2015年3月5日におこなわれた、第73期名人戦・順位戦A級の挑戦者決定プレーオフ1回戦は、後手の久保利明九段が先手の広瀬章人八段に勝利。この結果、久保九段はプレーオフ2回戦に進出し、渡辺明二冠に挑むことになりました。
振り飛車の星
今期、B級1組では藤井猛九段がB級2組へ降級。
ふと見渡すと、B級1組以上には振り飛車党と呼べる棋士がほとんど、というか久保九段以外にいなくなってしまいました。
今日対局した広瀬章人八段も、かつては「振り穴王子」と呼ばれていましたが近年は居飛車を指すことが多いです。
振り飛車は、もう最近では「不利飛車」と揶揄されて久しいですが、やはりアマチュアでは人気のある戦型。振り飛車の火を消さないためにも、久保九段には期待しておりました。
超急戦に
この1戦で、久保九段はゴキゲン中飛車を選択。
それに対して、広瀬章人八段は7手目に超急戦を誘う▲5八金右。超急戦の説明は大変難しいので書きませんが(すみません)、とにかく一手一手が難しく時間を使う展開に・・・。
もう私の棋力では説明が難しいので、詳しい棋譜は、名人戦棋譜速報などでご覧ください。
野月浩貴七段と山口恵梨子女流初段のトーク
この対局はニコニコ生放送で放送されていたのですが、そのなかでは「棋戦」や「対局」の規定に関して、いくつか面白いトークが聞けました。
C級2組はなぜか降級点取得者より昇級者が下の順位
ひとつは、順位戦・フリ―クラスの規定の話。簡単に説明すると、B2やC1と、C2では、新たに昇級して参加した棋士の扱いが違うのです。
B2やC1だと、その順位は上から、上位クラスからの降級者→前期の成績→下位クラスからの昇級者→前期降級点を取った棋士。つまり新たに昇級してきた棋士は降級点を取った棋士より上の順位となります。
一方でC2では、その順位は上から、上位クラスからの降級者→前期の成績→前期降級点を取った棋士→下位クラス(三段リーグ、フリークラス)からの昇級者、となります。C2では昇級者は必ず最も低い順位になるのです。
順位戦ではこの「順位」というものが非常に重要。同じ成績(勝敗)で並ぶと、順位によって降級したり、昇級したりするためです。詳しくは将棋連盟のホームページを参照ください。
野月浩貴七段によると、このC級2組の謎の規定の理由は「新人は活きが良いから」すぐに上に上がるはず、だとのこと。
しかしですね、ニコ生の画面にも流れたのですが、この規定に熊坂学五段は泣いたことになると思うと切なくなりました。
ショートパンツ禁止
また、山口恵梨子女流初段によると、最近、女流棋士の対局規定で、対局中の服装として「ショートパンツが禁止」されたということです。これはある女流棋士のための(せいで)の規定だということです。
山口女流初段は決して誰とは言いませんでしたが、ニコ生の画面には「リサリサか」「竹部か」などという文字が流れたことをお伝えしておきます。リサリサとは、竹部さゆり女流三段の愛称です。
次は苦手な渡辺明二冠戦
この対局は68手で久保利明九段が勝利。ただ、次の渡辺明二冠とは最近相性が悪いようで、先日のA急順位戦最終局でも完敗し、7連敗中(たしか)。
といっても渡辺明二冠は過密日程の中なので、どうなるかわかりません。プレーオフ2回戦は3月10日に行われます。
一方の広瀬章人八段は来期の順位4位が確定しています。