一年を通して行われる第73期順位戦も残すところあとわずか。
特に今期注目なのはA級順位戦(毎年注目なのだが)。
ここ数年、圧倒的な成績で名人挑戦を繰り返していた羽生善治名人が抜けて(名人になったので)、上位陣が混戦となったからだ。
残り2戦を残し、成績1位の行方尚史八段から9位の郷田真隆九段まで、数字上は名人挑戦の可能性を残している。
しかし、そんなA級においてただ一人、蚊帳の外の棋士が・・・。阿久津主税八段である。
今期初めてのA級を戦った阿久津八段は、開幕から7連敗。早くも最下位でのB1降級が決まっている。
そんな阿久津八段が「A級からの降級」を語った動画がある。「電王戦FINALへの道 #34」だ。
精神面の弱さが出た
阿久津八段はこの動画で、A級順位戦での戦いについて「内容が悪かったから、しょうがない」としながら、
「精神面の弱さが出た。勝負どころの前後で踏み込みが悪い将棋が多かったなぁと」
「リーグ戦で、始めに負けが込んで手が伸びなくなった」
と話している。
私も(といったら棋士の方に失礼なのですが)、なにか嫌なことがあったりすると、将棋にもその影響が出てしまうんです。
将棋って頭脳もそうなんですが、精神面のゲームでもあるんですよね・・・。
これって別のゲーム(例えばテレビゲームとか)ではなかなかないことなんじゃないかと思います。一方でスポーツではメンタルは大事だって聞きますね。いずれも、その競技に真剣になっているからこそ、精神面の影響がもろに出るのだと思います。
ということを考えると将棋って精神面の成長にも役立ちそうです。
バランス感覚が崩れていた
阿久津八段によれば、7連敗のうち自分がやれそう、優勢だと感じた将棋は
「1局しかなかった」
とのこと。そして
「バランス感覚が崩れていたんじゃないか」
としている。
バランス感覚・・・。つまり、本来「優勢だ」と思える局面でもバランス感覚が崩れると「不利だ」と感じていまい、その結果踏み込みが悪くなり、負けにつながると。そういうことだと思います。
消化試合、思い切っていい将棋を指したい
今後、自分が最下位で陥落すると決まった順位戦をあと2戦残しているわけだが、阿久津八段は
「消化試合って、言い方は悪いですけど、それでも注目されるところで指すわけなんで、思い切っていい将棋が指せれば」
と語っています。
阿久津くん、A級に上がれるだけでもすごいことですし、これにめげずに頑張って欲しいです。
まだ32歳。こう言ってはなんですが、女性のファンも多そうな感じがしますし、巻き返しを期待します。