新生「第1期電王戦」、エントリー制の新公式棋戦(名称公募)優勝者が最強ソフトと2日制2番勝負で対決へ

2015年6月3日、今後の将棋電王戦に関する発表会が行われ、ドワンゴが主催する新棋戦の誕生(名称公募)が発表されました。

この棋戦はエントリー制ですが、糸谷哲郎竜王、森内俊之九段、藤井猛九段、佐藤康光九段、佐藤天彦八段をはじめ豪華な棋士が既に参加を表明しています(後述)。

そしてこの新棋戦の優勝者が、将棋電王トーナメントの優勝ソフトと、2日制2番勝負による頂上対決をすることがあわせて発表されました。

本件のこれまでの経緯は、以下の記事でご覧ください。

ドワンゴと将棋連盟、将棋電王戦に関する記者発表会を2015年6月3日に予定

また、週刊新潮は事前に、将棋電王戦に関してある「ベテラン棋士」の話として「羽生善治名人らが参加する棋戦になる」と伝えていました。

週刊新潮の「将棋電王戦に羽生名人参加」記事の信憑性

なお今回の発表会には、株式会社KADOKAWAから角川歴彦会長、ドワンゴから川上量生会長、日本将棋連盟から会長の谷川浩司九段と専務理事の青野照市九段が出席しました。

スポンサーリンク

発表内容

6月3日の発表会において明らかになった、新棋戦、電王トーナメント、新将棋電王戦の概要です。

・ドワンゴ主催の新公式棋戦が開催される。参加権利のある棋士は、全プロ棋士(女流棋士は除く)。エントリー制となる

・第3回将棋電王トーナメントが行われる

・新棋戦の優勝者が、第3回将棋電王トーナメントの優勝ソフトと対決する。2日制で、先後入れ替えて2局行う

それぞれの詳細は以下に示します。

エントリー制の新公式棋戦

発表があった新公式棋戦の概要です。

・全プロ棋士に参加の権利があるトーナメント戦がドワンゴ主催の公式棋戦として、2015年6月から開催される

・新棋戦名は公募する。公募要項はこちら

・優勝者はタイトルを名乗ることになる

・エントリー制(希望するプロ棋士のみが参加)となる

・段位別で予選(トーナメント)を行い、各段位の選抜者16名(九段6名、八段3名、七~五段2名、四段1名の予定)による本戦(トーナメント)を行う

・段位別予選は6月~9月にかけて、1日2~3局を実施する

・本戦は10月~11月にかけて、1日3局を実施する

・持ち時間はいずれも1時間(チェスクロック方式)、秒読み60秒

・本戦の決勝は12月に実施する。決勝戦のみ、3番勝負。5時間(チェスクロック方式)、秒読み60秒。1日1局を実施する

・優勝者が来年の同棋戦にシードされるかは未定

・賞金は非公開

なお、エントリー(参加表明)第一号は谷川浩司九段。

その他のエントリーが明らかになった棋士は、阿部光瑠五段、佐藤慎一五段、西尾明六段、豊島将之七段、佐藤天彦八段、藤井猛九段、深浦康市九段、屋敷伸之九段、三浦弘行九段、佐藤康光九段、森内俊之九段、青野照市九段、糸谷哲郎竜王(段位別予選では八段扱いとなる)。

その他にも続々と参加表明しているらしいです。九段枠が非常に豪華です。

他のタイトルホルダー(羽生善治名人、渡辺明棋王、郷田真隆王将)の参加は、まだ返事が来ていない状況だとのことです。

また、6月18日に新棋戦名、段位別予選の組み合わせ等が発表されます。

第3回将棋電王トーナメント

・11月21日~23日に開催される

ルール、賞金等、詳細は後日発表されるとのことです。

新生電王戦、人類と最強ソフトの対決

発表があった新生電王戦の概要です。

・ドワンゴ主催の新棋戦の優勝者と、第3回将棋電王トーナメントの優勝ソフトが対決

・名称は「第1期電王戦」

・2日制(持ち時間8時間)の2番勝負となる(互いに先手後手が1回ずつ)

・実施時期は来年(2016年)3月~5月となる

・2日制なのでコンピュータが「封じ手」をする可能性もある。やり方は未定だが、コンピュータなら「手を決めても指さない」ことも容易に実現可能ではないか(青野九段)

今回の発表では電王戦FINALで議論を呼んだ「ハードウェアの仕様制限」や「ソフト事前貸し出し」のレギュレーションに関するものはありませんでした。(まだ未定だとのことで、今後発表されると思います)

また、2番勝負である理由は、先手後手で有利不利があるためということでした。奇数局で無理に決着を付けなくてもいいという判断があった、とも青野九段より発言がありました。

なお川上量生会長によれば、この電王戦は最短3年は実施される予定であるとのことです。

人類とコンピュータの対決が続く

これまで将棋電王戦は、コンピュータと人間が対局する新しい棋戦として、2011年以来試行錯誤が繰り返されてきました。ルール(レギュレーション)も変遷し、様々な議論を呼んできました。そして今年3月から4月までの「将棋電王戦FINAL」で一区切りを迎えましたが、今回の発表では今後もコンピュータと人間の戦いが続くことが明らかになりました。

ルール、レギュレーションについては、今後も試行錯誤が続くものと思われます。今後も当サイトとしましては、この将棋電王戦の動きを伝えていこうと思います。

また、続報等がありましたらお伝え致します。

スポンサーリンク

将棋ワンストップをご覧いただきありがとうございます。ぜひシェアをお願いします

記事の追記や更新の通知はツイッターで行います。フォローをよろしくお願いします!

