2015年7月18日の第9期マイナビ女子オープンチャレンジマッチで、珍しい反則が発生しましたのでご紹介します。
5回戦の▲畑中さゆりアマVS△久津知子女流初段戦です。
詳しい棋譜はマイナビ女子オープンのサイトからご覧ください。
対局の模様は、マイナビ女子オープン中継ブログに掲載されています。
角交換振り飛車
戦型は、先手となった畑中アマが角交換振り飛車を選択。基本通りにまず四間飛車、美濃囲いにして、向かい飛車に振り直します。
積極的に動く先手。
先手が優勢に
畑中アマは、女流プロ棋士を相手に見事な指し回し。駒得もして、底歩を打ってこれは優勢。
攻める先手。これは厳しい。
一旦手を戻す。
・・・!!
先手玉に詰みが発生
上記の局面で先手玉に詰みが発生しています。△2八銀から。
この局面、棋譜コメントには以下のように書かれています。
畑中さん慌てた手つきで自陣に手を戻した。
2手進んで以下の局面。
引き続き先手玉に詰みがあります。△1七金 ▲同桂 △2九銀 ▲2八玉 △3八馬の5手詰め。
しかしここで後手は△3八銀不成を選択。
詰みを逃します。
竜を成る
この瞬間、逆に先手は後手玉を詰ましにかかります。
この▲2四金から17手詰め。さらに。
ここから9手詰め。
▲2三同竜から、△同玉 ▲3四角 以下並べ詰め(△3三玉 ▲4三金 △2二玉 ▲2三銀 △1一玉 ▲1二香)。
しかしここでまさかの。
▲2三同竜成、あるいは▲2三同飛。
棋譜コメントには以下のように書かれています。
ここで事件。畑中さんは時間に追われて、竜をひっくり返して▲2三飛としてしまった。関係者の裁定により、着手不能の手として、畑中さんの反則負けとされた。残念な結果となった。(中略)
高見泰地五段>投了図以下、竜なら詰んでいたのですが時間に追われて▲4三竜を飛車と勘違いしてしまったのだと思います
ニコニコ生放送で本局を解説をしていた長岡裕也五段は、この反則を聞いた瞬間「え!は?は?反則負け?」と驚いて「相手に詰みを逃されて動揺しちゃうことはよくある」と解説しました。
珍しい反則
私(管理人)などが畑中アマの心中を察せるはずがありません。ネットの対局ではあり得ない、リアルな将棋盤ならではの反則ともいえますが。
3月にNHK杯で二歩をした橋本崇載八段は、頭が真っ白になって気がついたら自宅にいたそうです。
その瞬間に相手の行方さんが声を上げて、少しして自分も気づき頭が真っ白になりました。あまりの衝撃に、その後のことは全く記憶がありません。空気は凍りついていたかなぁ。我に返ると、私は家のソファーにポツンと座っていました。どうやって帰ったのか、かなりアブナイ人です。
— 橋本 崇載 (@shogibar84) 2015, 3月 8
たまにある二歩でこの衝撃ですから、めったにない、いや聞いたことがないような竜を成るという反則の衝撃は、ご本人にとっては相当のものと思います。
香川愛生女流王将がコメントしています。
敵玉の詰みを目前に反則負けなんてつらすぎる。。
— 香川愛生 (@MNO_shogi) 2015, 7月 18
竜(成り駒)を飛車に戻してしまう反則負け、実戦で現れるのは珍しいけれど、集中してればしてるときほど、ふっと反則を指してしまうときがあるんですよね。畑中さんは無念と思いますが、今後もアマ大会や女流棋戦でご活躍の機会があるでしょう
— 香川愛生 (@MNO_shogi) 2015, 7月 18
以上、珍しい反則のご紹介でした。
コメント
真面目な話「アマチュアの反則」を公の記事にするのは如何なものか
別にいいんじゃないですかね。公開されてる棋戦ですし。
例えばオリンピックに出るスポーツの選手だって多くはアマチュアですよ。
あなあき様:
コメントありがとうございます。
インターネット上ということを指して「公」ということだと思います。私としましてはそれでも問題ないような記事を書いているつもりです。棋譜や解説はもっと公な場で公開されております。私の私的なサイトを「公」と認定いただいたのであれば嬉しく思います。
お手数ですが、どのような理由で、如何なものであるのか判断できる材料をいただけないでしょうか。よろしくお願い致します。
匿名様:
コメントありがとうございます。
私としましても同じ考えです。ヒミツを公にしたのであれば、咎められるかもしれませんが、すでに公開されていることを、(当サイトの趣旨に合わせて)将棋初心者や棋力がそれほど高くない方でもわかりやすいよう記事にしました。
皆様コメントありがとうございます。