日本将棋連盟の理事選挙で落選した「ハッシー」こと橋本崇載八段が、棋士総会が行われた翌日の2015年6月5日にツイッターで「政治からは身を引く」と発信しました。
橋本八段に期待する方もいたと思いますが、今後の理事選挙には立候補しないものと思います。
以下の記事もご参照下さい。将棋電王戦FINALについての橋本八段の苦言と、読売新聞に掲載された橋本八段が実現したかったことをまとめてあります。
橋本崇載八段が電王戦のハメ手に「ガッカリした人がいないか心配」
棋士総会の結果は以下の記事で。
落選を報告
この日、橋本八段はツイッターで以下のように発信。いわゆる「敗戦の弁」を述べています。
少し前の話になりますが、将棋界のこの先10年、20年後を見据えた改革をしていかねばと思い、将棋連盟役員選挙に出馬していました。ファンが喜ぶ新棋戦創設など色々と考えていたのですが、落選しました。とても残念です。自分に期待してくれていた後輩もたくさんいたのに申し訳なかったです。
— 橋本 崇載 (@shogibar84) 2015, 6月 5
おおお。すごく気になる「ファンが喜ぶ新棋戦」とは。このアイディアだけでも置き土産として発表して欲しい。
そしてドワンゴ主催の新棋戦、および第1期電王戦について以下のように述べています。
「タッグマッチ」にならなくて棋士もファンもよかったのではないでしょうか。
ソフトとの決勝戦はよくわかりませんが。ここ何年か、ソフトの問題は正直言って相当なストレスになってましたが、いいところで落ち着いてくれればと思います。
— 橋本 崇載 (@shogibar84) 2015, 6月 5
タッグマッチではなくてよかったとして、新棋戦には一定の評価をしているようです。橋本八段は以前、プロ棋士とコンピュータ将棋ソフトがペアを組んで戦う棋戦「電王戦タッグマッチ」について以下のように強く反対を表明していました。
以下のツイートです。
この棋戦?の趣旨は何なんでしょう、スポンサーの意向?話題性?プロはコンピューターに勝てないので、異なる形で電王戦存続しましょうってこと?意味わからん
— 橋本 崇載 (@shogibar84) 2014, 8月 30
事情が何かは知らんが、プロがソフト指し推進しちゃアカンでしょ。恥を知りなはれ
— 橋本 崇載 (@shogibar84) 2014, 8月 30
あまりにもバカげた企画で、怒りを通り越して呆れちゃったね。ごく一部でも、こういうのを面白いと勘違いしている奴が同じ棋士にいると思うと情けない。大半の棋士はまっとうな感覚を持った良識ある人間だと信じたいっす
— 橋本 崇載 (@shogibar84) 2014, 8月 31
将棋の素晴らしさを伝え、棋士って格好いいなとファンに夢を与えるのが我々の仕事です。これからは自分の仕事は自分で守っていかないと、人生をかけてやってきた将棋というゲームは金稼ぎの道具かオモチャになり下がりますね。この件については、私は反対運動を起こします。
— 橋本 崇載 (@shogibar84) 2014, 8月 31
以上、タッグマッチに関する橋本八段の反対表明。
何十年先のことも考えて
さらに後輩へのメッセージ。
後輩の子たちには、何十年先のこともしっかり考えてこれからの将棋界を作っていってほしい。
「大阪のハシモト」さん同様、これをもって政治からは身をひくことにしました。将棋界の動向に関する情報発信は、今後はしません。自分のすべきことに全力を注いで生きていきます。今後とも応援宜しくです。
— 橋本 崇載 (@shogibar84) 2015, 6月 5
「大阪のハシモト」とは、大阪市長の橋下徹氏。橋下氏は、先日の大阪都構想をめぐる住民投票で敗れ、政界からの引退を表明しています。
同じ「ハシモト」という音にかけて、自身も「政治から身を引く」と表明しています。
なぜ身を引くのか
橋本八段が身を引く理由は、わかりません。
「タッグマッチ阻止」という当面の目的が達成されたからなのか、モデル・タレントとして活動の幅を広げていくことが将来の将棋界の発展につながる、と考えたからなのか。
全力をそそぐという「自分のすべきこと」とは・・・。
以下、例によって私(管理人)の個人的な感想です。お見苦しい点があるかも・・・橋本八段に思い入れがある方は「まだ32歳」「後輩」の見出しは飛ばして下さい。
まだ32歳
大阪の橋下徹氏が政治家になったのは30代の後半からで、現在45歳。一方の橋本八段はまだ32歳。「後輩の子たちには・・・」というような歳でもないと思うのですが。
むしろこれから、どうやったら自分の思いを実現できるのか学んでいき、周りの人の共感も得て力をつけていく歳なのかなって。お若いので、もしかしたら挫折だと感じているかもしれませんが、何十年後に自分の思いを実現したいと思ったら、今から地道にやっていく必要があると思います。後輩に任せずに。
偉そうなこと言って申し訳ないです。
将棋界でも1、2を争う人気者なので、それをなんとか将棋界に還元してもらえたら。
