2015年11月6日の第28期竜王戦七番勝負第3局2日目のニコニコ生放送において、解説の加藤一二三九段がニコ生のコメントに対して強い口調で反論される場面がありました。立腹されたように見えました。
本件について正確ではない情報も流れているようですので、書いておきます。
局面は以下でした。
この局面で後手の糸谷哲郎竜王は38分考慮したのですが、加藤九段が強い口調で発言されたのはこの間の解説でした。聞き手は山田久美女流四段でした。
見えない
この場面で、解説・聞き手の二人の話題は「ひふみんアイ」の由来のことに。また、加藤九段はある最高裁の判事が後輩に向って「加藤九段のひふみんアイのように、相手の立場に立って考えることや、慎重さを求めたい」と述べた、という出来事を話されていました。
その後局面の解説に移り、加藤九段は△5五角や△2五歩の変化について解説されていました。(ひふみんアイ中だったので△2五歩ではなくて△8五歩と話していました。△8五歩と利かされるのがプロ的には嫌な手だと)
ここで画面に「5五角しか見えないよねw」というコメントが流れました。
私は、出演者にコメントが見られやすいとされるアリーナ最前列で観ていた(NGフィルタは弱)のですが、この瞬間、画面にはこのコメントだけが流れている状態でした。
加藤九段はこのコメントが目に入ったのだと思います。「そんなことないよ。5五角しか見えないというのは、そんなことありませんよ。いろいろ考えていますよ(以下略)」と強い口調で話されました。
コメントの意図は?
コメントされた方の「5五角しか見えない」の本当の意図はわかりませんが「自分なら△5五角しか見えない」ということだったのか、「加藤九段には△5五角しか見えない」という意図だったのか。前者だとは思いますが、ただ、加藤九段は後者の意味にとらえたのだと思います。
山田女流は「ご覧になっている皆さんは王手をかけるのが嬉しい事なので、やはり△5五角から考えておられる方が多い」とフォローされました。
加藤九段もすぐに解説に戻りました。
その後
後に加藤九段は、前述の発言について「立って(解説して)いるから、私の言葉がきつくなっている。この年齢だからね」とも話していました。加藤九段は75歳です。
その後は山田女流が「先生がおっしゃてくれれば私が(大盤の駒を)動かします!」と配慮して、加藤九段は椅子に座って解説、山田女流が大盤で駒を動かすスタイルとなりました。
△5五角じゃなかった
ちなみに上記局面で糸谷竜王が選択した手は△2五歩でした。
今回のことは、ちょっとした行き違いだったのかもしれませんが、ニコ生では出演者に対して失礼なコメントを見かけることもあると思います。この日もありました。加藤九段はそれも見ていたのかもしれません。コメントは見られていないようで、意外と見られているようです。アリーナ最前列でなくても読まれることもあります。
今回は山田女流の臨機応変な対応で事なきを得ました。ありがとうございました。
コメント
コメント検閲してるのかな
すべてのコメントが出演者に見えてるとしたら寒気がする
アリーナでなかったので、どんなヤジが飛んだのかと気を揉んでいました。そういう誤解だったのですね!
