藤井聡太の記憶(21)。膝パン投了寸前、相手の大悪手に救われ奇跡的に連勝伸ばす

2017年6月、藤井聡太さんはデビューから負けなしの状態で、7日の上州YAMADAチャレンジ杯に臨みました。

YAMADAチャレンジ杯は、若手棋士が参加する早指し棋戦で、勝ち進めば一日で最大3局指すという過酷な戦いです。

藤井シフト、藤井フィーバー、フジイノミクスなど(藤井聡太の記憶20参照)華々しい報道で霞んだかもしれませんが、この日、藤井さんは連勝記録が途切れる寸前の大ピンチを迎えていました。

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イケメンとの力戦を制す

藤井さんの公式戦21戦目は、6月7日の上州YAMADAチャレンジ杯、都成竜馬四段戦。

当然、この頃には藤井さんの対局相手についての報道も加熱していて、ワイドショーでは都成四段がイケメンだイケメンだと騒がれていました。

将棋の内容としては、相居飛車の力戦。中盤で後手の都成四段から仕掛ける手もありましたが、仕掛けが成立しないとわかって、そのときにはすでに後手に持ち時間もなく、藤井さんが優勢となりました。早指しでは持ち時間の使い方が特に重要。

あとはゆっくり藤井さんが押し切りました。

同じ頃、藤井さんの扇子(大志の揮毫)が発売から1時間で完売。

投了寸前に追い込まれる

同日午後、藤井さんは引き続き公式戦22戦目、上州YAMADAチャレンジ杯の阪口悟五段戦に挑みました。

これが大ピンチだった戦いです。連勝記録中で最もピンチでした。

藤井さんが先手、阪口五段が後手で、戦型は阪口五段が四間飛車からの4→3戦法(三間飛車に振り直す戦法)。

中盤で藤井さんが有利となり、終盤では勝勢に。しかしこのYAMADA杯の「持ち時間20分、切れたら1手30秒」という、プロの将棋では珍しい早指しのルールに罠がありました。

藤井さんは1手30秒の戦いで悪手が続き、決めそこなってしまって、大逆転を喫して、敗勢に陥ってしまったのです。

後に有名になる膝パン

藤井さんは自分への怒りか、悔しさからか、大きな音が出るぐらい、自分の膝か太もものあたりを叩きました。後に有名になる藤井さんの「膝パン」です。「ももパン」と言ったほうが正確かもしれませんが。

ここで藤井さんが負けたら「膝パン投了」と呼ばれたかもしれません(将棋界では佐藤天彦名人の「リップクリーム投了」が有名)。

藤井さんは膝パンして必至の追撃を試みましたが、有効な攻めがなくなり、投了寸前に。それが以下の局面です。

ここで阪口五段が△7四角とすれば、何の問題もなく、阪口五段の勝ちでした。先手の藤井さんにはもう攻めの手がなく、受けもきかないためです。

しかし、最後の最後でYAMADA杯の「1手30秒」というルールが藤井さんに味方したのか、阪口五段は秒読みの中、△7四角を選ばず。まさかの△8五歩。大悪手でした。

さて、この局面、後手玉が3手詰になっていますね。阪口五段は自ら、自玉の3手詰を作ってしまった、ということになってしまいました。

さすがに30秒将棋とはいえ、なかなかこのような大きなミスはプロの将棋では見ないです。

藤井さんが▲9六金を着手したところで、阪口五段が投了。

投了寸前の敗勢からわずか2手で、勝ちが転がり込んできました。

何度も書いて申し訳ないですが、藤井さんが11連勝、20連勝を達成したときに、それぞれ「自分の実力からすれば望外」「僥倖としか言いようがない」と発言したのは、謙遜もありますが、自分の実力を冷静に判断してのことだったと思います。

それにしてもこの勝利は奇跡的。このような超ラッキーを拾う幸運もあって、連勝を伸ばしたのでした。

23連勝を達成

藤井さんは同日、引き続き公式戦23戦目、上州YAMADAチャレンジ杯の宮本広志五段戦を戦いました。

後手の宮本五段が四間飛車穴熊。藤井さんも穴熊で相穴熊。中盤から少し藤井さんがリードし、徐々に有利を拡大し、終盤も盤石で、今度は確実に勝利しました。

これで23連勝。連勝記録は単独3位に。

いよいよ、将棋界歴代1位の連勝記録「28」も見えてきました。

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