飛車といえば、将棋の盤上最強の駒であり「へぼ将棋 王より飛車を可愛がり」と言われるほど誰からも愛される駒。
一方で角といえば、「序盤は飛車より角」とか「遠見の角に好手あり」とか言われるように、時々飛車を上回る力を発揮します。
2人は永遠のライバルです。
どちらが強いか問題、解決へ
そんな飛車を愛する者・いわゆる飛車厨と、角を愛する者・いわゆる角厨が対戦した動画が、ニコニコ動画にあがっています。
これは、以前紹介した将棋不動産の動画と同じ投稿者(EthaneGorillaさん)の動画です。
対局ルール
この将棋は、通常の将棋の初期配置から先手の飛車と後手の角を入れ替えた状態で対戦するというルール。したがって飛車厨は飛車が2枚、角厨は角が2枚自陣にある状態から対局が始まります。
対局者は両方コンピュータ(Bonanza)。
持ち時間はなく、秒読みは1手1秒。
5番勝負です。
初手▲3六歩
まず先手となった角厨が驚きの初手▲3六歩。
実況も
「おおっと!3六歩!これはどういうことなのか。なるほど、これはシンメトリーだから7六も3六も変わらないということか・・・!」
と驚きます。
普通の将棋なら飛車のコビンを開けるこの手を初手に選ぶのは考えにくいのですが、この将棋の場合は右の角の角道を開ける手として成立します。
実況も面白い
このBonanza同士の対局の様子を投稿者は「実況」しているのですが、それがまた面白いです。個人的にヒットだったのは、盤の中央からやや敵陣付近に「囲い」ができつつある場面で、その囲いを指して
「ここらへんに、ラピュタができております」
と実況した場面。「ラピュタ」とはもちろん、スタジオジブリ製作・宮崎駿監督のアニメ「天空の城ラピュタ」のこと。
普通囲いは自陣にできるもの。また、囲いを「城」に例えることがあります。囲いの中に玉が入ることを「入城」といいますし。
この場合、盤の中央から敵陣付近、つまりは自陣のはるか上部に城ができたことから、その囲いを天空の城に例えたのだと思います。
結果は・・・
ネタバレになってしまうので、5番勝負の結果は書きませんが、一方的にどちらが有利ということはなく意外と拮抗した戦いになりました。
ちなみに、ツイッターではitumonさんがこの動画に言及しているようです。
その昔、将棋界においてなお、ゲームに関してその勇名を轟かせているお二人、先崎学九段と中田功七段が、飛車2枚・角2枚で将棋をされた時は、確か「角側が2手先に指してどうかのレベル」だった気がする。
そしてその後お二人は、金4枚と銀4枚の対決の研究に……
— itumon (@itumon) 2015, 2月 26
プロ間ではやはり飛車のほうが有利なんですね。
そしてその後に金4枚と銀4枚の対決、いわゆる金厨と銀厨の研究をしてしまうプロ棋士たちを思うと、なぜか小さな悩みなら忘れてしまうぐらいに穏やかな心になりました。
将棋っていろんな楽しみ方ができるゲームなんだと、改めて思いました。