2015年4月30日に行われた第86期棋聖戦挑戦者決定戦は、振り駒で先手となった豊島将之七段が佐藤天彦八段に勝利。
この結果、今期の羽生善治棋聖への挑戦者は豊島七段に決定しました。
2人のご縁
少しだけ、この挑戦者決定戦の対局者の2人のご縁の紹介。
佐藤天彦八段と豊島将之七段は、棋士番号が263と264ということで、1つ違い。佐藤八段が1988年生まれ、豊島七段が1990年生まれと、ほぼ同世代で、昇段履歴も以下のように似通っています。
佐藤天彦八段 | 豊島将之七段 | |
6級 | 1998年9月 | 1999年9月 |
四段 | 2006年10月1日 | 2007年4月1日 |
五段 | 2009年4月30日 | 2009年5月8日 |
六段 | 2011年4月21日 | 2010年11月29日 |
七段 | 2012年4月19日 | 2012年4月19日 |
八段 | 2015年1月8日 | ? |
五段昇段は同じような時期、六段昇段は豊島さんが先行しましたが、七段昇段は同日、そして記憶に新しい八段昇段では佐藤さんが先行(順位戦でA級昇級)しています。
2人の大舞台での対決は、2011年の第42回新人王戦3番勝負。結果は佐藤六段(当時)が制しています。
相居飛車の力戦型に
挑戦者決定戦は、先手となった豊島七段が、佐藤八段の得意な横歩取りを避ける形で相居飛車の力戦型になりました。
早い段階で豊島七段から仕掛ける展開に(以下は25手目)。
佐藤八段が反発し攻め合いになりました(以下は34手目)。
上記局面から、後手の佐藤八段は飛車先の攻めに加えて1九に角を成る手が見えています。豊島七段は3五の銀を捨てて勝負に出ましたが、このあたりは先手が劣勢だった模様です。
形勢が拮抗したのは以下の局面。
佐藤八段が馬を作り、△2八歩からと金を作って着実な攻めを見せたのですが、どうやらこの攻めが遅かったよう。
(追記)欧州旅行中の渡辺明棋王の見解。
アカデミア美術館でひと休み。後ろにはダビデ像が。「△2八とは優雅だね。フィレンツェ流だね」と渡辺棋王。棋聖戦もぬかりなくチェックしています。 pic.twitter.com/ywI4gnq6Ys
— おおかわしんたろう (@00lll) 2015, 4月 30
詳しい棋譜は棋聖戦中継サイトをご参照ください。
3度目のタイトル挑戦
佐藤八段の着実、しかし遅い攻めに対し、豊島七段は佐藤玉の左右から挟撃。以下は97手目の局面。
最後は即詰みに。先手の145手目を見て佐藤八段が投了となりました。
これで豊島七段が自身3度目のタイトル挑戦を決めました。2014年度の王座戦以来となります。
ご縁は続く
佐藤八段は昨年から13連勝中でしたがストップ。しかも前回負けたのが、2014年12月18日の豊島七段戦という・・・。
豊島七段の佐藤八段に対する対戦成績は7勝5敗に。棋聖戦も楽しみですが、この若い2人の歩みも楽しみ過ぎます。
糸谷哲郎竜王に続く、若手の羽生世代からのタイトル奪取なるか。羽生善治棋聖に豊島将之七段が挑む、第86期棋聖戦は6月2日(火)に開幕します。