NHK杯テレビ将棋トーナメントvs叡王戦。対局ルール、解説、視聴環境などを比較する

2015年6月20日に第1期叡王戦が開幕し、ニコニコ生放送による中継も現在(6月27日)までに2回行われました。

第1期「叡王戦」が開幕

これがなかなか斬新な棋戦で、好みの問題はあるかもしれませんが、まだ視聴されていない方も1回はご覧になったら良いかなと思い、今一度ご紹介します。

ただ紹介するのも面白くないと思いますので、おそらく一般の方に最も馴染み深いであろう、地上波で唯一放送されている棋戦・NHK杯テレビ将棋トーナメントと比較してご紹介したいと思います。

逆に叡王戦や電王戦を観ていて、NHK杯テレビ将棋トーナメントをご覧になったことがない方もいらっしゃると思いますので、そういう方にもお役に立てれば幸いです。

主催者、賞金、出場資格など

まず基本的なデータの比較です。

NHK杯 叡王戦
主催 NHK ドワンゴ
優勝者の称号 NHK杯選手権者 叡王
優勝したら 来期1年間、番組オープニングVTRに登場し初手を指す。 ベスト4以上は来期シード 優勝者は「電王戦」でコンピュータソフトと2番勝負を行う。 来期シードされるかは未定
優勝賞金 不明。囲碁のNHK杯が500万円と公表されている。同額か 非公開。田丸昇九段のブログによれば

決勝3番勝負と電王戦の2番勝負の棋士の賞金は、いずれもタイトル戦の賞金と同じぐらい

出場棋士 シード以外の全棋士が参加する予選の通過者が本戦へ。タイトル保持者、順位戦B級1組以上などは本戦にシードされている。本戦出場はあわせて49人 エントリー制。全棋士が段位別予選にエントリーでき、16人が本戦に進む
女流棋士枠 1名 第1期はなし。来期は未定
アマチュア枠 なし 同上

下衆な話ですが、叡王戦の賞金が気になりますね。「タイトル戦と同じぐらい」といっても、最高額である竜王戦の4000万円超から下は数百万と幅広いです。ただ、それが叡王戦分と電王戦の分と2回あって、しかも対局数はタイトル戦の7番勝負や5番勝負より少ないですから1局あたりの賞金は大きそう。

叡王戦はエントリー制(任意参加)が採用されています。NHK杯は全棋士参加。

また、NHK杯戦はテレビ中継される「本戦」に出場する男性棋士49人のうち、予選から勝ち上がる枠は3分の1程度(2015年度は49人中18人)であるため、まだ実績のない若手にとっては厳しそうです。

一方、叡王戦はシードのない段位別予選であるため若手にもチャンスが多そうです(ただし第2期以降の方式はわからない)。しかも予選の一部は生中継されるため、普段見ることができない色々な棋士の姿を拝見できると思います。

対局ルールなど

対局ルールなどです。

NHK杯 叡王戦
持ち時間 チェスクロックで10分。使い切ると秒読み1手30秒。また、1分単位で10回の考慮時間がある チェスクロックで1時間。使い切ると秒読み1手60秒。 ただし決勝はそれぞれ5時間、60秒となる
場所 予選は東京と関西の将棋会館。本戦はNHKのスタジオ 予選はおそらく東京と関西の将棋会館。本戦は不明ですがおそらくカメラの関係で東京・将棋会館。決勝は不明
記録係・棋譜読み上げ 主に奨励会員が記録、女流棋士が棋譜読み上げをする 奨励会員が記録。棋譜読み上げはなし

持ち時間は叡王戦の方が長いです。秒読みもNHK杯は30秒なのに対して叡王戦は1分。これが結構大きいような気がします。

また、叡王戦は棋譜読み上げがいらっしゃいません。棋譜を読み上げる女流棋士を見て癒やされる。これができるのはNHK杯だけ。

解説

私(管理人)のような棋力の低い者にとっては、解説は非常に重要です。

NHK杯 叡王戦
司会・聞き手 女流棋士。1名固定 女流棋士。毎回異なる
解説者 男性棋士 男性棋士
解説方法 大盤 電王盤

ポイントは2つ。まず司会・聞き手の女流棋士はNHK杯の場合は固定されていること(何年か毎に交代)。現在の司会は清水市代女流六段です。一方、叡王戦は放送毎にいろいろな女流棋士が聞き手をされるようです。

また、NHK杯は昔ながらの大盤での解説ですが、叡王戦はタブレット型の電王盤という装置で解説が行われます。詳しくは以下の記事に書いてありますが、コンピュータソフトによる評価値や読み筋が示されたり、盤操作(特に元の局面に戻す時)が素早いです。

第1期「叡王戦」が開幕

叡王戦はニコニコ生放送で中継されるので、解説者はユーザーのコメントを拾って読み筋を示してくれます。電王盤を使うことで盤操作が早くなり、これまでの棋戦より多くの読み筋が示されていると思います。これは叡王戦の大きな特徴。