9分20秒辺りに、ヒフミンはコメ拾うから注意しよう、というコメントが流れています。
上の匿名様:
そうですね、多くのコメントは見られていると思います。雑談中より、解説中の方がコメント量が少なくなるために、1つ1つのコメントが目につきやすいと思われます。
下の匿名様:
今回は直接の原因は誤解でした。が、出演者に対してなんでも言っていいという雰囲気はあると思います。対局者に対する汚いコメントがあったり、まったく別の女流棋士に対してのヤジもありましたね。運営、出演者、視聴者が協力していい雰囲気になればいいのですが。
ひろ2様:
確かにありました。でも他のコメントも多かったので紛れちゃってますね。運営から一言あってもいいと思うのです。
皆様コメントありがとうございます。
詳細なご説明、ありがとうございました。アリーナ席ではなかったので、何があったのかと思っておりました。
加藤九段の解説スタイル、私は大好きです。
若手の先生の鋭い解説も好きですが、大ベテランの先生の大局観や対局心理に立ち入った解説も説得力があって好きです。貴重な昔のお話も聞けますし。
升田・大山戦の記録係を務めた時に両先生の似顔絵を描いてたという話が特に印象に残りました。
「似顔絵描いてても怒られないんだから将棋界は礼儀におおらかだよね~」とおっしゃってましたが、「今の将棋界なら絶対怒られるだろ・・・」と思いながら観てました。
コメントありがとうございます。
はい、今はニコニコ生放送、将棋プレミアム、棋譜中継や棋戦ブログと、様々な手段で棋戦観戦を楽しめるので、自分にあったサービスで楽しまれるのが一番いいと思っています。
この中でにニコ生のスタイルというのはまさにご指摘の通り、解説以外のいろいろな話も織り交ぜながら進行するというのもで、解説者や聞き手によって個性があるのが良い所だと思います。
私は今回はすべてを生で視聴することはできなかったのですが、TSがあるので時間がある時に観ようと思います。私は将棋初心者ですが、加藤九段の話は面白いです。一人で聞くよりも、誰かと一緒に(将棋ファンではなくても)聞いた方がより面白いですね。
管理人さん、いつも楽しく読ませてもらってます。
加藤九段の解説(トーク)でいつも感心するのは、その記憶力といろんな分野の人と対談してきたことです。特に対談は出てくる人物すべてその道のレジェンドばかりで本当に驚き、かつ貴重な話が聞けておもしろいです。
今後とも、身体が許す限りは、聞かせてもらいたいです。
ちなみに私の一番好きなエピソードは、渡辺棋王の強さの秘訣の話です。
今回も聞けてよかったです。3回目ですけど笑。
コメントありがとうございます。
ええ、私も渡辺棋王に関するお話は何回か聞いた覚えがありますが、別に何回聞いてもいいですね。今日(11月8日)の将棋フォーカスは加藤一二三九段伝説特集でしたが、一瞬渡辺棋王に触れていましたね(おそらく同じ話に繋がるやつです)。あと、あれだけの人が自分の心情をストレートに表現されて言葉にされているというのが素晴らしいと思いますね。
先日病気をされて生放送をお休みになった時は心配でしたが、回復されて良かったです。コメントありがとうございます。
今日TSを見ていて、この場面になったときにはドキっとしました。
今回は誤解からのことでしたが、マナーが悪い人は比較的少ないと思われる将棋放送でも、失礼なコメントはしばしば(放送や部屋によってはある程度)見かけますからね。
将棋放送を楽しませて貰っている視聴者側として、今後とも解説/聞き手の先生に気持ちよく出演して戴けるように、みなさんには節度のあるコメントをして頂くようお願いしたいですね。
あとは、先生方から見えるコメントでは共有NGのフィルタが適用されているとおもうので、あまり失礼なコメントを投稿する方に対しては、共有NGが適用されるようにみんながNGユーザ登録をしていくといいかなと、個人的に思います。
いつもニュース観させてもらってます~
ニコ生は悪意を持ったコメントとかちょこちょこ流れますからね~
悪意は無くてもぶっきらぼうなコメントとか
その反面盛り上げようとしてる人達のコメントも沢山
色んな人達が観てコメント出来るっていうのもニコ生の良い所
今回は勘違い(?)でこんな感じになってしまったみたいですけど
加藤先生にはまた出演してほしいですね~
体力的にもきつそうでしたのでゲストとかで
a13様:
コメントありがとうございます。
そうですね、共有NGの仕組みとか知らない人も多いかもしれません(私もそれほど詳しくないです)。あと、確か運営側でNGにすれば出演者には見えなくなるはず。
ニコニコ生放送の特徴の一つが自由なコメントですのでそれを活かしつつ、出演者もあまり失礼なコメントを気になさらないようにしてもらうとか、運営も配慮するとか、視聴者も気をつけるし適切にNGするとかして雰囲気をよくできればと思いますね。
私は将棋放送以外はほとんど見ないので他とは比較できないですが、少なくとも将棋放送の雰囲気が悪いとは将棋ファン以外の方にも思われたくないので、出演者が不愉快に思うようなことが続くようなら対策が欲しいですね。
アマ123級様:
コメントありがとうございます。
ええ、文字で、しかも短文のコメントなのでぶっきらぼうに見えることもありますね。なるべく悪意とはとらえないように(書いた人の表現力の問題なので)したいとは思いますが、それでも失礼なものをたまに見かけます。まあ今回は直接的には誤解ですが。
加藤九段は75歳。ほぼ丸一日人前に立って仕事するというのはどれだけきついかと思いますね。ゲストいいですね。男性の棋士も入れて3人ぐらいでやるとさらにおもしろい気がします。
皆様コメントありがとうございます。