高橋道雄九段の二歩、職員が止めなければ投了優先の原則が適用された可能性

2015年2月13日(※)に対局が行われ、同5月7日に放送された第23期銀河戦本戦Fブロック8回戦(▲高橋道雄九段VS△安用寺孝功六段)で、高橋道雄九段が二歩を打った件について、高橋九段自身が2015年5月7日のブログで懺悔しています。

※ブログ本文には3月13日とありますが、銀河戦ホームページ、および同ブログのコメント欄で2月13日と訂正されています。

しかもこの二歩が誰にも指摘されずに、その後13手も進行したという事実も書かれています。

大先輩を前に萎縮してしまった対局相手の安用寺孝功六段の性格や、記録係の気持ち、そしてまったく二歩に気付かず読み上げていたという高浜愛子女流3級にも言及されており、面白いです。

二歩の局面

この対局の棋譜は銀河戦のホームページでご覧ください。

先手が高橋九段で、二歩の直前の局面が以下。後手が△7一銀と相手の成銀を取ったところ。

3九の底歩がいかにも怪しく存在します。先手が77手目に打った歩です。

kifu20150508-takahashi-94手

そして・・・!!

kifu20150508-takahashi-2fu

まさかの▲3五歩。やっぱりというか、二歩が発生するとしたら3筋ですね。

そしてこの後、反則を指摘されずに13手も進んだそうです。上記の高橋九段のブログに書いてある手順(B図)を再現すると、以下となります。

kifu20150508-takahashi-b

結構進んでますね。この局面(△8二金打まで)で手番は先手。

高橋九段のブログによれば、この局面で職員が対局室に「乱入」し、終局(高橋九段の反則負け)となったとのこと。職員とは、将棋連盟の職員だと思います。

そのまま指し進めたら?

高橋九段はブログで、この対局について懺悔しつつも、以下のように述べています。

出来たら最後まで指したかったなー。
最後にはどちらの玉が詰まされる事になるのか、
見極めたかったです

なるほど。高橋九段ならではのお言葉かもしれませんね。

私も確かに気になりました。しかし私の棋力ではどちらが詰むのかわかりません。

そこで我が家のAperyさん(電王戦FINALよりかなり弱いけど)にお願いして、検討してみました。

検討結果

検討にあたり、3九の歩は、後手の持ち駒としました。というのも、二歩の状態ではコンピュータで検討できないからです。

で、いったん3九の歩を先手の持ち駒として検討させたところ、相当に先手良しと出た(評価値で1000点以上)だったので、後手の持ち駒にして検討させ、それでも先手良しなら、あの局面からは先手が後手玉を詰ませた可能性が高いと言えると思いました。

そして結果が以下のとおり。37手後に・・・

kifu20150508nifunoato37手

後手玉が詰んでます。あのまま指し進めれば、相当に先手・高橋九段が良かったようです。

投了優先の原則

ところで、将棋には、反則より投了のほうが優先するという原則があります。反則を指摘されず投了に至った場合、投了が優先されるというものです。

日本将棋連盟の対局規定には以下の文が。

1. 対局中に反則を犯した対局者は即負けとなる。
2. 両対局者が反則に気がつかずに対局を続行し、終局前に反則行為が確認された場合には、
  反則が行われた時点に戻して反則負けが成立する。
4. 終局後は反則行為の有無にかかわらず、投了時の勝敗が優先する(投了の優先)。

もし、上記のAperyで検討したように進行し、万が一、安用寺六段が投了していたら・・・。

後味は悪いですが、高橋九段の勝利となった可能性もあります。そうなると、二歩を指摘されずに投了に至り、しかもそれが映像に残るという歴史的な出来事になっていたかもしれません。

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