方尚史八段が勝利した。
藤井九段は竜王3連覇などの実績を誇る大棋士であるが、最近の2人の対戦成績は行方八段の5連勝である。