2015年9月25日の第1期叡王戦八段予選に、解説として出演された糸谷哲郎竜王が、兄弟子の山崎隆之八段の魅力を語る場面がありましたのでご紹介します。
糸谷竜王と山崎八段の関係は、森信雄七段門下の弟と兄。兄弟子の山崎八段は、長年森門下で一番実績のある棋士(亡くなった村山聖九段を除けば)の地位にあったと言ってもいいと思いますが、昨年の糸谷竜王誕生で将棋界での序列は弟弟子の方が上になっています。
聞き手は竹部さゆり女流三段です。
(お知らせ)本件のニコ生タイムシフト時間を知りたい方がいらっしゃいましたら、調べてご返信しますので、コメント欄などでご連絡下さい。
勝ちにくい将棋が好き
糸谷竜王は解説中、「勝ちにくい将棋が好き」という話を始めました。
話によると、「一手損角換わりとか、右玉とか、薄い玉で相手の厳しい攻めをかわす」といった指し方が好きなようで「ジャンキーなんですけど、自分が一手間違えたら負けみたいなのが好き」とも話されていました。
糸谷竜王の右玉や一手損は有名ですね。一歩間違えたら負ける将棋が好きなんて変態性があります。この自分の好みの話から、同じく「変態」(褒め言葉だと思います)と呼ばれることもある兄弟子の話を始めます。
研究会の意味ありますか?
糸「(自分の好みは)兄弟子の山崎さんとだいぶ近いと思うんですけど。(山崎八段は)薄い玉で相手を凌ぐというか、自分の構想、人に真似できない構想とかを、盤上で実現することに力を入れられていて、最新型とか研究されてるのに、本当に最新型指しませんからね」
山崎八段は最新型を研究しているんですね。それでも実戦では指さないと。
糸「自分の発想を盤上に再現して、それで勝つのが楽しい。研究はするんですけどね、『研究会の意味ありますか?』って感じです」
山崎八段にとって最新型の研究とは何なのか。それはそれで、ご本人に聞いてみたいです。
愛してる
そして突然の告白。この日ほとんど噛み合わなかった竹部女流との会話も、ここでは噛み合います。
糸「そんな山崎さん、大好きです」
竹「兄弟子ラブなんですね。兄弟愛」
糸「ああ、そうですね。棋士の中だと、多分私、一番山崎さんのこと尊敬してるし、愛していると思います」
竹「へー。結構ファン多いですよね、山崎先生。棋士の中でも。やっぱり将棋に対する姿勢だったり。山崎先生の指す手に」
糸「そうですね。山崎さんの手は本当に才能がすごい溢れ出ているんですよ。なんで序盤でこんな構想にするのかって。わざわざなんでこういう構想にしたのかって事が多くて。空中分解しそうな将棋も多いんですけど、本当に山崎さんの将棋が最初から最後までうまく言った時ってすごいきれいなんです」
竹「やっぱりそういうところを見て欲しいですか?ファンの方にも」
糸「そうですね」
多分~と思います。という言い方が、自分を客観的に見ている言葉であり、リアリティがあります。
兄弟愛
日本語が難しいのは、この「棋士の中だと、多分私、一番山崎さんのこと尊敬してるし、愛していると思います」という言葉が2つの意味に解釈できること。
1.山崎さんのことが好きな棋士は多いが、その中でも、山崎さんへの愛が一番強いのは私だ
2.私はいろいろ好きな人がいるが、棋士に限定すれば山崎さんが一番好きだ
普通に考えれば2ですか。いずれにしても強い兄弟愛。
もう少し話を聞きたかったですが、この後すぐ別の話題になってしまいました。
この愛に、山崎隆之八段はどう応えるのか。山崎八段はなかなかニコ生には出演されないと思いますし、誰かNHKの将棋フォーカスの方にメールして聞いてみてください。
なお、念の為に書いておきますが、糸谷竜王は独身ですが、山崎八段は昨年結婚されています。
コメント
糸谷竜王は、大阪大学でハイデガーを学んでいるから、
きっと「哲学的な愛、アガペー」なんですよ。汗)
しかし古代の哲学者はわりと
いや、ここは清い将棋ニュースブログだ、この話はやめよう
Lead-egg様:
コメントありがとうございます。まさか竜王のアガペーだったとは。いろいろ誤解が生まれそうですが、竜王の「愛しています」は強烈な印象でした。
匿名様:
コメントありがとうございます。話をしたい欲求にかられるのは誰にでもあることですが、してはいけない話を思いとどまるのは誰にでもできることではありませんし、それは正しいことだと思います。
皆様コメントありがとうございます。
◎ここに迷い込んだ方へ
検索ワード : 第1期叡王戦 八段予選 神谷・行方・木村
時間 : 6:36:00 〜 6:39:00
糸谷竜王(当時)が山崎さんへの愛をかたっています。