2015年3月3日に発売された将棋世界4月号に、2月5日に行われた竜王戦6組ランキング戦▲渡辺大夢四段VS△熊坂学五段(熊坂五段が勝利)の様子が掲載されています。
これは、田丸昇九段による「盤上盤外一手有情」のコーナー。
見出しに「瀬戸際の立場の熊坂」とあります。
引退のピンチにも動じず
詳しくは以前書いたこちらの記事にありますが、熊坂五段はこの時点で年度末までほぼ全勝しないと引退となってしまうという厳しい状況。
問題はNHK杯テレビ将棋トーナメントの予選。棋士の方々のブログやツイッターを見ていると、このNHK杯予選の時期は2月後半。つまり、すでに行われた模様です。ただし結果は現時点(2015年3月4日)で公表されていません。テレビ棋戦であるためです。
熊坂学五段ももちろん参加。1月31日の日経新聞の記事によれば、1回戦は大平武洋五段、その後勝ち進めば同じ日に2回戦、3回戦とあったはずです。その結果、仮に3連勝していればフリークラスを脱出し、C級2組に昇級できているはずです。
プレッシャーがない・・・?
そんな引退か現役続行かの瀬戸際に立たされている熊坂五段ですが、上記の日経の記事によれば、
フリークラス脱出に必要な成績の星勘定はずっとしていなかった
対局前日は意外と寝れてます
(活躍しているが)指す戦型も変えてないし、研究もあまり……。本当に何も変わっていないんです
最後まで、勝っても負けても、自分らしくというイメージを持って臨みたい
と、プレッシャーがない様子。37歳の若者が、自らの人生を左右するであろうこの時期に、この境地とは・・・。
ツイート、ブログなどからも・・・
私(管理人)は、以前にも書きましたように熊坂五段の話す姿、動いている姿を観たことは昨年のNHK杯でしかありません。しかし存在を知ってから、ブログやツイッターはチェックするようにしています。
ただ、ブログはほとんど自らの将棋教室のことですし、ツイッターも飄々とした書き口で、まったくプレッシャーがないように見えます。だって自らの引退がかかっている時にこんなことやってるんですよ・・・。
雪かきしてたら、近所の方が車滑りでSOS。JAFを呼んだらしいけど、微力ながら加勢して何とかしのげましたw良かったです(^o^)JAFもキャンセルでした。
— 杜の熊さん (@kumasaka244) 2015, 1月 30
愛くるしい見た目もそうなんですが、中身もいい人すぎる!
自分の人生が決まる対局が目の前に迫っているのに、これはできませんよ、なかなか。
深刻な様子は見受けられない
いや、普段の生活やインタビューではそうですが、いざ対局になるとやはり重圧を感じているのではないのかな、と思っていました。
そこで冒頭の田丸昇九段の文章なのですが、熊坂五段の様子についてこうあります。
引退が迫る瀬戸際の立場にいるが、深刻な様子は見受けられない
人事を尽くして天命を待つ心境なのだろう
これは・・・。本当にプレッシャーがないのでしょうか。だとしたらなぜ。
それほどまでに心が穏やかな方なのでしょうか。
写真が掲載されていますが・・・
私の熊坂五段に対する興味は尽きません。
この将棋世界4月号には、モノクロの写真ですが、熊坂五段の対局の様子が掲載されています。真剣な表情です。できればもうちょっと大きな写真、そしてせめてカラーにして欲しかった・・・。
以下、勝手な推測や妄想です
棋士の方々は言うまでもなく天才中の天才の集まり。しかも子供の頃から競争にさらされて、年齢制限のある奨励会を突破し、棋士になっても厳しい競争の世界が待っている・・・私には想像もつかない場所です。
熊坂五段はそういう場所でも自分の世界をもっておられる。いやもしかしたらそういう場所だからこそなのかも。
そういえば、将棋は心の教育にも良いといいますし、島朗九段の「将棋を通じて負ける体験を学ばせたい」という記事なんか大変興味深いです。
もし、引退してしまっても、C2に復帰して現役続行となっても、この数ヶ月間何を思っていたのか、後にぜひ語って欲しいです。将棋世界は50ページほど使って特集して欲しいですし、本も出版されたほうがいいと思います。
なにせ将棋界において前代未聞の体験をされている若者なのですから。
田丸昇九段の激励
田丸昇九段はそんな熊坂五段に
最後の踏ん張りに期待したい
と期待を寄せています。
踏ん張る杜のクマーさん・・・。頑張って欲しい。
もう現在何が起こっているのか、想像するだけでは物足りません、ぜひ本の出版を。
以上、ありがとうございました。