藤井聡太の記憶(13)。NHK杯本戦の結果がネタバレされる異常事態

2016年10月にプロ棋士となり、同12月にデビューした藤井聡太さん。

「デビューからの連勝記録」を伸ばし続け、その連勝記録が2017年4月13日には「12」となっていました。

藤井さんが勝つたびにすぐにニュースになり、次の対局はいつだ、相手は誰だ、などと報道される注目度。

その中で、NHK杯戦の収録日が公表されるという異例の対応(第12回参照)に続き、ついに、NHK杯本戦の結果までもが公式にネタバレされてしまうという事態が発生しました。

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1ヶ月も前にネタバレ

「NHK杯テレビ将棋トーナメント」通称、NHK杯戦、またはNHK杯は、その名の通り日本放送協会(NHK)が主催するテレビ棋戦。毎週日曜日の午前中に放送されるのですが、それは通常は生放送ではなく、事前に収録されたものが放送されています。

収録日(対局日)や勝敗は事前に公表されず、我々は通常、日曜日の午前の放送を観て結果を知ることになっています。(一見生放送っぽい雰囲気もありますが基本的には収録です)

ところが、藤井さんは連勝記録更新中ということで、異例の対応がとられました。冒頭に書いた通り、NHK杯戦の収録日(対局日)が公表されたばかりか、その結果までネタバレされてしまったのです。

報道各社の他、日本将棋連盟の公式までその結果を大々的に発表。

NHKは全国津々浦々で放送されていて誰もが視聴できますから、NHK杯はタイトル戦以上に多くの人が観戦する注目度が高い棋戦。

たまにひょんなきっかけで事前に結果を察してしまうこともあるかもしれません。しかし事前に結果を知って興ざめする人も多いでしょうから、もし結果を知ったとしても、誰かにネタバラシするのはやめておいたほうが賢明でしょう。

ところがこうやって大々的に、放送の1ヶ月も前にネタバレしてしまうのですから、やっぱり異常事態でした。

【補足】

ちなみにこの3日前には、銀河戦において三浦弘行九段が復帰後初勝利したことが、放送より前に報じられました。

銀河戦も同じくテレビ棋戦(CS、囲碁・将棋チャンネル主催)で、放送日と対局日(収録日)が異なります。藤井さんのときのように大々的に報道されたわけではありませんでしたが。

藤井さんは千田翔太六段も破り、デビューからの連勝を「13」に伸ばしました。

さすがに公式戦で、実力者・千田六段相手ですから、このあたりで連勝が止まってもおかしくないとは思っていました。ただ、勝敗はわかりましたが、対局の内容は約1ヶ月後の放送を待つ必要がありました。

【管理人の所感のコーナー(テレビ棋戦)】

テレビ棋戦において、対局日(収録日)と放送日が違うことはネタバレの問題をはらんでいます。

今回のように連勝記録が続いているときなど、世間の関心が高い場合、対局結果の公表を保留したまま放送日まで(例えば今回のケースでは1ヶ月間)を耐え忍ぶというのは容易なことではなさそうです。

従来からテレビ棋戦には、棋士・女流棋士の段位やタイトルが変わる、対局日と放送日が年度をまたぐ場合は将棋大賞各賞(年度の最多勝利賞、勝率第一位賞など)によって結果を察してしまうなど、ネタバレの可能性がいろいろあります。

解決案としては、「放送日を公式な対局日とする」、つまり放送されたことをもって対局が行われたとみなす、というアイディアがあるように思います(正確にいえば、放送終了時刻をもって公式な対局終了時刻とする。放送当日に同じ棋士が別の対局をしている可能性があり、どちらの対局が先に行われたかを明らかにする必要があるため)

段位やタイトルの変更、将棋大賞各賞も、放送日を基準とすれば、ネタバレの可能性を少なくできそうです。

しかしこれだと、例えば大きな事件があったりしてテレビ局の編成上の都合で放送日が変更されると、連勝記録が成立したりしなかったり、将棋大賞各賞を受賞できたりできなかったりする問題がありそうです。

連勝記録の成立や将棋大賞各賞が、間接的に放送局に委ねられる可能性があるということです。

では、「放送日を公式な対局日とする」ではなくて「放送『予定』日を公式な対局日とする(まれに放送日が変更される場合もあるかもしれないが、それはネタバレやむなし)」とすればよいのではないかと考えました。

しかしこれにも欠陥があり、テレビ棋戦の結果を知った上で今後の対局を調整する手合係(将棋連盟の、棋士の対局日程を調整して決める係の人)に、プレッシャーがかかる可能性がありますね。

例えば、他の対局の調整次第で連勝記録が伸びたり、将棋大賞各賞にも影響する可能性がある場合、手合係にそれらが委ねられることになってしまいます。

また、棋士自身が、自分にとって都合のいいように対局日を調整しようとすること(わざと対局以外の予定を入れたり、断ったりするなどして)につながるおそれも、あるかもしれません。

考え過ぎかもしれませんが、盤外戦になる可能性もあります。

まあ私は将棋に関してはネタバレされてもそれほど気にならないほうですから、私にとっては深刻な問題ではないのですが。

この記事でとりあげたNHK杯戦の結果事前公表も異例の事態でしたが、さらに異例の事態がこの後も続きました。

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