2016年2月27日に行われる第74期順位戦A級の最終局。
ニコニコ生放送で全5局および解説番組が放送されます。
リーグ表は以下でご覧ください。
この記事では、来る2月27日に向けて心の準備をするために、羽生善治名人への挑戦の条件およびA級残留の条件を整理しておきます。
名人挑戦
名人挑戦の条件はシンプルです。最終局のうち名人挑戦に影響を及ぼす対局は以下のみ。
▲行方尚史八段vs△佐藤天彦八段
ここで佐藤八段が勝てば挑戦が決定。
行方八段が勝てば、佐藤八段vs行方八段によるプレーオフになります。
佐藤八段にとっては、最終局とプレーオフの2戦いずれかで勝てば挑戦。行方八段が挑戦するには2連勝が必要です。行方八段は前期名人戦挑戦者です。
仮にどの対局も先手が勝つ可能性が50%だとすると、佐藤八段が挑戦者になる確率は75%、行方八段は25%だといえると思います。
残留条件
降級の可能性があるのは、3勝5敗の森内俊之九段(7)、2勝6敗の久保利明九段(3)、広瀬章人八段(4)、郷田真隆王将(6)の4人。カッコ内は順位。2名が降級。
一応説明しますが「順位」は今期の成績ではなく前期の成績で決定されている順番ですね。もし仮に今期の成績(勝ち数)が降級のボーダーラインで複数人並んだ場合は、順位が下の人が降級します。勝敗が並ぶことはよくあるので、降級の可能性がない人も来期のことを思えば順位は重要です。なおA級の場合、名人挑戦については勝数トップに複数人が並んだ場合はプレーオフになります。
降級に絡む、最終局の組み合わせはこちらです。
▲久保九段vs△森内九段
▲深浦九段vs△広瀬八段
▲屋敷九段vs△郷田王将
まず久保九段と森内九段の直接対決は、いずれも勝てば残留が決定。
久保九段が負けた場合、広瀬八段と郷田王将の両方が負ければ残留ですが、どちらかが勝利するかいずれも勝利した場合は降級。
森内九段が負けた場合も同じく、広瀬八段と郷田王将の両方が負ければ残留ですが、どちらかが勝利するかいずれも勝利した場合は降級。
広瀬八段は勝てば残留、負ければ降級というすっきりとした条件です。
郷田王将は自力残留はありません。自身が勝利して、かつ、広瀬八段が負けた場合にだけ残留。自身が負ければ降級ですし、広瀬八段が勝った場合も降級という厳しい条件です。
仮にどの対局も先手が勝つ可能性が50%だとすると、久保九段と森内九段が残留する確率は62.5%、広瀬八段は50%、郷田王将は25%ということになると、思います。
同じ2勝6敗でも順位の違いによりかなり確率に差がありますね(最終局の組み合わせにもよりますが)。
挑戦も降級もなし
渡辺明竜王、佐藤康光九段、屋敷伸之九段、深浦康市九段は挑戦も降級も可能性がありません。
ただ、深浦九段は残留がかかる広瀬八段と、屋敷九段も残留がかかる郷田王将との対局です。
なお、
▲佐藤九段vs△渡辺竜王
だけは挑戦にも降級にも関係ない戦いですが、勝った方は来期の順位が3位、負けた方は4位か5位となります。
また、既に今期のB級1組順位戦の結果により、三浦弘行九段(復帰)と稲葉陽八段(初)のA級昇級が決まっています。
コメント
分かりやすくまとめてくれてありがとうございます。
年度末にクライマックスの棋戦は順位戦に加えてNHK杯がありますが、残っている棋士のうち、A級が3人とも降級候補者で、村山七段もB級1組から降級する可能性があるので、今いる級に残留が決まっている棋士が、千田五段たった一人なんですよね。
しかも郷田-広瀬のA級対決の放送日には、A級の挑戦と降級が全て決まっているという。
順位戦それぞれの級の最終戦もNHK杯も、最後まで楽しみたいと思います。
おお、そうえいばそうですね。どの棋士にも注目が集まります。もう収録されている対局もいくつかあるでしょうから、棋士ご本人はまた我々とは違った心持ちで対局に臨まれる可能性が。千田五段は初めてのNHK杯で勝ち進んでいてしかも定跡にはない形を指されるので期待できそうです。次は久保九段なので何か振り飛車向けの面白い手を指されるかも。
コメントありがとうございます。