中学1年生の奨励会員である藤井聡太二段が、2015年10月18日の例会1局目で勝利し、三段に昇段しました。
朝日新聞大阪本社生活文化部の村瀬信也記者(将棋など担当)がツイートされています。
関西奨励会の藤井聡太二段が今日の例会の1局目で勝ち、三段に昇段しました。13歳2ヶ月での三段は史上最年少。来年4月に始まる三段リーグに参加します。藤井新三段は「10月からのリーグに間に合わなかったのは残念だが、上がれてホッとしています」。中学生棋士誕生の期待も高まります。
— 村瀬信也 (@murase_yodan) 2015, 10月 18
上記の通り、13歳2ヶ月での三段は史上最年少。
本人は以前のインタビューで「目標は中学生でプロ棋士になること」と話していました。実現すれば渡辺明棋王以来の中学生プロ棋士(渡辺棋王は厳密には中学卒業と同時にプロ入り)。
それどころか、1954年にプロ入りした加藤一二三九段が持つ14歳7ヶ月という最年少プロ棋士記録を、62年ぶりに塗り替える可能性もあります。
経歴
藤井聡太三段については、以下の記事が詳しいです。
簡単に言うと、5歳の時に将棋を覚え、小学1年生で(アマ)初段に。4年生の時6級で奨励会入り(奨励会6級はアマ四、五段相当)。小学卒業時点で奨励会二段。
そして2015年10月18日、奨励会三段。10月からの2015年度後期(第58回)三段リーグには間に合いませんでしたが、来年4月からの2016年度前期(第59回)三段リーグに参加することが決定しました。
プロ入り最年少記録の可能性
約30名で争われる三段リーグの上位2人に入れば四段昇段、プロ入りとなります。
2016年度前期三段リーグは4月~9月までですので、早ければ来年9月にプロ入り。その時点で藤井四段は14歳2ヶ月。加藤一二三九段が持つ最年少プロ棋士記録より5ヶ月早いことになります。この三段リーグで昇段を逃せば、加藤九段の記録が維持されることになります。
1987年度から開始された現行の三段リーグを1期抜けした棋士は過去に5人(第1回を除く)。
18回戦で争われる(総当りではない)三段リーグでは、少なくとも12勝6敗ぐらいないと上位2位はきつい。13勝5敗ぐらいがいつもボーダーラインになっている気がします。同じ勝数で並んだ場合は前期の順位で今期の順位が決まるため、前期の順位がない(最下位の扱いとなる)藤井三段は不利。14勝ぐらいできれば、というところですが、もちろん可能性はあります。
棋力
藤井三段の、二段での成績は19勝13敗。最初は苦戦しましたが、直近では14勝5敗の成績で、これが昇段条件を満たしました。
また藤井三段は詰将棋解答のチャンピオンとしても知られます。今年行われた、多くのプロ棋士も参加した第12回詰将棋解答選手権チャンピオン戦では、当時小学6年生の藤井少年が全問正解で優勝を果たしています。
衝撃の12歳、藤井聡太奨励会二段(小6)が第12回詰将棋解答選手権チャンピオン戦で全問正解
師匠は杉本昌隆七段。日本将棋連盟会長である谷川浩司九段も藤井少年のことを気にかけており、直々に師匠に助言をしたりしています。
谷川浩司会長が直々に藤井聡太奨励会二段の師匠に助言「いい詰将棋を作るより解く方をやらせなさい」
中学生プロ棋士の可能性
前述のとおり、本人の目標は「中学生プロ棋士」です。
次期三段リーグで四段昇段を逃したとしても、2016年度後期、2017年度前期、2017年度後期とまだ3回「中学生プロ棋士」のチャンスがあります。(厳密には四段になるのは三段リーグ終了月の翌月1日。中学生でプロデビューするには2017年度前期までに昇段する必要がある)。
ちなみに、戦後中学生でプロ棋士になったのは加藤一二三九段(14歳7ヶ月・史上最年少)、谷川浩司九段(14歳8ヶ月)、羽生善治名人(15歳)、渡辺明棋王(15歳)。いずれも大棋士であり、藤井三段がこのメンバーに加わるのか注目されます。