そういえば、橋下氏は2007年、大阪府知事選挙に立候補する可能性を問われて「2万%ない」と述べていました。
後輩
橋本八段に期待した後輩がたくさんいた、というのが事実だとすれば、まだまだ期待に応えるべきだと思いますね。
いや、2年後とかじゃなくてもいいです。20年30年後でもいいのでは。
そのときまた、考えていたという「ファンが喜ぶ新棋戦」も含めて、実現を目指せばよいのではないでしょうか。
私の個人的な経験上ですが、何か実現したいことがあれば、それを言い続けるか、少なくとも「もう辞めた」とは言わないでおく必要があると思います。「やめる」と言ってしまったら、まず自分のところに情報が集まらなくなってしまう。そうなると再び何かしようと決意した時にとても不利です。情報は力といいますし。
あと「後輩」とだけ言っているのが気になります。橋本八段の年代だと、むしろ先輩の方が数が多いはず。期待してくれたり、助言してくれた先輩はいなかったのか。先輩方にはどうやって自分に投票するよう説得を試みたのか。後輩は従えやすいですから。それに先輩への説得って、成功するかどうかに関わらず得られるものが多いはず。先輩はその時点では賛成してくれなくても、後々情報をくれたり、やり方を教えてくれたり、人を紹介してくれたりと、言い方は悪いですが後輩より役立つ存在だと思います。自分に足りないことが何か、気付くこともありますし。その世界に自分より長くいる人に対して、自分への支持を得よう、世界を変えようと思ったら、初めは無視されて当たり前。いや、橋本八段が先輩への説得を大いに試みた結果なのであればそれでいいのですが。
そして組織内で信用を得ていくという過程を経なければ。掲げた公約とともに、その実行力が伴っていることを示す必要もあります。
偉そうなこと言って、本当に申し訳ないです。でも、私は同じではないにしろ経験があって書いています。
将棋界の仕組みをわからずに書いていますし、政治を辞める動機が「タッグマッチが阻止されて満足した」のだったら、非常に的はずれなことを言ってしまっていると思います。
ただ、橋本八段のツイートが「後輩に任せた」という風に見えるのが、引っかかるところがありまして・・・。後輩大丈夫か??
今後に期待
橋本八段、理事選挙お疲れ様でした。
「自分のすべきことに全力」をこれからも期待しています。
タレント活動も密かに期待していますが、将棋での活躍(順位戦A級復帰とか)も期待しています。
コメント
はじめまして。本日初めてこのサイトに出会い、いくつかの記事を拝見しました。
とても素晴らしいサイトですね!早速ブックマークに入れさせて頂きました。
ひとつ気になったのですが、各記事に日付が入っていない様なのですが、何故なのでしょうか?過去の記事などは日付があった方がいつのものかわかって便利だと思うのですが。
何か理由がおありなのでしょうか?
それとも私が見つけられない?それに関する文言がどこかに記載されている?
本記事と関係のないコメントですみません。
一日でも長く本サイトの運営を続けていって下さい。応援しています。
初めまして!コメントありがとうございます。
今後とも宜しくお願い致します。
お気づきになられましたか。そうです、このサイトでは日付を表示しないことにしています。
理由は、それほど大したことではなく、単に私の怠慢なのです。
少し説明しますと、私のサイトは一応メインとしては、トップページに代表されるように、棋士や女流棋士の方が発信している情報やニュース等を集めて閲覧していただく方にわかりやすく提供しようというものです。
これらのページ、特にトップページでは、項目ごとに「最終更新」を分単位で表示しています。なので、これらのページでは日付は必要ありません。
中嶋様がご覧になった記事は、サイトの管理人(私)が個人的にブログ感覚でやっているもので「NEWS by 管理人」と称しています。これはサイトのメインではなく、今のところ副菜みたいなものです。
「メイン」は日付表示が不要で、「副菜」は日付があったほうがいい、ということになります。ここで、副菜だけを区別して表示するやり方が、いまいちいい方法が思いつかず、それであればメインにあわせて表示しない、という方針にしています。「いい方法」というのは、やり方はあるけど、例えば、メンテナンスのたびにテストしなければならず面倒くさい、とかそういうレベルの話です。
ご指摘を受けまして、もう一度、いい方法がないか再検討致します。
このサイトは、今年1月から始めたサイトで、まだ5ヶ月弱ほどしか運営実績がありませんが、閲覧者の皆様に褒めていただいたり、時には棋士・女流棋士の方にも言及してもらってやりがいを感じています。
少しでも将棋の普及や、広く知ってもらうことに役立てればと思って運営しております。
なるべく長く、できれば永久に続けたいという気持ちはありまして、協力者を募りながら運営しています。
応援していただき、ありがとうございます!
