渡辺明竜王、叡王戦にエントリーしなかった理由を従来より少し具体的に明かす

週刊新潮の2016年1月28日号では、渡辺明竜王がご自身の連載コラム「気になる一手」で、第1期叡王戦にエントリーしなかった理由を従来より少し具体的に明かしています。

叡王戦は、エントリー制が採用されている珍しい棋戦(女流棋戦を除けば現在他に例がない)。優勝者はコンピュータと対戦する「第1期電王戦」に出場するというのも特徴。

この号の新潮のメインは、何と言ってもSMAPさんの記事です。「総力取材! 急転直下で『SMAP』元の鞘の裏脚本」という、ジャニーズのメリー喜多川副社長のインタビューを中心とした記事が大ボリュームであります。興味がある方はどうぞ。

タイトルの日程

私がこれまで知っていた、渡辺竜王が叡王戦に参加しなかった理由は、2015年6月21日のご自身のブログ記事に書かれていたものでした。

出場しない理由については裏を返せば出場する棋士や棋戦への異議になりかねないので、具体的に書くのは避けます。様々なことを総合的に考えて判断しました。

新潮のコラムでは、これが少し具体化しています。

エントリーは棋士個人の自由となっていて、(中略)私はタイトル戦の日程との兼ね合い等を総合的に判断して不参加を決めた。

「タイトル戦の日程」という言葉が、従来より具体的なところです。

新棋戦と電王戦の日程

2015年6月3日、ドワンゴ主催の新棋戦(叡王戦という名前は当時決まっていなかった)の概要が発表されました。

当時、その新棋戦の日程は、同年6~9月に段位別予選、10月~11月に本戦トーナメント、12月に決勝3番勝負、優勝者が出場するコンピュータとの対戦「第1期電王戦」は2016年3~5月、とされていました。

渡辺竜王は当時、タイトルは棋王のみを保持。棋王のタイトル戦(5番勝負)は2月~3月に開催されますので、電王戦の時期(あるいは電王戦への準備期間)と重複します。前例では、電王戦に出場した棋士は数百局のコンピュータとの練習対局をしている場合もありました。

また、10月~12月に開催される竜王戦7番勝負は、新棋戦決勝3番勝負の時期と重複。渡辺竜王は永世竜王の有資格者。

他に電王戦の時期に重複する可能性があるタイトル戦の番勝負は、1月~3月の王将戦7番勝負(渡辺竜王は前王将)、4月~6月の名人戦7番勝負

新棋戦の発表時点で、渡辺竜王はこれらすべてのタイトル戦への出場の可能性を残していました。現に竜王戦ではタイトルを奪取。渡辺竜王はこれらのタイトル戦の日程等を総合的に判断したと思われます。

なお、渡辺竜王のコラムでは、毎回実戦から次の一手問題が出題されるのですが、今回は叡王戦決勝第2局、山崎隆之八段が優勝を決定付けた一手が問題となっています。今回のコラムでは他にも、ソフトの形勢判断のことなどについて将棋を知らない方向けにもわかりやすく書かれています。詳しくは週刊新潮1月28日号をご覧ください。

記事としては以上です。ありがとうございました。

以下、私の個人的感想です。

感想

私は個人的には、叡王戦にエントリーしなかったからといって別に問題があるわけではないと思いますし、理由を説明する必要もないと思っていました。理由を言わないことがスポンサーやファンへの配慮ともとれますし。喩えは悪いですが、我々一般の社会人の仕事だってすべての仕事を常に全力で取り組むというわけにはいかず、理由は言わなくても暗黙の了解のうちに優先度が存在すると思います。渡辺竜王は永世竜王でもありますし、タイトルを保持している又はしていたタイトル戦がこの時期に集中する、ご自分にとっての思い入れのある棋戦、義理もあるスポンサーや関係者・ファンのために、その場でいい将棋を指すことに全力を尽くそうというのはあり得ることだと思っていました。「コンピュータと対戦したくない、負けたくないから」という理由の推測もあるかもしれませんが(ニコ生でそんなコメントを見かけたことが)、これまでお世話になったタイトル戦を大事にしたい(竜王はあくまで「兼ね合い」と表現している)という話だと感じました。それを公に言うと確かに「出場する棋士や棋戦への異議になりかねない」ということで、もう触れることはないと思っていたのですが、このように理由の一端が明かされたのは意外でした。

以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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コメント

  1. 長さん より:

    その新潮の記事は、重大でしたネェ。なるほど新潮からの情報を、全体として良く眺め。かつ、棋戦のスケジュールを良く見ると。渡辺明竜王にとっては、「自分が第1期叡王になるの事」については、「朝日新聞の圧力もある」し、特定のライバルには勝ち越しているので一本道であるとして。それを前提に、彼は。その次の局面だけを、綿密に考えていたのですね。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。
      諸事情はわかりませんが、別に叡王戦は1回きりでもありませんから、ご本人の立場としてタイトル戦を控えている中、第1期にこだわることはない、どれだけ負荷になるかわからないので一度見送ってみるという判断だったのではないかというふうにも推測します。エントリー制ですので自由で良いと思いますし、明確な理由を発表する前例を作らなかったのも良いと思いました。コメントありがとうございます。

  2. 匿名 より:

    長期にわたり支援し続けてくれたスポンサーへの影響が心配なんだろ
    エントリー制にして個人の判断の問題にしているけど
    将棋連盟が各関係者に話をつけておかないから面倒くさいことになっているだけ
    名人戦問題の頃から進歩ないね

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。
      私は名人戦問題の頃は将棋ファンじゃなかったのでよくわからないのですが、今回はこういうこともあるんだなっていうぐらいで、特に面倒とは思ってなかったですが、確かにご本人にしてみると色々言われそうで大変かもしれませんね。

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