千田翔太五段のコンピュータ将棋ソフトとの付き合い方。1日の80%の時間はfloodgateの棋譜を見ている

千田翔太五段といえば、非常にコンピュータ将棋に詳しい棋士として知られ、一方で2013年のプロデビュー以来の活躍で「将来の名人」と期待される棋士。

そんな千田五段が、自身とコンピュータ将棋との付き合い方について、以下の番組で(タイムシフトの2時間35分付近から)語ってくれましたので、ご紹介します。

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コンピュータ将棋ソフトとの付き合い方

千田五段は関西所属ですが、千葉県木更津市で開催された上記の第25回世界コンピュータ将棋選手権に自腹で駆けつけたというほど、熱心なコンピュータ将棋マニアです。

千田五段のお話を、この記事ではQ&A形式で記述しご紹介します。

floodgateについて

floodgate(ネット上でコンピュータ将棋ソフト同士が対局をしているサイト)をよく見るか?

千田五段「1日の起きている時間のうち80%ぐらい見ている。ただし、サイトでリアルタイムで見ているわけではなくて、棋譜(読み筋、評価値含む)を見ている」

それは勉強になるか?

千田五段「相当勉強になると思うが、私の能力不足で活かしきれていないのが実情」

floodgateの魅力は?

千田五段「最初見た時は新鮮に見えた。今は、純粋に強いなと。いい棋譜を取り入れていかないといけない」

そこから新手が生まれるか?

千田五段「(コンピュータの)新手に至るまでの定跡がそもそも正しくないと思っている。ponanzaが序盤を広げたと言われているが、人間の感覚からはちょっとは広くなったとは思うが、実際は評価値でponanza自身がマイナスを出しているわけなんで。だから実際に広がったかと言われる難しい」

floodgateを見始めて感覚は変わったか?

千田五段「変わりましたね。元々感覚を変えないといけないと思っていた。三段時代に、将棋倶楽部24で最高点を叩きだしたが、それにしては三段リーグで勝てなかった。そこで、これはおかしいぞと思って感覚を変え始めた。まず大山(康晴)先生と、中原(誠)先生の棋譜を並べ始めて、そこから、将棋ソフト、GPS、NDF、ponanzaとかそっち方向にシフトしていった。以前は人間の棋譜を見る比率が多かったが今はコンピュータのほうが多い」

電王戦の対局ルールについて

もし(電王戦のような)ソフトと対局する機会があれば、出場するか?

千田五段「もちろん」

(周囲で、おおー!!という声があがる)

千田五段「ただ、電王戦FINALのような貸出ありルールでの対策はやりたくない。だから出なかったというのもある。それ以前に私以上の棋士が5名揃っているはずなので、そもそも断らせていただいた」

(貸し出しルールについてはこの記事の最後に関連記事を掲載しますので、そちらも参考にされて下さい)

千田五段「私は人間とソフトの差を明らかにしたい。いっぱいデータを取って、ソフトが8割勝つとか。そこから、将来どうなるか。2015年のクジラちゃんに何割勝てて、その10年後の人類が2015年のクジラちゃんに何割勝てるようになったとか。それで人間の進歩を明らかにする」

(クジラちゃんとは、コンピュータソフト「大合神クジラちゃん」のこと。この放送は同ソフトの開発者席からの放送だった)

トーナメントプロとしてどこを目指すか

将来の名人という声もあるが、プロ棋士としての目標は?

千田五段「先輩方は意識されていると思うが、私はあまり意識していない。将棋ソフトと自分、過去の自分と現在の自分を比べて、どうなったかを考えている」

その他

その他、対局の持ち時間について「持ち時間はもっと短く、ほんとは3時間ぐらいで指せれば。それでもなかなかいい将棋が指せるのではないか」という話もされていました。

それから「自分がどうやって強くなったかを明らかにしたいと思っているので、月毎でテーマを決めてやっている。これ(テーマ)のせいで強くなったというのが、ノートに書いておいてだいたい分かるようにしている」という話も。将来、このノートは千田ノートとして出版されるかもしれません。

また、同日に放送されたNHK杯について、早指し棋戦にも関わらず持ち時間8時間で練習対局をして準備をした話もされていました。

千田翔太五段が衝撃のNHK杯デビュー

あと、アニソントークもありました。

千田翔太五段の趣味は「カラオケでアニソン」で「JAM Projectが一番」

仕事と結果のデータ化

ここから私(管理人)の所感ですが、千田五段はコンピュータソフトを「モノサシ」にして、それと現在の自分、未来の自分、あるいは現在の人類、未来の人類の強さを測ろうとしているように思いました。

「千田ノート」含めて、データというものを重視しているように思いました。戦型と勝率のデータのようなものではなく、自分の仕事と結果のデータ化。

これは普通の社会人としてはよくある行動(自分の仕事のやり方や量と、それによる結果をデータ化しておく。データを分析し以後の自分の仕事のやり方に反映させる)なのだと思います。

ただ、棋士の方々が、あまりそのようなサラリーマン的行動をしているイメージがなかったので、このお話はとても新鮮でした。そして、この行動で高勝率をあげているということも興味深いです。

千田五段、いろいろお話いただきましてありがとうございました。

貸し出しルールに関する関連記事

上で書いたとおり、電王戦FINALでのソフト事前貸し出しルールについての関連記事をご紹介します。

「ソフト事前貸し出しルール」反対派はソフト開発者5人中1人

AWAKE開発者・巨瀬亮一さん「ハメ手を使うプロ棋士の存在意義」を問う

「コンピュータチェスvs人類」の歴史と将棋電王戦

以上、ありがとうございました。

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