今後とも宜しくお願い致します。
お返事ありがとうございました。
日付の件、了解しました。私もその辺詳しくないので良いアドバイスができません^^;
サイト開始から5ヶ月弱でこのクオリティは凄いですね!
管理人さんはそれ以前にほかに何かサイト運営されていたのでしょうか?
将棋に興味を持たれたのもサイト開始と同時期(?)ということですが、何がきっかけだったのでしょうか?
興味を持ってすぐにサイトを立ち上げる情熱に頭が下がります。
再コメントありがとうございます。
日付は検討させていただきます。
このような形式で、毎日のように手間をかける必要がある1人運営のサイトは初めてですが、仕事などを通じて多くのノウハウはありました。
でも試行錯誤の日々です。
サイト立ち上げは5ヶ月弱前で、将棋を見始めたのはその1年ぐらい前です。
見始めるきっかけは、NHKの将棋フォーカスとNHK杯だったと思います。
将棋にハマるようになると、情報のチェックが大変だと気付きました。それで、最初は自分で使うためだけのサイトを考えていました。
ですがせっかくなので、色々な人に見てもらえるように公開して、しかもそれで将棋を少しでも広めるためになればと思い、立ち上げました。
多くの人に見ていただけるようになって幸せに思っています。
コメントありがとうございます!今後とも宜しくお願い致します。
私も、管理人さんと同意見で、今回の橋本八段の発言にはがっかりです。
タッグマッチ阻止だけが目的の立候補なら仕方ないですが、将棋界の未来を考えているなら、身をひくのは残念です。
こんなことを言うと笑われるかもしれないですけど、橋本八段こそが、将棋界の貴乃花になれると期待していました。
貴乃花が初めて理事選に立候補したときは、勝算もなく、ただ当時の腐りきった相撲界を改革したいがために、理事選に立候補してたと思います。
将棋界が、当時の相撲協会ほど腐っているとはとても思えませんが、厳しい状況に置かれているのは事実だと思います。
だからこそ橋本八段のような若くて経営感覚(バーを経営してる)もあり将棋界の未来を考えている理事の誕生を願ったんですけどね。
本業に力を入れるということなんで、これからも応援はしていきますが、本気で将棋界の未来を考えているなら、諦めないでほしいです。
長文のコメントになり、失礼しました。
コメントありがとうございます。
「がっかり」・・・とまでは言いませんけど、何かせっかく志があったのなら今回の挫折で「やめた。後輩に任せた」というのは、思っていてもいいとは思いますが、ツイートで表明する前に1年ぐらい考えてみるとかでもよかったのではないかと思います。でもまだお若いので何でも可能性はあると思います。
貴乃花!!そういえばそれありましたね。可能性がないと思われたところから当選を果たした、というのはうっすらと覚えてます。選挙の構造も似ているのかもしれませんね。一門の票が・・・とかあると思いますし。
私の不勉強で、連盟にどんな問題があるのか把握しておりません。それもあって、私個人的には理事選の結果は、あまり気にしていません。私が棋士の方々のことを知らなすぎるというのもあるのですが。当選した理事の方々も立派だと思います。
ただ、若い人が将来の可能性まで狭めてしまうという点において。もうちょっとやれることはあるのではと思ってしまうのです。
コメントありがとうございます。
コメントお初です。
この記事とても良かったです。むしろ読み飛ばして…と書かれたその部分こそ読み応えたっぷりでした。
>あと「後輩」とだけ言っているのが気になります。
の段はしびれました。
この記事を読めてよかったなあと思いました。
棋士としてファンとしてではなく、32歳の男性に対する、管理人さんのいち社会人としてのフラットかつ含蓄に富んだ意見で、
橋本八段以外にも多くの棋士に一意見として触れてもらいたいものだと思いました。
(追伸:私も記事に時間欲しいなって思ってました…)
コメントありがとうございます!いつもありがとうございます。
こういうのは書くべきか迷いますね。書いたら書いたで、やっぱり取り下げようかなとか迷います。
なるべく自分の主張は出さずに、出すとしてもさらっと伝えられたらと思っています。
ところが今回はちょっと長く、しかも偉そうなこと言ってしまっているので、あのような書き方(読み飛ばして)になりました。
勝手なイメージですが、棋士の方は幼い頃から将棋に人生をかけてきて。基本的には一人で責任を背負う世界だと思いますから、逆に周りの人を巻き込んで一緒に何かを実現するというのは、一般の社会人が毎日のようにやっている(やらされている)のに比べると、経験が浅いのかなと思います。それで書きました。
時間の件、申し訳ございません。中嶋様のコメントの返信に書いた理由です。これまで4、5回は考えてみたのですが、もう一度検討致します。
コメントありがとうございます。