コメント

  1. やまねこ より:

    青野九段が「優勝者はタイトルを名乗る」というフライング発言をされましたが、正確には「棋戦優勝を名乗る」でしょう。あくまで新公式戦であり、新タイトル戦ではないからです。ドワンゴが、いきなり新タイトル戦を立ち上げたりしたら、既存のタイトル戦の主催者と揉めてしまいます。朝日オープンやNHK杯ぐらいの位置づけでしょう。また、既存のタイトル戦と揉めるのを避けるために、段位別予選にしたのだろうと思います。

    羽生名人、渡辺棋王、郷田王将の参加は、たいへん微妙なところです。3人とも、それぞれのタイトル戦と電王戦の対コンピュータ戦が重複しています。対コンピュータ戦をエキシビジョンマッチの位置づけにして棋士の負担を軽減しましたが、3人ともお金には困っていないし、最多勝数や最多対局数を狙うのでない限り、エントリーするモチベーションが上がらないでしょう。

    この新公式戦の画期的なところは予選からほぼすべてリアルタイムで中継されるところです。評判がよければ、女流枠、アマ枠と拡大させるつもりでしょう。「公益社団法人」としては、少なくとも女流枠は作りたいところです。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      そうですね、普通、将棋で「タイトル」というと7大タイトルのことを連想しますね。

      おそらくNHK杯での「NHK杯選手権者」みたいな感じで、新棋戦の第2回目(来年)において、もしかしたらドワンゴの他の番組に出演する際にも、◯◯戦優勝者というのを名乗るのかもしれません。

      その「NHK杯選手権者」なり「◯◯戦優勝者」の肩書を指して「タイトル」と言ったのだと解釈しました。挑戦手合制ではない(現時点では)ということなので、いわゆる7大タイトルとは区別されると思います。

      あと、記者の方からも質問がありましたが、確かに女流、アマ、それに奨励会とか、枠はあってもいいかなと思いました。あとオリジナリティを出すなら引退棋士とかも。

      棋士は、これまでは基本的に棋戦には強制的に参加してきたので、今回のことでどうなるか。あのあおり気味のPVも良し悪しあるのでしょうが、棋士の方には自由に参加不参加決めてもらったほうが後味悪くなくていいと思いました。そういえばAWAKEの時も、素晴らしく共感を得るあのPVが・・・ということもありましたし。

      コメントありがとうございます。

  2. nfkb より:

    いつも更新楽しみにしてます!

    新棋戦、どんな名称になるのかも楽しみですね。考えるのも楽しくて、ちょっとだけ過去の棋戦名調べてみたりしたんですが、これらと被らず、それでいて品格を感じさせる棋戦名はなかなか難しいです。。。

    実在のタイトル戦・棋戦
    竜王・名人・王位・王座・棋王・王将・棋聖
    銀河・青流・達人・十段・最強・古豪新鋭・名棋・天王・名将・若獅子・若駒
    女王・倉敷藤花・天河

    将棋ウォーズ
    帝王・棋神・聖帝・皇帝・覇王

    架空のタイトル
    飛将・飛王・竜将・王棋・棋将・飛竜(ドラマふたりっ子)
    獅子王・棋神・聖竜・玉将・棋竜・棋匠(3月のライオン)
    角聖・将聖・竜馬

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。
      いつもご覧になっていただき、ありがとうございます!

      詳細な調査をありがとうございます。後半のものは知らなかったのが多いです・・・。
      タイトル名、何がいいかと私も考えています。

      やっぱり、優勝者がソフトと対決するというのがポイントなので、そこをなんとか表現できるものにならないかとは思います。

      壮大なことを言ってしまいますが、これまで人類は、機械やコンピュータに次々に「超えられて」きたと思います。

      世界一走るのが早い人間より車のほうが、世界一記憶力の良い人間よりコンピュータのほうが、世界一力の強い人間より重機のほうがよほど強いわけで。
      あと最近では株取引やマーケティングなどでも人間よりコンピュータ方が優秀な場面があります。人間の仕事が次々にコンピュータに取って代わられています。

      そういう意味では、将棋はまだ明確に超えられていない、機械に対して対抗できる分野かなと。なので人類が機械の支配に対して抵抗する世界というのを棋戦名で表現できたら、と思っています。レジスタンスみたいなイメージ。

      ただ、それを表現するいい棋戦名が思いつかないのです。コメントありがとうございます。

  3. 中嶋 より:

    電王戦継続するんですね・・・。
    個人的には複雑な心境です。楽しみではあるんですが、もうソフトと対局しなくてもいいんじゃないの?という想いもあります。古くからの将棋ファン(特に年齢層の高いファン)はそうなんじゃないでしょうか(勝手な推測ですが)。
    やはり皆さんは羽生さんとソフトの対局が見たいのでしょうかね?
    もう結論は出ていると思うのですが(ソフトの強さが上回っているという意味で)。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      そうですね、統計的なものはものはないと思いますが、これ以上ソフトと対局することに関しては賛否あると思います。
      私は最近の将棋ファンですので、ファンになったころには既にソフトとの対局は行われていました。私は最初は電王戦はあまり興味がなかったんです。ただ、電王戦のいいところは将棋ファンじゃない人と一緒に見ても楽しめるということですね。私は、自分が低段だということもあると思いますが、どちらかと言うと勝敗や棋譜よりも別のところに将棋の価値があると思っています。羽生名人との対局も多様な意見があり、結論が出ているか否かについても多様な意見があると思います。

      コメントありがとうございます。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。