視聴環境

視聴環境も大きく異なります。

NHK杯 叡王戦
放送媒体 地上波テレビ放送 ニコニコ生放送
録画or生 録画 生放送
料金 無料。というか一応NHKの料金ですか 無料。いろいろ便利なプレミアム会員は1ヶ月540円など
放送時間 1局1時間半に収まるように編集される 対局開始から終局、感想戦までの生中継なので時間は不定。感想戦まで含めると3時間以上か。1日2~3局中継
放送時刻 日曜午前 不定?午前からもあります。最も遅い対局は午後7時開始

叡王戦はニコニコ生放送。最近はテレビを持っていない若者もいると聞きますし、お出かけ先でも視聴できるのはいいです。完全生放送ですし、タイムシフト機能があるので便利です。画質も十分で、ストレスなく試聴できます。

でもやっぱり地デジ画質には敵いません。棋士、女流棋士のクッキリとした姿はNHK杯ならではです。

もう一つの違いは放送時間。NHK杯は1時間半できっちり終わります。これが良いか悪いかはお好みです。あとテレビだと録画機器によっては、1.5倍速とかで再生できるので、お時間に余裕がない方は便利です。

ニコ生は放送時間がきっちり決められていないです。対局によっては長引きます。1.5倍速での再生は、やろうと思えばできるのだと思いますが普通は難しいです。

感想戦など

このあたりは、両者の違いが大きいです。

NHK杯 叡王戦
棋譜 NHK杯ホームページで公開 叡王戦ホームページで公開
詳しい解説 NHK将棋講座テキストで 一部は日本将棋連盟モバイルの中継アプリで閲覧できる
感想戦 放送時間が余ったら、短時間の感想戦が放送される。放送されない場合もある 感想戦終了まで中継される
対局者インタビュー 対局前にある その日の全ての対局終了後に、その日行われた山(トーナメントのひとかたまり)を制した棋士のインタビューがあるようだ

NHK杯では、感想戦が放送されない時もありますし、あったとしても数分、十数分程度です。叡王戦では感想戦が最後まで放送されます。

インタビューは、NHK杯は対局前、叡王戦は対局後(その山の勝ちあがり者のみ)に行われます。

開幕局の山を制し本戦出場を決めた森内俊之九段は、終局後のインタビューで「コンピュータとも指してみたい」と意気込みを語っています。

叡王戦、本戦入り第1号の森内俊之九段が「コンピュータとも指してみたい」と抱負

ただ、叡王戦はまだスタッフが不慣れなようで、終局後のインタビューが雑ことがありました(豊島将之七段の時)。インタビュー担当のスタッフが感想を聞きたい局面を対局者に正確に伝えられなかったり、勝利者インタビューが始まろうとしている時に解説者が対局場に入ってきて中断したりと。まだ試行錯誤のように見えますが、今後改善され定型化していくものと思われます。

まとめ

NHK杯戦は完成度が高く、洗練されている印象があります。その分、新鮮さはないかもしれませんが、忙しい人が短時間で一定の品質の中継を視聴するというスタイルにはいいと思います。

叡王戦は、まだその全貌が明らかになっていない点もあり、上記のインタビューのように不慣れなこともあります。なんでもそうですが、新たな試みを始めるときのグダグダな感じが、逆に好きだという人もいるかもしれません。これから棋戦がどうなっていくのかという期待感もあります。それに視聴者の満足度はものすごく高いようです(2回の放送いずれもアンケート「とても良かった」+「まぁまぁ良かった」の合計が98%を超えている)。

まだNHK杯しか見たことがない、という方はぜひ叡王戦もご覧になると良いかと思います。その逆もまたしかりです。

簡単ではありますが、両棋戦の比較でした。皆様の将棋ライフのご参考に。

以上、ありがとうございました。

将棋ワンストップをご覧いただきありがとうございます。ぜひシェアをお願いします

記事の追記や更新の通知はツイッターで行います。フォローをよろしくお願いします!

スポンサーリンク

コメント

  1. あなあき より:

    週一回2時間程度じゃないと、将棋を観るのはしんどくなったwww

  2. のじ より:

    個人的に叡王戦は予選から中継があるというのが一番の違いだと思います。
    本戦から中継の様式、インタビューなどどうなるか分かりませんがしっかり改善できるところを改善していけば素晴らしいオンリーワンな棋戦になりそうですね。

    あと個人的に解説者、聞き手が電王盤に慣れるまでと慣れた後で視聴していておもしろさが違うので初めて解説や聞き手に来られる方にはしっかり準備してもらえる体制を作って欲しいと思ってしまいます^^;

  3. 管理人 管理人 より:

    あなあき様:
    コメントありがとうございます。
    まああまり多くの対局を見るのはしんどくなる気持ちはわかります。
    私はいつも、何かしながら見てるのでそうでもないのですが。

    のじ様:
    コメントありがとうございます。
    そうですね、どの程度の対局数が放送されるのか、大雑把な数字しか発表されていないですが、NHK杯を超える規模になりそうですね。しかも予選1回戦から放送というのは画期的。

    電王盤の慣れは重要ですね。解説聞き手は新しいスキルが必要ですし、電王盤の方も改良点がありそうです。

    あと高橋道雄九段のブログには、自分が対局する時に朝10時からと夜7時からの2局だと、その間の時間が空いてしまうので午後2時の対局の解説をしたい、みたいなことが書かれていました。しんどそうですけど。

    そういう運営上の改善点もまだまだあるでしょうね。

    皆様コメントありがとうございます。

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。