2015年10月3日の「将棋を世界に広める会」の設立20周年シンポジウム「新しいステージに入った将棋の世界普及」で羽生善治名人の講演が行われましたので、その一部をご紹介します。
このシンポジウムは、ニコニコ生放送でも中継されました(残念ながらTSなし)。
追記:当初タイムシフトなしとされていましたが、その後ありに変更されました。
シンポジウムの第1部では、青野照市九段、北尾まどか女流二段、カロリーナ・ステチェンスカ女流3級、81Dojo(国際ネット対局場)の管理人で英語将棋動画を制作・公開している川崎智秀さんらによる講演、挨拶、パネルディスカッションが行われました。
第1部も、大変興味深く観させていただきました。将棋を広めることを真剣に考えている方々のお話。なるほどと思うことが沢山ありました。これはまた、後日記事にしようと思いますのでお待ち下さい。
そして第2部で行われたのが羽生善治名人の講演。この中で、将棋の普及に関して面白い話がありましたので、ご紹介したいと思います。
「ハム将棋」、それから「アマチュアが投稿する対局動画」の話です。
第一歩のハードルを下げるには
羽生名人は講演で様々なお話をされたのですが、中盤では将棋の「最初の一歩のハードルを下げる」ことが大事、というお話をされました。
そのためのツールとして「どうぶつしょうぎ」があり、これは漢字が読めなくてもルールが分かって親しみやすいし、すぐにどうやったら終わるかわかるので、勧めるという話でした。そしてその流れでハム将棋のお話を始めました。
ハム将棋はお勧め
羽生名人「将棋、あ、あまり知らない人とかに、そういう人が興味持った時に、『どういうのがいいですか?』っていうようなことを聞かれたらですね、もちろんどうぶつしょうぎも勧めるんですけど、もう一つはですね、これもネット上で、ハム将棋っていうのがあるんですね。
これ、何かって言うと、ハムって何かって言うと、ハムスターのことなんです。
で、キャラクターのハムスターが出てきてですね、で、あの、これで対局してくれるんですけど、めちゃくちゃ弱いんですね。初心者の人でも、自分が6枚落ち8枚落ちしても勝てるぐらいで。
何しろ相手はハムスターですから。
で、あの、やっぱりそういう、様々なところでの、敷居を低くしていく努力っていうのが、やっぱり非常に大事なことでもありますし」
めちゃくちゃ弱いか?
「何しろ相手はハムスターですから」。衝撃的なお言葉でした。
羽生名人、ハム将棋をご存知だったんですね。私も初心者の頃は対局した覚えはあります。
でも「めちゃくちゃ弱い」ってことはないですよね・・・?
以下、ハム将棋へのリンク。ただ、スマートフォンだと動作しないと思います。PCで御覧ください。
私もハム将棋は友人などに教えています。安心してオススメできるサイトの一つですね。
次の壁を超える刺激
その後、将棋のルールを覚えた人がある程度指せるようになって、次の段階に行こうという時にもまた「壁」に当たるというお話になりました。
ただ、逆にその壁を超えた人(アマチュア初段程度)は、その後将棋をやめてしまうということは少ないのではないか、そこまでをいかにフォローするかが大事であると。
しかし、将棋を広めたいと思っている人が、その壁に当たっている人のために、自分で講座のコンテンツを作ろうとしたら、それはハードルが高い。そこで。
アマチュアの動画
羽生名人「思ったことがあるんですけど、例えば、自分が講座を作ろうとか、そういうことをしようとしたら大変でハードルが高いと思うんですけど、一つ提案じゃないけど、こういうことができるんじゃないかと思ったのは、別にアマチュアの人同士でも自分が指した対局を動画で撮って、YouTubeなんかに投稿してもいいと思うんですね。
それって、ある種、逆に、生きた教材でもあるわけです。
もちろん全然(動画を)観てもらえないって言う可能性もあると思うんですけど。
将棋が強くなる、続けていくっていう時に、強い人と対局する、教えてもらうというのも一つの方法だと思うんですけど、何が刺激になるかっていうと、自分の棋力と近い人がいる、っていうことが非常に大事だと思う。
その人(動画投稿者)と実際に対局ができるわけではないが、一つの疑似体験ができる。そういう可能性があるのではないか」
なるほど
なるほど、としか言いようが無い。
私も、そのように自分の対局を撮影して投稿している方々の存在を知ってはいますが、あまり興味を持って観たことはありませんでした。
今度勉強してみます。
