2015年9月9日の第1期叡王戦八段予選のニコニコ生放送の解説で、飯島栄治七段が悲しい話をしてくれましたのでご紹介します。
弟弟子(桜井昇八段門下)である村山慈明七段とのエピソード。
聞き手は本田小百合女流三段です。
聞いて下さいよ!みなさん
解説中、飯島七段は、自らが叡王戦で既に敗退していることに触れ、その時のエピソードについて「聞いて下さいよ!みなさん。ちょっとちゃんと聞いて下さい!」と話し始めました。
飯島七段は7月13日の七段予選で弟弟子である村山慈明七段と対局し、敗戦。
以下、投げやりな弟弟子の紹介。
飯島七段「村山・・・えっとなんだっけ下の名前、ジメイでいいや、どうでもいいんですけど」
「慈明」は「やすあき」と読みますが、ファンの間でも「ジメイ」と呼ばれることがあります。飯島七段は村山七段と叡王戦で対局した2週間後に、研究会でも対局したそうです。
わずか2週間後の研究会で
その研究会での対局前の雑談中、村山七段が以下の言葉を放ったそうです。
村山七段「叡王戦、飯島さん、どうされました?」
なんと村山七段はたった2週間前の兄弟子との対局を全然覚えていなかった。
それを飯島七段が指摘すると、村山七段は青ざめて凍りついてしまったとのこと。
飯島七段は「こっちは頭に湯気が立っていた」と怒り心頭。隣で研究会をやっていた先輩方(深浦康市九段と木村一基八段)は苦笑。
スランプに陥る
飯島七段はこの体験を「初めてでしたよ。弟弟子ですよしかも、恐ろしいことに」と根に持っている様子。
本田小百合女流がニコ生のコメントを拾って「村山七段は相手の顔は見ていなくて、集中して盤面しか見ていなかったのでは」とフォローしましたが飯島七段は「そんな人いますか」と返し、「あれから将棋がおかしくなっちゃったんですよ」と、スランプに陥ってしまった様子でした。
飯島七段はその後も「ひどいよほんと。眼中にないってことですから、僕の将棋はもう」、「ショックというか・・・今までの将棋人生を振り返りましたもん、走馬灯のように」、「本当に辛かったですよ」とも発言。
本田女流は「村山さん、集中力がすごいんですよ。将棋しか見てないから。すごい集中力」とフォローにならないフォローを繰り返していました。優しい。
頭でハンマー殴られた
飯島七段は、この日の解説中にこの話題を何度も繰り返し、「弟弟子に毒を吐かれた」とか「あまりにも衝撃的で、頭でハンマー殴られちゃったような感じになっちゃってて、トラウマになっちゃってんですよ」、「将棋以外ならいいが、将棋で『あなたはダメです』って言われたら(頭に)湯気立ちませんか?」、「(隣で深浦九段と木村八段が笑っているのを見て)恥ずかしくなって帰りたくなった。(研究会の場所は)自分の家ですけど」などともお話されていました。
「頭でハンマー」と言ってしまうほどの衝撃。
飯島七段はこの出来事を自分の中で消化できていないようで「(この話を)何回も使い回ししないと気が済まないですよ。僕の中でも」と、今後も同じエピソードをニコ生などで話されるつもりのようです。
本田女流はそんな飯島七段を見かねて「一度、お話したほうがいいんじゃないですか?村山先生と」とアドバイスをしていました。
(これらのトークのニコ生タイムシフトの時間をお知りになりたい方は、調べて返信致しますので、コメント欄にその旨コメントお願いします。Twitterでも構いません)
村山七段、叡王戦本戦へ
ただ飯島七段は「そういう(すぐ忘れるような)神経じゃないと予選は通過できないんでしょうね」とも話されていました。村山七段は、飯島七段に勝利したあと、神崎健二七段、稲葉陽七段にも勝ち、叡王戦本戦出場を決めています。
村山七段といえば、今年4月に行われた将棋電王戦FINALに自ら立候補して出場したものの、第4局でコンピュータ将棋ソフトponanzaに敗れています。
叡王戦の優勝者は、今年11月に行われる第3回将棋電王トーナメントの優勝ソフトと対決する「第1期電王戦」に出場します。
そして電王トーナメント優勝の最有力候補は、今年の世界コンピュータ将棋選手権を制したponanza。
ponanzaとの再戦のために、兄弟子との対局を忘れるぐらい研究をしているということでしょうか。
村山七段の叡王戦本戦での活躍に注目です。
コメント
この記事。意外に感じました。対ソフト対局に対する興味の差が。七段Bブロックの
飯島栄治七段二回戦。村山慈明七段に対する敗退の、主原因だと、個人的には今まで
思っていましたので。
飯島栄治七段。このニコ動放映によって。村山慈明七段との間に。現時点で「実力差
がある」との大衆認識を作り出そうと明らかにしていますが。そう認識する明らかな
証拠を、個人的には得てません。飯島さん。ソフト対局に。どっぷりつかりたいとま
では、内心思っていないので。解説者としてこう作り話をしたのではないでしょうか。
コメントありがとうございます。
いえ作り話にしてはリアリティがありますし、先輩棋士の名前も出していましたし、あと記事内には書きませんでしたが、研究会では飯島七段が村山七段に勝利したということですので、そのような意図はないと思います。
飯島七段、本田女流のコンビは、よくソフトの評価値を見ていて興味が無い感じではなかったような。個人的な意見ですが。
コメントありがとうございます。
「研究会では飯島七段が村山七段に勝利した」とすれば、飯島七段の解説での発言は
作り話では無いにせよ意味不明です。勝敗逆じゃないんですか。村山七段が「ソフト
の第3回電王戦の予選はスイス式トーナメント戦。叡王戦は勝ち抜きトーナメントで
ある」というのを、ごっちゃにしていて。実際には、研究会ではただちに謝っていた、
というのは、真相として、どうでしょうか。
コメントありがとうございます。
叡王戦では村山七段が飯島七段に勝った。
2週間後の研究会では村山七段はそのことをすっかり忘れていた。
その研究会では飯島七段が村山七段に勝った。
という話です。
飯島七段の話の主なテーマとしては「村山七段が自分との対局を忘れていた」ということです。意味は通じていると思います。電王戦とか電王トーナメントには言及されていません。
コメントありがとうございます。
評価値といえば、よく話題に出す先生と、聞き手が促すまで自分から見ない先生がいますね。
A級経験やタイトル戦線に絡んだ先生は後者な印象があって、意地のようなものを感じます。
もちろん、よく評価値を見る先生が悪いというつもりはなく、数字の意味と感覚の違いを解説してくださって興味深いです。
コメントありがとうございます。
そうですね。私もけっこう気になってしまいますね、評価値を出す頻度。
検討中も一手ごとに評価値を見る棋士もいれば、なかなか見ない棋士も。
なかなか見ない棋士は、なるべくまず自分の見た目で評価したい、ということもあるんだと思っています。数字を見てしまうとどうしてもそれに影響されて(あるいは影響されまいと意地を張って)、解説もそれに流されていまうというか。
そうですね。私も興味深く見ています。解説者が2人いるかんじに思えます。ソフトによって評価が違うので、複数のソフトでもありだと思いました。
コメントありがとうございます。