最晩年の大山康晴名人が「一手詰み」まで指した理由。23年前のA級順位戦4人プレーオフ、高橋道雄九段戦

2015年3月16日に行われた第73期名人戦・順位戦A級プレーオフは、行方尚史八段が久保利明九段に勝利

これで、23年ぶりとなった4人でのプレーオフを行方八段が制し、名人への挑戦権を獲得しました。

この対局は、ニコニコ生放送で中継されていたのですが、23年前に行われた4人プレーオフを勝ち上がり名人へ挑戦した高橋道雄九段が解説を担当されていました。

頭金まで指された真相

この日の2日前には、将棋電王戦FINAL第1局が行われました。そこで話題となったのが、コンピュータソフト・Aperyが敗勢になっても投了せず、20手以上の王手ラッシュをかけ、最後は一手詰めまで指した件。いわゆる「頭金まで指す」という行為でプロ棋士はしてはいけないとされています。詳しくは以下の記事を御覧ください。

片上大輔理事、王手ラッシュは「不快ではない」

そして偶然にも23年前のプレーオフでは、高橋道雄九段と対局した大山康晴十五世名人が一手詰みまで指して投了したということがありました。これにはどういう理由があったのか。真相は大山名人自身でないとわかりませんが、対局相手だった高橋九段の口から、ほとんどその真相に近いお話が聞けました。

皆さんの想像と違う

視聴者からのメールで、上記件について「大山名人は、年齢や体調も考えると最後の名人挑戦のチャンスで、(一手詰めとなった対局は)魂がこもった棋譜だと思っている。対局者の高橋九段はどう思うか?」という質問が寄せられました。

23年前のプレーオフは、1992年の2月に行われたのですが、大山名人は同年の7月に亡くなっています。

視聴者からの質問に対して高橋九段は、「大山名人はその後他の対局もされたが、たぶん一番気持ちを込めて指されたのがあの対局だった。その場に立ち会えたのはいい思い出」と前置きした上で、「一手詰み」の件については「今まで聞かれたことがない。取材すればよかったのに。(記者の)皆さんが、想像して書かれているが、ちょっと違うといつも思っている。だから今日はすごくいい機会」と述べました。

何手か前でうっかり

高橋九段はその真相について「大山先生は、ちょっとあの詰め方をうっかりされていた」のだと発言。そしてその根拠として「(対局中に大山名人が)小さな声で『あ、そっか』と言われましたので」と述べました。

ただ、一手詰みの場面でのうっかりではなく、何手か前でうっかりしており、そのうっかりした状態で予定通りに進めたところ一手詰みになった、ということらしいです。これが高橋九段の対局者としての見解。

つまり、最後の名人へのチャンスでどうしても負けられなくて一手詰みまで指したのではなく、うっかりだった、というのが真相のようです。

ちゃんと聞いてほしい

一手詰みまで指すというのはプロの世界では大変めずらしいこと。

この真相を話した高橋九段は「(当時の記者が)聞いてくれないと。ちゃんとしたことが後に伝わらないから。違うことが伝わると困っちゃう」とも話されていました。

真相を話してよほどスッキリしたのか、高橋九段は翌日のブログ

今まで、あの時のプレーオフについて、取材された事が
なく、その中でも特に、対大山15世名人との対戦は、
以前から、自分の口で話したいとの希望を強く持ってました。

と言及しています。

貴重なお話でした。高橋九段、23年越しで真相をお話いただきまして、ありがとうございました。

将棋ワンストップをご覧いただきありがとうございます。ぜひシェアをお願いします

記事の追記や更新の通知はツイッターで行います。フォローをよろしくお願いします!

スポンサーリンク

コメント

  1. 匿名 より:

    そのようなエピソードがあったとは知らなかったです
    管理人さん、いつもまとめてくださってありがとう

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。
      また、いつもご覧いただているようでありがとうございます。

      そうですね、高橋九段のブログにも貴重な話の内容までは書かれていないため、
      私自身も記事にしたいと思ったエピソードでした。

      まだサイト開設から2ヶ月ぐらいですが、コメントいただきまして嬉しいです。
      今後ともご期待に添えるよう運営してまいりますので、よろしくお願いします。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。