藤井猛九段が対コンピュータに秘策「西尾さんと仲良くして『研究しといて』って。僕は普通の日常生活」

2016年春に開催される人間とコンピュータソフトとの対局「第1期電王戦」。

対コンピュータ戦においては、対人間とは違った戦略が必要とされます。最近、同じ将棋なのに対人間と対コンピュータで別の戦略が必要となるということを、将棋を指さない方に説明したのですがどうもピンときてないみたいです。

何かいい説明の仕方はないでしょうか。そういえば野球でも、同じ野球であっても日本とアメリカでは質が違って、アメリカの一流選手が日本に来て苦労する(逆も)、みたいな話を聞いたことがあるんですが、同じようなものでしょうか。

さて、「藤井システム」をはじめとした序盤の戦略家で知られる藤井猛九段が「もしコンピュータと戦うなら?」と聞かれてその秘策を披露しましたのでご紹介します。

2015年12月20日の「第1期叡王戦決勝三番勝負 特番」でご本人が話されたものです。

第1期叡王戦決勝三番勝負 特番(ニコニコ)
(この記事でご紹介するのはタイムシフトの1時間26分付近からです)

聞き手は中村桃子女流初段です。

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全然想像がつかない

岩手県男性からのメール質問。電王戦を戦う棋士が、山崎隆之八段(叡王)に決まったことを受けて。

ズバリ、山崎隆之叡王はどのようにコンピュータと戦うと思いますか? また、藤井先生であればどのように戦いますか?

まず山崎叡王はどう戦うか?

藤井九段「私にはわかんないですけどね。興味深いですよね。そんなに(山崎叡王がコンピュータ将棋の)専門家っぽくないですからね。いいんじゃないですか、かえって。まっさらな感じで。見てのお楽しみでしょうね。全然想像がつかない」

山崎叡王は、叡王戦決勝のPVでも「コンピュータから目を背けていた」と話していたくらいで、こういう機会でもなければコンピュータと戦うことはなさそうです。

研究しといて

次に、藤井九段自身はどうなのか?

藤井九段「私だったらね。もう、丸投げ。丸投げじゃないけどね、研究するスタッフを揃えます。かき集めて。僕は日常の生活を普通にします」

中村女流「どういうことですか?」

藤井九段「だから、いい戦法とかあったら『研究しといて』って。西尾さん(西尾明六段)とかと仲良くして、少しアレしてね、阿部健(阿部健治郎六段)とかね。スタッフを揃えて『お願いします』って頭だけ下げて、僕は普通の日常生活

西尾明六段は、2015年春の将棋電王戦FINALでも棋士側5人の参謀として活動。棋士側はコンピュータ側に対して3-2で勝利しています。

準備段階からが電王戦

藤井九段に「研究しといて」って言われる光栄は何物にも代えがたい気がしますね。

中村女流「情報だけいただく?」

藤井九段「はい。もうしょうがないですよ。わかんないから。少しでも勝てそうな戦法あったら『教えて』って言って」

中村女流「先生、そういうスタイル?」

藤井九段「しかないでしょう。しょうがないですよ。そればっかりは自分ではわかんないですよ。みなさんのアドバイスを聞くしかない」

藤井九段らしいというか。藤井九段が本気で取り組めば何か見つける気もするのですが、先駆者たちの話を聞いた方が早いということでしょうか。モチベーションの問題もあるかもしれません。

行方尚史八段ももしソフトと戦うなら「トレーナーをつけて訓練する」と話されていましたし、チェスでも対ソフト戦ではプログラマを含めた研究チームを組むのはあることのようです。

藤井九段は、山崎叡王に暗に「スタッフを収集してお願いするのがベストだ」と助言されているのかも。

前回と同じように、電王戦本番だけでなく、準備段階のドキュメントも放送していただけると面白いと思いますね。あれ結構好きでした。期待しています。

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コメント

  1. あなあき より:

    「闇の中で小さな目標を探し当てるゲーム」に将棋をたとえると……
    ソフトは、大きな光源をブンブン振り回しながら力づくでゲームを進めるタイプ
    人間は、持ってる光源自体は小さいけど、視覚に加えて嗅覚や聴覚など五感を駆使して進めるタイプ
    最近は、ソフトも視覚以外の探索法を身につけつつある感じはするけど
    概ね、そういった相違が両者にはあるよねwww

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      はい、例えをありがとうございます。そうですね、人間とコンピュータでは、課題に対して解決するアプローチの違いというのがわかりやすいと思います。ありがとうございます。
      そのへんはなんとなくわかってくれるかんじなんですが、その対決となると、なかなか伝わりづらいんですよね。別の戦略や慣れが必要になることとかですね。まあ私レベルでも人間と指しているときとコンピュータと指している時ではなんとなく違いわかりますから、攻略法の観点からそれを説明できればいいとは思うのですが。コメントありがとうございます。

  2. 小島雅俊 より:

    藤井四段の手を見習いたいてす。

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