また、当サイトとしてもそういう動画を紹介できればいいかなと思っています(良さそうな動画、または投稿者がいればご紹介下さい)。あるいは私が自分の将棋の動画を撮影してみるのでもいいかもしれません。羽生名人がああいうふうにおっしゃるんですから、誰かの役に立つかもしれないですし。将棋の普及を目指す当サイトにとっては、確かに動画は良いコンテンツだと思いました。
ハム将棋の実力は
羽生名人の講演は約40分間行われました。
ハム将棋やアマチュアの動画のお話以外にも、興味深いことが多かったです。将棋界のトップで、またいろいろな活動をされ知識も豊富な方ですから、一言一言の威力がすごい。後日また、改めて記事にさせていただくかもしれません。なお、冒頭に書きましたが、第1部について後日記事を書こうと思います。
結局、ニコ生のコメントが一番盛り上がったのはハム将棋の時でしたね。ハム将棋、やりましたか?ハムに負けてしまう人もご安心下さい。羽生名人が「めちゃくちゃ弱い」と述べている中、「時々負ける」とか「いやかなり強い」とか「ハムちゃんと互角」とかいうコメントも多かったですから。
コメント
TSありに変更になりましたよ
コメントありがとうございます。
ほんとですね。記事を修正致しました。
情報いただきありがとうございます。
たしかにハムは弱いです。将棋を少しでも学んだことがある人なら平手で勝てます。
その「少し」というのが一般層の「少し」とはズレているのが将棋普及の今の問題点だと思います。
昨今のテレビゲームは格闘ゲームなどを除けば、一か月やり込めばトップ層とは言わないまでも上位陣には入れます。
しかし将棋で一か月ではそれこそハムに勝つくらいが関の山でしょう。学ぶ環境にもよりますけどね。
子供の頃に道場で覚えたような人ならもっと早くにハムに勝つくらいまでは行けるでしょうけど、やはりそれも一般層のイメージする「少し」とは違います。専門の場所でしっかり学ぶわけですからね。
こういう話はず’s将棋さんのところに詳しいですが、入門者というのは指せる人から見たら信じられないほど何も分からないし何も知らないものです。
抑えるべき基本も知りませんし、効率の良い学び方も知りません。ネットで調べればすぐ強くなるだろうと思っていた友人は、結局彼が必要としていた情報に辿り着けず将棋を諦めてしまったりしていました。(その後個人的に教える機会がありましたが)
世の中には想像以上に「駒の動きは覚えた」段階で止まってる人が多いのです。むしろ、そこから先に進める(ハムに勝てる程度まで覚えた)人は全体の1/10程度しかいないとまで思います。
そういう「将棋に興味はあるけど学び方が分からない」層に対して気軽で楽しく学べるような環境を整える姿勢が今後の将棋界にとって大事だと心から思います。
ハムは確かに現時点で将棋を楽しく指せている層にとっては弱いとしか言えませんが、あまり弱い弱いと言ってもハードルを上げてしまうだけなのでは?と思ってしまいます。自分はハムに全然勝てないのに「ハムは弱い」が共通認識の世界に飛び込む人はやはり少数派になってしまうでしょうから。
あなたの意見がとても現実に即していて正しいと思います。羽生さんもずっと好きだったんですけどあの話についてはああ、分かってないなと思いました。
ハムちゃんはバージョンアップをして強くなったらしいので
羽生さんが言ってるハムは以前のハムだったと思いたい
羽生さんは著書によると小学校の低学年の頃に友達から教わった後に、将棋できる場所に通って2ヶ月くらいは一度も勝てなかったらしいのですが
色々な動かし方があるんだなと楽しくやってたらしい上に
級位の頃どんな将棋をしてたかあまり覚えてないとのことなので仕方ないですね
勝てなかった相手もだんだん駒落ちが減っていったらしいのでどんどん強くなったのでしょう
本当の初心者はハム将棋よりも格段に弱いこまお ですら勝つのが厳しいと思うのでこまおをボコボコにできたらひとまず超初心者卒業でいいと思います
「初心者の人でも、自分が6枚落ち8枚落ちしても勝てるぐらいで。」嘘でしょ?
その初心者って(プロ目指してるとか道場とか入門した)ガチの初心者でしょ?
私は将棋歴では5年以上と長いけど、ガチで野良(無勉強、テレビとかで戦法とか
うろ覚えでいくつか知ってるくらい)なので殆ど負けます。
ハム6枚落ちでも負ける事があるし、ハム2枚落ちが
丁度良い(ギリギリ頑張れば何とか勝てそうってレベル)。
平手でも何度か勝った事があるけど、10~20回に1回勝てるか、なので
「マジで頑張らないと勝てないレベル」なので私はストレス解消が目的なので
サシだと中々勝てなくてイライラするので、つい2枚落ちでしてしまう。
本気の人と息抜きでやりたい人とは次元が違いますね。
道場通ってても、息抜きの人は私より弱い人もいるし。