2015年3月19・20日に行われた第64期王将戦7番勝負第6局は、挑戦者の先手・郷田真隆九段が後手・渡辺明王将に勝利。
これで対戦成績は3勝3敗となり、決着は第7局に持ち越されました。
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戦型は角換わりに
戦型は大流行の角換わりに。このシリーズでも4回目の角換わりですが、実は渡辺明王将は、防衛を決めた先日の棋王戦第3局なども含め、角換わりは確か2年ぐらい負けていないという強さ(15連勝という情報が・・・)。
それに郷田真隆九段が挑むという構図になりました。第5局では郷田真隆九段が△6三歩という新手を見せましたが、その評価は定まらず、結果は渡辺王将の勝利に終わっています。
第5局の進行から渡辺王将が変える
序盤は先後を入れ替えて第5局の進行をたどり、前述の△6三歩の前の局面に(49手目)。
ここで後手の渡辺王将が前例を離れ△4三金左と、4筋の厚みを築く手を選択。玉の周りに金銀がいなくなりました。
すかさず郷田真隆九段は、玉頭を継ぎ歩に垂れ歩。
玉頭に歩を垂らすことに成功します。
郷田九段の長考
玉頭に歩を垂らせれた渡辺王将は△6三歩と角頭に歩打ち。これに対し郷田九段は2時間半の長考。
郷田九段といえば長考派ですが、この王将戦は二日制ということもあってより長考が目立っていると感じるのは私だけでしょうか。
渡辺玉が入玉模様に
9筋の応酬で後手の渡辺王将が拠点を作ると、郷田九段は玉頭に垂らした歩を成り反撃。
後手はこのと金を玉で取り、敵陣を目指しました。
原野商法にひっかかった
郷田九段は後手陣に飛車、銀、歩、角を次々に投資。しかし後手玉は1筋から先手陣に逃走。郷田九段の投資した駒が取り残された様子を見て、ニコ生解説の田中寅彦九段は「原野商法にひっかかった」と表現しました。
原野商法とは、利用価値のない土地を騙して買わせるという、かつての日本ではメジャーな(?)悪徳商法の一つでした。
やった!やったか!やったか?
120手を過ぎた頃から、焦点は入玉模様となった後手玉に寄せがあるかどうかに。
ニコ生解説の田中寅彦九段は、後手玉を寄せる筋を発見しては「やった!(郷田九段が)勝ったぞ!」と叫び、しかしその次の瞬間には別の応手を指摘され「ちょっとやめてよ!あら?」と手のひらを返すなど、大混乱。
田中九段は、10回ぐらいは「やった!」と郷田九段勝ちを宣言し、直後に撤回することを繰り返しました。
泥仕合、世紀の愚局
「解説者が読んだ手が当たりだすと、決着が近い」というのは将棋の定説ですが、この対局は終盤になっても、両者秒読みになっても、田中九段が両対局者の手を当てることができず、またニコ生ユーザーが流すソフトの評価値や現地の見解も二転三転。
おそらく対局者も秒読みで間違えた手も多かったと思われます。が、これが人間同士の対局。この難解かつ面白い終盤戦を、田中九段は「泥仕合」「世紀の熱戦であり世紀の愚局」と表現していました。
えええ!!投了
先手の149手目、▲4三成桂を見た田中九段は「ええええーーーー!!」と絶叫。
田中九段は「なんでぇ?」とこの手を不思議がりましたが、この手を見た渡辺王将は投了。
本当に最後まで見逃せない終盤でした。
おそらく逆転に次ぐ逆転だったのですが、田中九段の見解としては、138手目の△6九銀が「スゴいスカタン」だったとのことです。
2期連続のフルセットに
これにより、今期の王将戦も前期(挑戦者・羽生善治三冠(当時))に引き続きフルセットに。
偶然にも前期と同じ星取り(渡辺王将から見て第1局から、勝ち、勝ち、負け、負け、勝ち、負け)。前期は渡辺王将が第7局を勝ち防衛を果たしましたが、今期はどうなるのか。
第64期王将戦7番勝負第7局は3月26・27日、青森県の「弘前市民会館」で行われます。
コメント
記事、ありがとうございます。
先手の149手目は、「▲4三桂成」ではなく、「▲4三成桂」ではないでしょうか。
コメントありがとうございます。
失礼しました。ご指摘いただきましたとおり、桂成は成桂の間違いでした。
自分でも読み返しているつもりではありますが、気付かない間違いもあり
ご指摘いただきますと大変助かります。
と同時に、毎回反省しています。申し訳ありませんが徐々に改善されることを長い目で
見ていただければと思います。
当サイトをご覧いただきまして、ありがとうございまます。
今後ともよろしくお願いします。
管理人様の情報収集力や記事作成力に、ただただ頭が下がるばかりです(あと、棋力や周辺知識量にも)。
これからも楽しく読ませていただきます。
再びのコメントありがとうございます。
いえ、私管理人はまだ将棋歴が浅く棋力も低いと自覚しております。
また将棋関係者でもありませんし、書けることが限られていて、時間的にも自分が出来る範囲で書いています。
ニコニコの将棋放送ユーザーの(確か)30%は初級者か観る将棋ファンだと聞きます。
ちょうど私と同じように、ここ数年で将棋ファンになった方や、まだ将棋に触れたばかりの方も
わかりやすく、将棋の魅力が伝わるサイトとはどのようなものか、日々模索しています。
私の記事だけでなく、各種将棋関連ニュースや棋士・女流棋士の方々のツイッター・ブログ等を、
(年配の方も含めて)わかりやすく、アクセスしやすいようにするにはどういう見せ方がよいかとか。
まだサイト開設から2ヶ月ではありますが、サイトを訪れていただける方の期待に
応えられるように運営してまいります。
コメントありがとうございました。
私は管理人さんより棋歴は長い(30年以上)のに棋力は低い(アマ4級くらい? 観る将専門だからなのか)ので、管理人さんすごいなーと素直に思います。
ちょくちょく小ネタをはさんでくる管理人さんのスタイルが好きで、拝読しています。
コメントいただきましてありがとうございます。
30年以上!大先輩でしたか。
では棋力の向上はお互いの(?)テーマですね。
小ネタをはさんだ覚えは・・・?
前にも書きましたが、どうやったら初級者、観る将の方、また将棋を知らない方にも
伝わるか、模索中で、いろいろ試している最中です。
今後とも、よろしくお願い致します。