清水市代女流、NHK杯の挨拶で新手「個性あふれる読みと技の数々をお楽しみ下さい」。その意図は

日曜のひとときに放送される、NHK杯テレビ将棋トーナメント。

この棋戦の見どころの一つは、司会・聞き手をつとめる清水市代女流六段の番組冒頭の挨拶だと思います。あの規則的な挨拶です。

2015年7月5日の1回戦第14局、▲八代弥五段VS△村山慈明七段の対局では、この挨拶に新手が現れましたのでご紹介します。

挨拶の規則性

まず、予備知識です。

熱心な清水市代女流ファンであればご存知だと思いますが、この挨拶には規則性があります。

詳しくは当サイトが過去に研究し掲載した記事をご覧ください。

NHK杯の清水市代女流の冒頭挨拶をパターン化

記事の中から規則性の部分を抜粋します。

1「みなさまこんにちは」・・・みなさま

2-a「ごきげんいかがでしょうか」・・・ゴキゲン
2-b「いかがお過ごしでしょうか」・・・お過ごし

3「司会の清水市代です」・・・司会清水

4「日曜のひととき」・・・日曜

5-a「究極の」・・・究極
5-b「研ぎ澄まされた」・・・研ぎ
5-c「選び抜かれた」・・・選び
5-d「(なし)」・・・(なし)

6-a「好手妙手の数々を」・・・好手妙手
6-b「読みと技の数々を」・・・読みと技

7「お楽しみ下さい」・・・お楽しみ

この1から7によって挨拶が構成されています。

当時12回分を調査し、さらにその後10回はこの規則性にしたがって挨拶されているのを確認しています。

ところが。

新手

7月5日の冒頭の挨拶のセリフは以下でした。

「みなさまこんにちは、ごきげんいかがでしょうか。司会の清水市代です。日曜のひととき、個性あふれる読みと技の数々をお楽しみ下さい」

お気づきでしょうか。

上記の規則5番のa~dのいずれでもない「個性あふれる」が出ました。

驚きました。日本中の将棋ファンに衝撃が走ったと思います。法則を以下のように更新します。

1「みなさまこんにちは」・・・みなさま

2-a「ごきげんいかがでしょうか」・・・ゴキゲン
2-b「いかがお過ごしでしょうか」・・・お過ごし

3「司会の清水市代です」・・・司会清水

4「日曜のひととき」・・・日曜

5-a「究極の」・・・究極
5-b「研ぎ澄まされた」・・・研ぎ
5-c「選び抜かれた」・・・選び
5-d「(なし)」・・・(なし)
5-e「個性あふれる」・・・個性

6-a「好手妙手の数々を」・・・好手妙手
6-b「読みと技の数々を」・・・読みと技

7「お楽しみ下さい」・・・お楽しみ

「みなさま・ゴキゲン・司会清水・日曜・個性・読みと技・お楽しみ」という新パターンが成立しました。

それにしても、なぜこのタイミングで新手が出たのか。それほどまでに個性を溢れさせたかったのか。

キーワードは個性

清水女流が述べた「個性」という言葉。

これには特別な意味があるように思いました。

例えば、清水女流は先月、女流棋士会長に就任していますが、女流棋士会ウェブサイト上で発表された就任挨拶の言葉には以下のようにあります。

個性あふれる女流棋士が、それぞれの経験、得意を生かした活動を日々積み上げ、応援して下さる皆様のお声が何よりの励みとなり・・・

さらに、就任後に更新された同サイトの女流棋士会会長メッセージには以下のようにあります。

これからも切磋琢磨しながら、ひとりひとりの個性、経験、得意を最大限に発揮し、大きな目標に向かってより一層精進して参りたいと存じます。

まさにキーワードは「個性」。(ついでに「経験」「得意」もですが)

棋界全体のキーワードに

ところで、この「個性」という言葉は最近、別の所でも耳にしました。

新しい電王戦およびドワンゴ主催の新棋戦(後に「叡王戦」と命名される)の記者発表会の場です。

この場で谷川浩司日本将棋連盟会長は、新棋戦が全プロ棋士に参加資格のある棋戦であり、予選からニコニコ生放送で中継されることに触れ「個性的で魅力的な棋士がいることを知ってほしい」と述べていました。

この谷川会長の希望は、叶いつつあると思います。

叡王戦は今のところ、南芳一九段のじっと地蔵のように動かない姿田中寅彦九段のソフトを巧みに使った解説田中魁秀九段の自由過ぎる駒並べ北島忠雄七段のスパーク解説など、棋士の個性が全面に出た見どころたっぷりの棋戦として評価を得ているようです。

再現できない魅力

それに、どうしても棋士と比較されるのがコンピュータ将棋ソフトの実力。

近年のソフトは、プロ棋士の棋譜から機械学習する手法が浸透し棋力はプロ棋士と拮抗しています。しかし、さすがに人間独特の個性(盤上の個性ではなく)は出せないと思います。地蔵のように動かない姿とか、どうやってもその魅力は再現できないと思います。

そういうわけで、これからの棋界のキーワードは「個性」。

清水女流はまず「個性あふれる読みと技の数々を(盤上だけでなく盤外も)お楽しみ下さい」という挨拶で、先陣を切ったのだと思います。

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コメント

  1. ひろ より:

    この新手は気になってました。
    井上九段の後手74歩なみに「!?」となりました。
    今後も新手があらわれるのか、興味深いところです。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      やっぱりこういうマニアックなところでも気になるものですよね。
      7四歩は驚きました。解説によるとたまにあるそうですが。
      今回は7節のうち1節だけの変更でしたが、もっと大胆な新手が現れるかもしれませんね。コメントありがとうございます。

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