「ものの歩」第7話。2モリシタの新キャラ登場。信歩は13手詰を読む

週刊少年ジャンプの漫画「ものの歩」が第7話を迎えました。いろいろあって遅くなりましたが今週も週刊少年ジャンプを読みました。

前回までのあらすじは以下の記事を御覧ください。

「ものの歩」第6話。香月の「なめんな僕がやる」発言で一つの区切りを迎えました。これまでのまとめです

まず、以下の局面図をご紹介します。今回の話で現れた局面です。

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盤面下が後手、上が先手となっていますのでご注意下さい。手番は後手。先手玉(右上の玉ですね)に詰みがあります。13手詰。無茶苦茶難しい筋が出てくるというわけではありません。初心者の方でも1週間ぐらい考えればわかると思います。おそらく。

なお、今回は私(管理人)の感想を書くのは控えまして、あらすじとポイントだけご紹介します。

あらすじ

ついに信歩は初めての大会に出場する。

それを密かに見守るシェアハウスのメンバー(桂司、みなと、香月)。桂司はニヤニヤ、みなとはやや冷たい表情で、そして香月は自分のマフラー(ストール?)をギュッと握って見守る。

大会にはいろんな人が参加している。

高校生のプロゲーマーだという相楽十歩(さがら じっぽ。Jippoと呼ばれている)は、信歩に「俺も将棋始めて1ヶ月のチュートリアル中なんだ」と話しかけて去っていく。相楽は、「人気のゲームでは敵なしになった」として「逆に一周して将棋に挑戦」するらしい。全国のみんなに大会の様子を生配信するようだ。放送は「ワクワク生放送」でタイトルは「将棋初心者が聖地の将棋大会荒らしてみる」。相楽は実力もあるようで、この大会では優勝候補のおっさんを破った。

信歩の1回戦の相手は、将棋漫画としては定跡のような雑魚キャラクターだった。以下、定跡くんと呼ぶ。

定跡くんは、いやらしい目つきで眼鏡をかけている。信歩が初心者だと知って、自分が先手にもかかわらず対局時計を自分の利き手側に置く。対局中は信歩に挑発的な言葉を投げかけてくる。弱い者を倒して悔しがらせるのが楽しみのようだ。

定跡くんの初手は▲1六歩。

主流の定跡を外した手だ。敵キャラが初手合いの主人公を相手に主流の定跡を外した手を指してくるのは、将棋漫画としては定跡だと思います。

迎えた終盤戦、定跡くんは自分の勝利を確信するが、信歩は冒頭の13手詰を読み切って勝利。定跡くんは悔しくて悔しくてみっともない投了をする。まさに定跡通りの雑魚キャラである。

信歩は定跡を外されて焦ったが、途中で冷静になり勝利を引き寄せた。学校の勉強では報われなかったが、将棋の勉強は報われたようだ。

2モリシタ

高校生プロゲーマーの相楽十歩は、わかりやすい憎まれ役だと思います。噛ませ犬的展開が予想されますが、どうなるか。

ただ、生まれながらにして2モリシタを持っているというのは将棋の才能があるかもしれません。

駒得は裏切らない

ご存じない方に説明します。森下卓九段の名言に「駒得は裏切らない」があります。「駒得」は、相手より自分の方が価値の高い駒を得る行為、またはその状態のこと。

もちろん将棋においては駒得も重要ですが、他にも玉形(自分の玉が攻められにくい陣形であること)や駒の効率(それぞれの駒が攻撃や守備に役割を果たしていること)なども重要です。

「駒得は裏切らない」とはつまり、森下九段は他の棋士よりも駒得を重要視するということですね。また森下九段は歩を得する「歩得」も重要視します。

5歩で1モリシタ

よく森下九段がおっしゃるのは、相手の歩を1枚取った時を考えると「自分の歩が1枚増え、相手の歩が1枚減るのだから2歩の差ができることになる。2歩取ったら4歩の差」という論理。チェスであれば単に「1つポーンを取ればポーン1つ分の差、2つ取れば2つ差」というだけなのに比べ、将棋の「持ち駒再使用」ルールでは駒得・歩得はそれほどに差が大きくなるということです。

駒得を重視するということは、駒台が充実する傾向にあるということです。将棋界においては、駒台に歩を5枚集めることを「1モリシタ」(1森下)と呼ぶことがあります。

つまり、相楽十歩は生まれながらにして2モリシタということですね。

終盤力

信歩の強みは終盤力なのですが、今回は13手詰を発見して勝利しています。

冒頭の局面を再掲します。先手玉の詰みを発見できるでしょうか。(先手が上です、後手の信歩が下です)

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いかがでしょうか。終局図がこちらです。

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ここから先手が▲5七玉と逃げても、△6七銀成として詰みです。

