藤井聡太の記憶(7)。プロ入り5ヶ月、7連勝。当時の棋力の評判

2016年10月にプロ入り。同年12月のデビュー戦から3連勝。2017年2月下旬のNHK杯予選3連戦でさらに3連勝し(結果は当初非公表)、密かに連勝を6まで伸ばしていた藤井聡太さん。

羽生善治竜王や渡辺明棋王は、デビューからの連勝が6でしたから、それに並んだということになります。

さて、この頃の藤井さんの棋力の評判ですが、はっきり言えばまだ未知数に近かったと思います(NHK杯予選の結果が未公表だったこともあります)。

藤井さんが並の新四段の棋力なのか、それ以上なのか、見極めにはまだ時間が必要でした。

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当時の棋力の評判

この時期には公式戦と並行して、非公式戦であるAbemaTVの「炎の七番勝負」が始まります。興味深いデータがあります。

3月5日から11日にかけて行われた、AbemaTVのアンケート。藤井さんが「炎の七番勝負」でいくつ勝てるか?、というもの。

相手は増田康宏四段、永瀬拓矢六段、斎藤慎太郎七段、中村太地六段、深浦康市九段、佐藤康光九段、羽生善治三冠(肩書は当時)という、トップ棋士も含まれ、いずれも棋士全体の上位20%には入るだろうと思われる棋力のメンバーです。

アンケート結果は以下のようになりました。

0〜2勝 44%
3〜4勝 43%
5〜6勝 9%
全勝 4%

大半の人たちは4勝以下、44%の方は2勝以下を予想していました。これはもちろん単なるアンケートですから、科学的な根拠に基づく棋力の評価とは違いますが、世間の評判としてはこの程度だったと思います。このメンバーに新四段が2勝でもしたら十分すごいのですけど。

当時はまだ、藤井さんが奨励会三段リーグを13勝5敗で抜けたというイメージもありました。三段リーグで5敗しているので、まだトップ棋士とは差があるのでは、という見方もあったと思います。

結果は数カ月後に明らかになるのですが、6勝1敗でした。永瀬六段以外には勝利するという。非公式戦とはいえ凄まじい成績でした。

【管理人の所感のコーナー(棋士の棋力の評価)】

わたしたちが棋士の棋力を評価する方法としては、いくつかあります。

1.順位戦のクラスによる評価
将棋界で最もメジャーだと思われます。名人・A、B1、B2、C1、C2、フリークラスのどこに所属しているか? で大凡の棋力を知るやり方。

ぱっとわかりやすいですしある程度は参考になりますが、クラスの入れ替えは1年に一回しかなく、しかも入れ替わる人数が少ないため、棋力のアップ・ダウンが反映されるのは年単位の時間が必要。つまり、最近の棋力を測るのには適していません。

2.段位による評価
四段、五段、六段・・・という段位による評価。これは、将棋専門メディア以外では棋力と同義のように扱われることがありますが、あまりあてになりません。

段位は、棋士がこれまで積み上げてきた実績の総計のようなものだと理解すればいいのかなと思います。棋士になってからの年数が長いほど実績も多くなりますし、一度段が上がれば、下がることはありません。ただ「若くして七段」とか、そういう注釈付きであれば、棋力の評価として使えるかもしれませんね。

3.悪手率による評価
コンピュータ将棋ソフトによって、棋士が悪手を指した割合(悪手率)を算出。単純に言うと、悪手率が低いほど棋力が高いことになる。

あまり詳しくないので下手なことは書けないのですが、このデータは参考にはなりますが、まだ研究段階というか棋力を評価する方法としては確立されていないのかなという感じがしています。悪手率に限らず、棋士の指し手を科学的に評価する研究には大変期待しています。

4.レーティングによる評価
チェスで公式に用いられているイロレーティングやその改良版グリコレーティングでの数値による評価。

過去の対戦成績をもとに評価するやり方で、レーティングが高い棋士に勝てばレーティングが大きく上がるが、レーティングが低い棋士に勝ってもレーティングは少ししか上がらない。同様に負けたときにもレーティングが変動する。

直近の成績が反映されやすいですし、期待勝率などの算出にも使える。将棋倶楽部24などの対戦サイトでも利用されていて(イロレーティング)実績もあり、評価方法として確立されています。

欠点をあげるとすれば、どの対局も平等に扱っていること。つまり対局の重要性が加味されていないことでしょうか。例えば多くの棋士が最も大事にする順位戦やタイトル戦などの重要な対局の勝敗も、一般棋戦の予選といった(こういっては失礼ですが)相対的に重要度の低い対局の勝敗も、同列に扱って評価されます。

さて、突然ですが2018年7月19日からサッカーのFIFAランキングの算出方法が改定されます。

簡単に言うとイロレーティングに試合の重要度を加味したような方式になります。重要度というのは、親善試合は重要度が低く、大きな国際大会は重要度が高い、というぐあい。今までの算出方法は2006年から使用されていた方式ですが、欠陥も指摘されていました。今回のワールドカップでは、グループステージで日本と同じ組になったポーランドがまさかのFIFAランキング8位。実力を反映しているとは言いにくいものでした。

算出方法の改定によって、ランキングが妥当なものになるか、注目しています。将来、将棋でも公式な棋力ランキングができれば面白いですね。

デビュー7連勝

藤井さんの公式戦第7局は、3月1日の王将戦1次予選の有森浩三七段戦。先手・有森七段の向飛車穴熊に、藤井さんは天守閣美濃で対抗。

終盤の寄せ合いに入る前に大差がつき、穴熊も天守閣美濃も残ったまま、藤井さんの72手目を見て有森七段が投了。

これでデビューから7連勝。羽生善治竜王や渡辺明棋王のデビューからの連勝「6」を上回りました。

将棋界におけるデビューからの最高連勝記録は「10」。いよいよこの数字が見えてきました。

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