2015年7月18日のアニメ「名探偵コナン」(日本テレビ系)は「将棋回」でした。日本将棋連盟のホームページでも予告されていましたのでご覧になった方も多いと思います。
このアニメの中で、将棋界のタイトル戦にまつわる謎解きが出されたのですが、実は翌7月19日に放送されたテレビ朝日系「パネルクイズアタック25」でも将棋のタイトル戦に関する問題、しかもコナンの謎解きと同じような問題が出題されましたので、ご紹介しようと思います。
アタック25は、かつて森内俊之九段が優勝したことで有名なクイズ番組です。
太閤恋する名人戦
この日の名探偵コナンは「太閤恋する名人戦(前編)」。
名人以外のタイトル六冠を保持する挑戦者の羽田秀吉六冠、通称「太閤名人」と、勝又力名人による名人戦が舞台。
「勝又名人」という名前は、監修の勝又清和六段から取られた名前かなと思いますが、しかし顔は高橋道雄九段に似ていました。
前回放送された時に出されたネクストコナンズヒントは「香車」、この回の冒頭ではコナン君が「将棋も事件も長考状態!」と述べていて、将棋ムード一色でした。
長考します!
本題に入る前に、この「太閤恋する名人戦(前編)」で一つ、面白いシーンがありました。
場面は名人戦第7局、2日制の2日目の朝です。
封じ手が開封され、勝又名人が盤上に再現したところで、報道陣のカメラのフラッシュが浴びせられる中、太閤名人が「うう」と唸り、スッと立ち上がり、勝又名人をじっと見て
「長考します!」
と宣言。勝又名人は驚いて「ええっ?」と声をあげました。関係者が驚く中、羽田六冠は対局室から出て行きました。
対局場から離れる挑戦者
羽田六冠は2日目の開始直前に、恋人を誘拐した犯人と思われる「首なし棋士」という人物から手紙を受け取っており、そのため長考を宣言して対局場がある山梨県から、東京都内に向かうのでした。
普通、将棋の対局では長考する場合でも「長考します!」と宣言することはないです。対局室から出て行ってもなんら問題はないです。むしろ対局室にいない時間の方が長いんじゃないかという「離席流」の異名を持つ竜王もいますし。しかし、いくら離席流とはいえ、対局場がある県を離れるというのは異例。
「長考します!」と言われた勝又名人は、「ええっ?(それ、わざわざ教えてくれたの?)」みたいな心境だったのでしょうか。
ちょっと気分転換で
山梨県から東京都内に来た太閤名人は、コナン君一行に遭遇。コナン君は将棋ファンらしく、太閤名人に気付きます。
六冠を持ち、名人戦に挑戦中であるはずの男が目の前に現れるという事件。現実の世界で例えるなら、羽生善治六冠が最後のタイトルを賭けて竜王戦に挑んでいる最中のはずなのに、なぜか目の前に現れた、みたいなものだと思います。将棋ファンであればパニックに陥ってもおかしくないような局面。
しかしさすがコナン君は「見た目は子供、頭脳は大人」なので、「あれ?太閤名人、どうしたの?今日って名人戦だよね」と気さくに声をかけます。
太閤名人は少考の末「実はちょっと気分転換で」と苦しい一手。
謎解き
さて、本題の謎解きです。犯人の手紙には以下のように書かれていました。
7つの神社のうちの1つが盗賊に襲われ、宝物殿が2日で空になり、井戸に身を潜めていた神主の娘も連れ去られた
コナン君は解説します。
7つの神社というのは将棋界の7大タイトル。「名人、竜王、棋王、王将、王座、王位、棋聖の7つのことさ」と述べるコナン君。将棋ファンだったら、この並びが序列通りではないとか、日本テレビ(竜王戦を主催する読売新聞の系列)なのに名人が先でいいのか思いますが、コナン君はそんなこと一切気にしません。
将棋は本来「玉」と呼ばれる財宝を取り合うゲームだ、宝物殿が空にされたのだから「王」は消えた、宝は「2日で盗まれた」と。名前に王がなく、2日制のタイトル戦は名人戦だけ。
「めいじん」の名前が入った神社、それは明治神宮、ここにヒントが有ると、解説するコナン君。
コナン君すごすぎ。さてはコナン君、将棋オタクか。
古田敦也さんが回答
一方、翌日のアタック25。放送2000回記念の「芸能人ペア大会」。
パネルが7枚埋まった序盤から中盤にかけての局面で出された問題はこれでした。
「将棋のプロ棋士の対局には7つの大きなタイトル戦があります。このうち、名前に『王』がつかないタイトル戦は2つです。名人戦と・・・」
コナンの謎解きとそっくりな問題!ここまで読まれたところで回答ボタンを押す者が。
それは元プロ野球選手の古田敦也さん。矢野燿大さんとのペアです。古田さんは将棋アマ三段の免状を持ち、今年2月に西武ドームで行われた「リアル車将棋」では先後を決める「振り駒」を担当しました。しかし・・・。
古田さん「竜王戦!」
ブーーーッ!
正解は棋聖戦ですね。古田さんは申し訳なさそうな顔をされていました。
古田さんペア、優勝
ただ、古田さんペアはこの後正解を重ねて、見事に優勝を果たしました。
惜しくも地中海クルーズを賭けた問題には正解できませんでしたが。
コナン君の次の一手は
読売系のコナン君が「名人」を先に言い、名人戦などを主催する朝日新聞の系列のテレビ局では古田さんが「竜王戦!」と答えるという、将棋ファンにとってはたまらない2日間でした。
このようなタイトル戦にまつわる問題は昔からあったのだと思いますが、人気アニメや、人気クイズ番組の記念大会で出題されるとはすばらしいですね。
両番組の製作の方、お疲れ様でした。
「名探偵コナン」の方は、7月25日(土)午後6時に「太閤恋する名人戦(後編)」が放送されます。コナン君の将棋ファンぶりがいかんなく発揮されるであろう推理が楽しみです。
コメント
初めてコメントします。
コナンに関しては、2014年6月に漫画が掲載されて、勝又先生本人がツイッターでびっくりされていたらしいですよ。
また、力という名前も、(阿久津)主税先生をかけている?と勝又先生が。
阿久津先生が原作者の青山剛昌先生からサイン本をもらっていました。
それで勝又先生が、アニメの監修を引き受けたのでしょうか…
コメントありがとうございます。初めまして。
情報ありがとうございます。
なるほど、そういう経緯があったんですね。
阿久津八段からとったとは意外でした。アニメではご年配の名人でしたね。
「長考します!」は笑ってしまいましたが、他の場面では再現性が高いところもありましたね。そのへんの監修なんでしょうか。
盤面はほとんど映りませんでしたが、後編では映るかもしれないので期待(私は原作読んでいないので楽しみに待ってます)。
コメントありがとうございます。