藤井聡太の記憶(10)。羽生善治三冠が藤井システムを初対戦(?)で採用

2017年3月23日の異例のNHK杯予選結果公表(前回の記事参照)で、デビューから10連勝していることが判明した藤井聡太さん。

ここからいよいよ、連勝記録がどこまで伸びるか、世間の注目を集めていくことになります。

と同時に、彼の対局中の食事、おやつ、リュック(karrimorの旧モデルだと思われる)、ネクタイ、言葉、一挙手一投足が注目を集めていきます。まるでアイドル。加熱する報道。やっぱり、少し心配でもありました。

スポンサーリンク

羽生善治三冠の藤井システムに屈する

AbemaTVの「炎の七番勝負」ほど注目はされませんでしたが、実は羽生善治三冠(肩書は当時)と藤井聡太四段の非公式戦での対局が3月26日にありました。電王戦と映画「3月のライオン」がコラボした記念企画、ニコニコ生放送の「第零期 獅子王戦」決勝です。

この非公式棋戦では羽生善治三冠、加藤一二三九段、先崎学九段、藤井聡太四段の4人がトーナメント戦を行い、藤井さんは1回戦で先崎九段に勝利。決勝では羽生三冠に敗れています。羽生三冠が珍しい「藤井システム」を採用して藤井さんに勝つという話題性もありました。

後に藤井さんは、羽生三冠の藤井システムについて「藤井システムでこられたのは、僕が藤井だからなのかと、ちょっと考えてしまいました」と述べています。

ただ、実は後で放送されたAbemaの「炎の七番勝負」での羽生三冠との対局のほうが、先に指されていたとのこと。この対局の放送は4月23日、収録は2月18日。こちらは藤井さんの勝利でした。

我々が見たのは、羽生藤井の初対戦では羽生三冠が勝利、第2戦で藤井さんが勝利、というストーリーでしたが、実際の時系列は逆でした。ただしいずれも非公式戦であり、公式戦での対局が待ち望まれることとなります。

望外だった詰将棋解答選手権3連覇

同じく3月26日には、「詰将棋解答選手権チャンピオン戦」が行われ、藤井さんは3連覇を果たしました。

2位、3位とは1点差で、今回はギリギリの優勝でした。

そしてこのときすでに藤井さんは、後に話題になる「望外」という言葉を使っています。

「(解けなかった問題があったので)優勝は望外でした」と。

斎藤慎太郎七段にも勝利

さらに同じく3月26日、AbemaTVの「炎の七番勝負」第3局が放送され、藤井さんは斎藤慎太郎七段に勝利しました。

第1局で増田康宏四段に勝利していましたから、もう驚きはありませんでしたが、当時B級1組に上がったばかりで勢いのある斎藤七段からの勝利に、藤井さんの話題性だけではない実力の高さをますます確信しました。

というわけで、この2017年3月26日は、詰将棋解答選手権、ニコ生、AbemaTVと藤井さんがてんこ盛りの日だったわけです。羽生三冠も1日2回もメディア出演で大忙し。

【管理人の所感のコーナー(うつ病九段)】

2018年7月13日発売の先崎学九段の著書「うつ病九段」に、この当時の将棋界の状況が少しわかる話が書かれています。

この連載でも何度か書いていますが、2016年10月からの不祥事により将棋界の信用は大ピンチに陥っていました。

先崎九段は当時、年齢的な立場(先崎九段は1970年生まれで、いわゆる羽生世代。日本将棋連盟の佐藤康光会長の一つ下)や、映画が公開される「3月のライオン」を監修しているという立場から、将棋界のイメージを回復、逆転させようとして、すべての仕事をほぼ休みなく受けつづけたそうです。今思えば、上記の「第零期 獅子王戦」もその一つだと思います。

ですが、その多くの仕事の忙しさが結局うつ病につながり、約1年間の闘病、約7ヶ月間の公式戦休場を余儀なくされることになりました。

先崎九段は闘病中に「7手詰が解けなくて泣いた」こともあったそうです。私もそこまでではありませんが、メンタルの問題が将棋の内容に大いにマイナスに影響するというのは、何度も経験があります。

藤井聡太さんは当時中学2年生。

学業がある中で、公式戦の対局をこなし、(たぶん本人も望んでいるとはいっても)非公式戦を戦い、将棋の研究も怠らず、メディアから注目され、とてつもない状況だっただろうなと想像します。

それが将棋界における歴史的なスターの藤井さんの宿命だとはいえ、忙しすぎて学業成績や公式戦の成績に影響しないか、心配もしました。

心配は杞憂に終わり、結果的に藤井さんが将棋界の大ピンチを大逆転に導くことになります。が、どこかでやっぱり、それでいいのか、大丈夫か、という気持ちもありました。

NHK杯トーナメント表発表

3月27日には、次期NHK杯テレビ将棋トーナメント本戦のトーナメント表が発表されました。

初出場の藤井さんは、1回戦で千田翔太六段と対戦することがわかりました。NHK杯戦は地上波のテレビ棋戦で、全国津々浦々多くの視聴者が目にする注目度の高い棋戦です。しかも当時タイトル戦に挑戦中だった千田六段との対戦。

その放送日まで藤井さんの連勝が続いているのかも、注目でした。

スポンサーリンク

将棋ワンストップをご覧いただきありがとうございます。ぜひシェアをお願いします

記事の追記や更新の通知はツイッターで行います。フォローをよろしくお願いします!



コメント

  1. 匿名 より:

    はじめまして。
    このシリーズを毎回興味深く拝見してます。
    まるでアイドル並みにメディアにさらされた藤井少年のことを、私も心配してました。
    将棋専門誌のインタビューで、本人が、連勝中にそれほどのプレッシャーや多忙感はなかったと語っています。
    その精神力(杉本師匠によると「いい意味での鈍感さ」など)には驚きますが
    今でも続く注目が藤井七段の心に負の影を次第に落とさなければいいがと心配です。

    • 管理人 管理人 より:

      はじめましてこんにちは。

      勝ち続けたことが大きいかもしれませんね。結果的に、藤井さんの性格的なものが幸いしたのかもしれませんが、何がきっかけで心や体の負担が大きくなるかわかりませんから。
      できれば、静かな環境で勉学と将棋に向き合ってほしい時期でもありますが、そこは歴史的スターの宿命を背負ってるので、しょうがない部分もありますけど心配ですね。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。