第65回NHK杯テレビ将棋トーナメント1回戦第15局は、2015年7月12日に放送されました。
▲戸辺誠六段VS△山崎隆之八段という注目の対決。
この対決は、乃木坂46の伊藤かりんさんの先生対決でもあります。戸辺六段は、雑誌「将棋世界」の「かりんの将棋上り坂↑」という講座の連載でかりんさんの講師を務めていますし、山崎八段はNHK杯の直前に放送される「将棋フォーカス」でかりんさんとともに司会を務める棋士です。
そしてこの日のNHK杯の直前に放送された将棋フォーカスでは、かりんさんが山崎八段の案内によって関西将棋会館を訪問する「ブラかりん~大阪・関西将棋会館~」というVTRが放送されました。
このVTRでは、山崎八段とかりんさんの2人の世界なのかなと思ったら・・・関西将棋会館道場でのかりんさんの対局を密かに見つめる戸辺六段の姿がありました。
ただ、番組内ではこの戸辺六段の存在についてナレーションなどでも一切触れられず。見間違いなのかなと思ったのですが、何度見ても戸辺六段。かりんさんの後ろに佇んでいた(山崎八段と話していた?)ように見えました。心配になって大阪まで来たのでしょうか。なんか、ちょっと・・・いえなんでもありません。たぶん将棋世界に掲載されるんでしょうね。
詳しい棋譜はNHK杯のホームページでご確認ください。
ちなみに、将棋フォーカスのもう一人の司会である中村太地六段は、今期のNHK杯は予選で敗退しています。
追記:記事リリース後にタイトルを変更しました。
相振り飛車模様に
戦型は、先手の戸辺六段が四間飛車からの三間飛車に。一方、後手の山崎八段は飛車を1筋に振って一間飛車(?)を採用。
これも相振り飛車と言えるのでしょうか。とにかく相振り飛車模様になりました。山崎八段らしい戦い。
ただその後は常識的にお互い玉を囲いあう落ち着いた展開に。
49手目▲6六歩。この手で先手の飛車の横利きが止まりました。
その瞬間に端から攻める後手。
攻めは快調で、以下の局面はあたりは後手が良かったようです。
山崎八段が優勢
山崎八段が感想戦で「桂を跳ねてさすがに勝ちになったと思った」と述べた局面が以下。
具体的な後手の勝ち手順は、感想戦の時間が短くてよくわからなかったです。ただ我が家のAperyさんによればこのあとの数手~十数手は後手の評価値が1000を超えて、一時2000近くになっていて、山崎八段が感想戦で述べたようにどこかで自陣に手を入れるか、左辺からの挟撃体制を築ければ(どこかで△6六桂とか?)勝っていた可能性が高いです。
戸辺六段が逆転
山崎八段が秒を読まれて一瞬躊躇しながら指したのが以下の104手目△4七香不成。一瞬△4七成桂としようと思ったようで、解説の広瀬章人八段によれば「数手後の読みを指そうとした」ようです。それだけ追い詰められていたということでしょうか。感想戦では、山崎八段がここで△7二香と受けていれば、後手玉に詰めろをかけ続けるのは難しかったはずだと振り返っていました。
山崎八段が「王手は追う手の悪い見本」(安易に王手をかけてしまう手によって、相手玉を逃してしまうということ。逆に「玉は包むように寄せよ」と言われるように、玉の逃げ道を断って挟撃するのがよいとされます)と悔やんだように、先手玉は後手の攻撃陣をかわして左辺へ。
以下の局面では、直前に先手が▲4三飛成として銀を補充したのに対し、後手はさらに先手玉を追いかける△3八馬。一応書きますが、我が家のAperyさんはこれで逆転したと判定しました。ここではやはり受けに回るべきだったようです。
この手を指し、▲6九玉 △5二銀という手順の間に、山崎八段はがっくりと肩を落としたり、頭を抱えたり、顔をしかめたり、お茶を飲んだりしていました。広瀬八段は「これは体勢が入れ替わった」として逆転したと解説しました。
先手の119手目△4一竜を見て後手が投了。勝った戸辺六段は、次は飯塚祐紀七段との対局となります。
男の勝負に
伊藤かりんさんは、以前のラジオ番組で好きな棋士について次のように話していました。
「番組でご一緒させていただいている先生2人と、教えていただいている先生が1人いて。その3人を差し置いて、誰が好きとかは言いにくい。えへへ」
今回の活躍で、戸辺六段がかりんさんのハートを捉えたかはわかりません。
山崎八段は、格好よく勝とうとして逆転されてしまったパターンでしょうか。だいたい、男の勝負に若い女性がからむとこういうことが起こりがちなんです。
そんな心理状況も書かれているかもしれない詳しい解説は、NHK将棋講座テキスト9月号に掲載されます。
以上、ありがとうございました。
コメント
お世話になりマンモス。
やはり!あれは戸辺先生でしたよね。自分も気になっていました。
山崎先生と戸辺先生の対局、面白かったです。
山崎先生の辞書に「定跡」という言葉は無いんだろうなあ。
コメントありがとうございます。マンモスです。
何度見ても戸辺六段でした。かりんさんの対局中は山崎八段と喋っていたように見えます。
記事に書きましたとおり、山崎八段が終盤まで相当良かったはずで、あの構想は成功していたのだと思います。千日手の可能性もありましたし、後手番としては十分だったんだなと。もうちょっと見たい気がしましたね。
あとかりんさん、NHK将棋講座テキストの紹介の時、毎週ひとつ記事の内容を言うようになりましたね。あれいいと思います。
しかも2週連続、私も面白いと感じた記事でした。コメントありがとうございます。
山崎八段の戦いぶりから、
管理人さんの若い女性が絡んだ男の勝負あるあるに激しく同意してしまいました。
最近の記事にある一杯飲んだ後のタクシーでこそきける本音といい、管理人さんの見解には、なるほどと思うことが多々あり、非常に興味深いです。
コメントありがとうございます。
対局中はそこまで大差があるとは思っていなかったんですが、感想戦で山崎八段が勝利を確信していたように述べていましたので、ちょっとでも意識があったのかなぁと。いや誰でもあると思うんです。ちなみに対局者はお二人共既婚です。
一杯飲んだ後のタクシー、あれは感動ですね。ああいう仕事はすごい。知りたいことを伝えてくれる。
コメントありがとうございます。