第25回世界コンピュータ将棋選手権は、2015年5月5日に決勝リーグが行われ、ponanzaが圧倒的な強さを見せつけ7戦全勝で初優勝を果たしました。
ponanzaは2次予選では1敗(対AWAKE戦)。ただし、これは大会を通じて不安定だったネットワークに起因する時間切れによるもので、局面は勝勢でした(棋譜)。
最終成績
大会の最終成績は、以下を参照ください。
決勝リーグでは、ponanzaが最終戦を残し優勝を決めていました。最終戦は、2014年の「第2回将棋電王トーナメント」でも優勝を争ったAWAKE。
最終戦の棋譜はこちら。初手▲5八金右だったり、相手の飛車先の歩を平気で交換させたりと、ponanza、そしてコンピュータ将棋らしい戦いを見せ、この一局も制しました。
2位はNineDayFever
2位は5勝1敗1分のNineDayFever、3位は4勝2敗1分けのAWAKE、以下、Apery、GPS将棋、YSS、激指、2次予選で史上初の入玉宣言勝ちを達成したSeleneは決勝リーグでは全敗で8位に終わりました。
優勝後
ponanzaの圧倒的な力による優勝。そして開発者・山本一成さんのツイート。
全勝優勝しました。
ここまで長かった。
Ponanza強くしたい。
— 山本 一成@Ponanza (@issei_y) 2015, 5月 5
優勝を達成しても、まだまだ情熱がある様子。
ponanzaを止めるのはNineDayFeverか
全局終了後、この日現地で解説をしていた遠山雄亮五段は、来年ponanzaを止めるのは「2位のNineDayFeverなのかもしれない」と述べていました。
阿部光瑠五段も「個人的にはNDF(NineDayFever)が。自分が見た時より格段に強くなっているという印象」と述べていました。
NDFは、コンピュータ将棋に非常に詳しい千田翔太五段も注目していて棋風に影響を与えているという話も聞きますし、今回の2位も含めて、打倒ponanzaに向けて期待が高まっていると思います。
優勝インタビュー
以下、優勝後に行われた開発者らのインタビューを要約します。
優勝の感想
ponanzaの山本一成さん「リベンジしたい相手がいっぱいいたが、全員に勝って、僕、満足です」
ponanza共同開発者の下山晃さん「昨年に続きネットワークトラブルもあったが、今年は報われてよかった」
優勝の原因は?
ponanza山本さん「昨日もがんばって徹夜でプログラム書いてました」
印象に残った戦いは?
ponanza山本さん「優勝を決めるApery戦。お互いの評価値が300点ぐらいという状況が続いて、なかなかApery先生が納得してくれなかったのが苦しいところでした」(棋譜はこちら)
来年の目標は?
ponanza山本さん「連覇を目指して頑張りたいと思います」
追って来る者に対して宣戦布告を
ponanza山本さん「来年のほうがよりponanza強くなるんで、追って来れないと思うんで、みなさんがんばってくださーい!」
他の開発者のインタビュー
来年へ向けての意気込み、挑戦状
Apery平岡拓也さん「(賞品の)パソコンずっともらい続けて、それでクラスタ作って・・・(勝ちたい)」
AWAKE巨瀬亮一さん「来年はponanzaにちゃんと勝てるように。(電王トーナメントのような)逆転とかではなく、完勝したい」
NDF金澤裕治さん「今年は時間設定があれだったので、そこを直せばもうちょっとまともに戦える。来年は覚悟して」
その金澤さんに向けてponanza山本さんが強烈な一言
「負け惜しみありがとうございまーす」
異文化体験
決着後、開発者、関係者らは和気あいあいとしていて、これはこれでプロ棋士の将棋とは違った面白さがあっていいですね。フランクなんですね。プロ棋士は勝った後に「負け惜しみありがとうございまーす」とは言えない。
将棋の世界のなかでも異文化体験ができる「第25回世界コンピュータ将棋選手権」はニコニコ生放送で放送され、以下のようにタイムシフトもありますので興味がある方はご覧になってみてください。
こちらは公式放送。
さらに時間がある方はこちらも。千田翔太五段をはじめ、いろんな方がゲストにいらっしゃていました。
以上、ありがとうございました。