過去の将棋電王戦においては、コンピュータの指し手はデンソーさん(正確には子会社のデンソーウェーブさん)が提供するロボットアームである「電王手くん」が盤上に指してきましたが、2015年3月14日から開催される将棋電王戦FINALではこれが進化を遂げ、「電王手さん」となりました。
デンソーさんが提供していることには変わりません。ただし、「新たに開発した」ということで、これまでとは次元が違うようです。
以下の映像では、その進化が説明されています。
ナレーションでは、「電王手くん、とは気安く呼べない」とあります。そんな気安く呼べないほどの進化とは。
進化のポイント
VTRのなかから、進化ポイントをあげてみます。
色が銀色に、そしてスリムになられた
まず見た目です。
これまでの電王手くんは、白いボディでしたが、電王手さんになると銀色に輝くボディとなられています。
これキラキラしすぎると棋士の方もやり辛いかもしれませんが、本番ではどうなのでしょうか。自分の顔が映るほどにキラキラしています。
そしてその色のせいもあるかもしれませんが、少しスリムになられた気がします。
医薬・医療用のロボットになられた
電王手くんは、産業用ロボットがベースとなっていました。工場とかにあるアームですね。
一方で電王手さんは医薬・医療用のロボット「VS-050S2」がベースとなり、開発されています。このベースは2014年度のグッドデザイン大賞を受賞しているとのこと。「これまで人がやるしかなかった滅菌環境下の工程を助ける究極の清潔性を持つ」のだとか。
産業用が医療用になって清潔になったからといって、指し手再現にどういう影響があるかわかりませんが、なんか「医療用じゃんすげー」みたいなイメージがあります。
スムーズな成駒を実現する、駒を挟む指を搭載された
電王手くんの一番の欠点というか愛らしいポイントでもあるんですが、駒を成る時に、動かす駒をいったん専用の場所に置いて、そこで裏返しに持ち直し、そして盤上に置く、という動作が必要でした。
これは、駒をアームの先端に吸着させて持つ仕組みだったため。
しかし、電王手さんは駒を両側から挟んで持つ仕組みとなられたため、いったん置いて裏返しに持つという動作をしなくても良くなられました。これはすばらしい。まるで指のようです。
今回最大の進化ポイントだと思います。
デンソーさんいわく「挟むのは駒と駒の隙間を認識する必要がある」と、非常に苦労されたようです。ありがとう、デンソーさん。
性別は男のようです
ちなみに、上記のPVでは、「彼の名は電王手さん」とナレーションが入っています。
「彼」、つまり「くん」から「さん」になったとしても、性別は男のままのようです。
どんだけ進化するんですか・・・
いや、これまでの電王手くんもすごかったですよ。だからみんな衝撃を受けて、あれだけ話題になって。
そして今回の進化。残念なことに将棋電王戦は今回がFINALですが、技術好きの私としては今後も彼の進化が見てみたい。
最終的には、指し手の時間もコンピュータ側の時間に含むという謎ルールにして技術を競ったり(リアル車将棋のルールと同じ)、人間の指し方のように駒を上下で挟んだりしているところも見てみたいものです。
電王戦FINALは3月14日から
そんな彼が登場する将棋電王戦FINALは3月14日(土)から毎週土曜日に開催。
こちらの記事では、これと同時に発表された開催地について書いてありますので、興味があれば御覧ください。
以上、ありがとうございました。