13手詰の答えは、△6七銀成 ▲同玉 △6六香 ▲5八玉 △5七歩 ▲4九玉 △5八銀 ▲3九玉 △2八金 ▲4八玉 △5六桂 ▲5七玉 △6七銀成。

途中、△5七歩に▲同玉なら△4五桂から詰みです。

まとめ

第7話は、努力を重ねた信歩が将棋大会で勝利する、それを見守るシェアハウスメンバー、という構図が描かれていました。

最近知ったのですが、週刊少年ジャンプのキーワード(テーマ)は「友情」「努力」「勝利」らしいです。今回の話にすべて描かれていますね。以前の記事でも書きましたが、私が中高生時代に好きだった本のジャンルベスト3は1位ミステリー、2位ミステリー、3位ミステリーということで、爽やかな友情や努力や勝利とは程遠い趣味の持ち主なので、今回の話の感想は控えたいと思います。

1つだけ、将棋視点で言うと、局面図は今回ご紹介したようにしっかりとされている感じが致します。監修は橋本崇載八段だということで、さすがです。

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コメント

  1. 匿名 より:

    質問があるのですが、今回の話で銀が成ったあとに相手の王が取ったのは何故なんですか?自分は駒の動かし方知ってるくらいで定跡も知らないんですが最初に読んだ時に、盤面の右下に逃げきられるんじゃないのかな?と思って読み進めたら今回の形で終わってビックリしました。
    銀を取った後の詰み筋までは分かったのですが取らないパターンの詰み筋が今日まで分からず、将棋知ってる友達にも聞いても自分と同じような知識と実力なので誰も分かりませんでした。今回の号を読んだ人がネットで解説していないか調べたら此方で解説されており、他に解説してる所が無かったので質問させていただきました。お時間ある時にでも答えてもらえましたら嬉しいですm(__)m

  2. takodori より:

    >匿名さん
    符号はおわかりになりますか?6七銀成と成ったあと大学生が取らない手としては (1)8九玉(玉が銀の下に落ちる)と (2) 8七玉(玉が銀の上に逃げる)の2通りの逃げ方がありますが、いずれもマンガの手順よりも短い手順で詰みになります。以下を参照ください。

    (1) の場合
    7八金(大学生の銀の横に持ち駒の金を打ちます。) 9八玉(仕方なく香車の頭に逃げます)8八金(打った金で玉の横の銀を取ります) 同玉(とる一手です) 7七角成(角で桂馬を成りながら取ります。成銀が利いているので大学生の玉では取れません)ここから、(a) 9八玉 8七銀 8九玉 8八馬で詰みか (b) 8九玉 7八成銀 9八玉 8八馬 までで詰みます。

    (2) の場合
    7七角成 (桂馬を取ります。成り銀でなく、角でいくのが大学生の銀の利きを8七に利かないようにする妙手です。) この手に対し (a) 同銀 (b) 9八玉 (c) 9六玉 の3通りの応手があります。一番簡単な (c) ルートを先に説明します。
    (c)ルートは 9六玉に対し9五金(頭金)で詰みです。
    (a)ルートは 7八銀 (持ち駒の銀を打ちます)9八玉(もしくは8八玉) 8七金(持ち駒の金を打ちます)で詰み。9八玉のところ9六玉と上に逃げても、(c)ルートのときと同じく玉の頭に金を打って詰みです。
    (b)ルートは、8七銀 (持ち駒の銀を捨てて8八銀で取らせて8八に空間をつくります) 同銀 8八金 (捨て駒を取らせることでできた空間に持ち駒の金を打ちます)で詰み、となります。

    信夫が指した6七銀成はこの枝分かれの全部の手順を読んだ妙手だったということですね。これが全部読めているのですから、彼は詰将棋だけならアマチュアの三段以上の実力は既にあると思いました(序盤・中盤の実力はまだまだですが)。

  3. 匿名 より:

    丁寧な解説ありがとうございます!おかげでスッキリ出来ました!
    これ全部読んだ信夫はホントに凄いですね。
    自分なんて詰めが兎に角苦手なものですから、友達や田舎の親戚の人と指す時は玉の逃げ道だけ確保してひたすら駒を取って物量で押しきるだけですから羨ましいです。
    明日、早速友達に報告してきます。改めてありがとうございした!

  4. 管理人 管理人 より:

    管理人です。

    takodori様:
    とても丁寧で詳細な説明ありがとうございました。

    信夫(本当は信歩ですがこの際名前はどうでもいいとして)の終盤は推定アマ三段以上ですか。この13手詰めが実戦で発見できたらさぞ気持ちいいものとおもいます。私はあの13手詰めに至るまでにかなり時間がかかりました。

    成銀を取った場合は最大9手詰ですね。

    匿名様:
    コメントありがとうございます。takodori様の回答でお分かりになったということで、良かったです。
    成銀を取らないルートのほうが短手数(最大9手)ですが、もしかしたら金銀や馬を立て続けに捨てる必要があるので人によっては難しかったかもしれません。

    あと、将棋をそれほど詳しくない方でも、あの盤面を見て詰みを考える方がいらっしゃったということがわかって良かったです。

    皆様コメントありがとうございます。

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