2015年3月10日におこなわれた、第73期名人戦・順位戦A級の挑戦者決定プレーオフ2回戦は、先手の久保利明九段が渡辺明二冠を下しました。
久保九段は渡辺二冠に7連敗中でしたが、肝心なところで価値ある1勝をあげました。といってもA級順位戦最終局(久保九段VS渡辺二冠という同じ組み合わせ)で勝っていれば、プレーオフなしで名人に挑戦だったんですが・・・。
この結果久保九段は、3月16日のプレーオフ優勝決定戦(名人への挑戦者決定戦)へ進出。
行方尚史八段と、名人への挑戦権をかけて最後の戦いに臨みます。なお、この決定戦は久保九段のホームである関西将棋会館で行われます。
向かい飛車VS天守閣美濃
戦型は先手の久保利明九段が向かい飛車に。後手の渡辺明二冠は天守閣美濃で対抗。
A級順位戦最終局では、先手の渡辺二冠が後手の久保九段を圧倒し午後9時半頃に(順位戦としては)早々と決着がついてしまいましたが、先後を入れ替えたこのプレーオフでは熱戦に。
久保九段の飛車が動く
久保九段が8筋に振った飛車は、中盤の入り口に差し掛かり5筋へ。そこからさらに7筋、5筋と移動し、それぞれの場所で仕事を果たし、最後は敵陣の歩を取って成り込み果てました。
覗き込む隣の田中寅彦九段
この日は順位戦C級1組の対局も行われていました。このプレーオフと同部屋になったのは田中寅彦九段VS近藤正和六段。
特に田中寅彦九段はプレーオフの盤面を覗き込みまくっていました。むしろ自分の対局よりプレーオフを熱心に観戦していたようなかんじです。
あの将棋、勝つのか!! ( ゚Д゚) RT @nujokt: @MAKOTOTANAKA198 @umesan1127 タナトラ先生勝利おめでとうございます。2局分読んで勝たれるとはさすがです。隣ガン見がよかったかも pic.twitter.com/16yMxzhWvW
— 田中 誠(銀河将棋チャンネルの中の人) (@MAKOTOTANAKA198) 2015, 3月 10
田中九段は途中から膝の向きもプレーオフの盤面の方向に。やはりこの大一番が気になるのでしょうね・・・。
itumonさんが不味いと言った手を指す
ツイッターでは、いつものようにitumonさんが検討をしてくれていました。ハイライトは94手目。
94手目の局面で▲8三銀は△5四飛とぶつけられてこれは不味い。後手は横からの責めにはまず鉄壁ですので飛車交換は後手の望む所
他には▲9七桂は△7七角成が飛車に当たって責められそうなので嫌ですね
— itumon (@itumon) 2015, 3月 10
と言った瞬間に、その▲8三銀が指されました。
控室のitumonは「不味い。」と書いた手が指されて汗が噴出している。
— itumon (@itumon) 2015, 3月 10
ツイッターでの解説でお馴染みのitumonさん。いつも、読みや形勢判断をツイートしてくれます。
なお当サイトでは、itumonさんを「棋士」として扱いまして(ある棋士だと言われている)、棋士ツイート一覧にitumonさんのツイートも表示しています。
飛車が使えずに
このitumonさんが不味いと言った手に対し、渡辺明二冠は96手目△8四飛を選択。これ以来、渡辺二冠の飛車は8筋で余暇を楽しむ暮らしを送ることになり、最後まで戦場へは復帰できませんでした。
前述のとおり、久保九段の飛車が活躍する一方、渡辺二冠の飛車は歩が切れていない8筋と7筋を移動させられ、封じ込まれてしまっていました。
見ていてなんとなく、この飛車の働きの差が大きかったように思います。
ここで注意。私(管理人)は低級でありイメージで物を言っています。
なおitumonさんの感想は以下。
こんな綺麗な捌き方されたら見惚れるのは致し方ないこと
— itumon (@itumon) 2015, 3月 10
日付をまたぎ投了
ニコニコ生放送では、佐藤紳哉六段と聞き手の鈴木環那女流二段による生放送が行われていました。2人の噛み合わなすぎるトークは別として、意外と解説通りに進んでいるのに驚きました。
私は佐藤紳哉六段をただのイロモノ棋士だと思っていました。申し訳ありませんでした。深夜12時を過ぎると、2人の噛み合わなさに慣れてきたのか、逆に面白くなってきました。
しかし、その後パタパタと手が進み、123手目▲4四銀打を見て後手の渡辺明二冠が投了。
解説と聞き手のトークが逆に面白くなって(きたと思えて)きたところでした。
続く大一番
これで渡辺二冠はプレーオフから敗退。しかし、中1日という過密日程で王将戦を迎えます。ただ、対局地である新潟・佐渡へのフェリーは天候不良のため運行されるか不透明なところのようです(3月11日未明時点)。
一方、久保九段は前述のとおり、行方八段と3月16日にプレーオフ優勝決定戦(名人への挑戦者決定戦)を戦います。