「ものの歩」第24話。岬が泥臭く粘り入玉目前に。詰みはあるのか

週刊少年ジャンプの漫画「ものの歩」の第24話です。

日本経済新聞に「ものの歩」の制作過程について掲載されていました。

静の中の動 熱き将棋描く ネットで増すファン 映画・漫画が放つ一手 :日本経済新聞

「ものの歩」の場合、作者の池沢氏が決めたその回の大まかなストーリーを、橋本八段が確認。「ここで主人公が逆転の一手を放つ」といった状況に合わせ、適切な棋譜や図面を橋本八段が用意するという流れで制作されている。

想像するだけで大変なお仕事だとわかります。作者の池沢さん、棋譜監修の橋本崇載八段、毎週お疲れ様です。

前回のあらすじは以下の記事で。

「ものの歩」第23話。岬が投了を考える必要はあったのか

第1回から前回までのあらすじは以下の記事。

将棋漫画「ものの歩」これまでのあらすじ

信歩vs岬戦はいよいよ終盤戦に突入です。

あらすじ

美学を捨てて醜く粘ることを選んだ岬。

20160229-34手

(前回の最後の局面。後手の信歩から見た図。前回の記事では△1四玉と逃げるのではないかと書きましたが、実際は△3三玉と逃げました)

20160307-35手

ここから信歩が岬玉に迫る。岬玉は上へ上へと(敵陣方向へ)進み粘る。将棋では上部に玉を逃すと詰ましにくくなる。必死の粘りを魅せる岬。

士は「泥臭い・・・岬さん・・・そういうの一番嫌いだったじゃないですか」と思いつつ、部員に棋譜を取ることを指示する。

信歩はこの3ヶ月を振り返る。「矢倉二万局。詰将棋・・・数えてない。自分の努力を信じてみよう」。

岬はわずかな可能性にかけて粘る。「醜い僕を蔑むなら蔑んでくれ」と思う。

その時。信歩が岬を見つめる。「楽しいですね」と言っているかのような、真剣ながらも楽しげな顔。あの独特の信歩の表情。

それを見た岬は「え?」と戸惑うが、その瞬間に彼の背中から鳥の羽根のようなものが飛び散る。岬は立ち上がり、泥に汚れた顔で、汚れた自分の手を見つめる。泥にまみれた自分の将棋。信歩の楽しげな顔は「それこそが美しい」と掬いあげてくれるようだった。

20160307-1手
(手番は先手の岬)

岬は再び着席し、「終局だ。最後までお願いするよ」と思う。

詰むのか

今回の最後の局面を再掲します。

20160307-1手

これは先手玉に王手がかかっています。▲5五玉や▲5三玉、▲6三玉と逃げると即詰みがあります。

ここは▲4三馬と取って、△同金 ▲同玉までは進みそうです。

20160307-3手

先手番なら後手の信歩玉は簡単に詰み。かといって受けるのは難しそう。

後手としては先手玉を即詰みに討ち取るか、王手をしつつ自玉を安全にする攻防手を指す必要がありそうです。とはいえ詰みがあれば明快に勝ちですし、信歩としては「詰将棋・・・数えてない」ぐらい一生懸命詰将棋をやってきたということで、詰ましにいくと思います。

局面を再掲。さて先手玉に詰みはあるでしょうか? 持ち駒は桂馬1枚、金2枚、角1枚、飛車2枚と豊富なのでなんとでもなりそうな気がしています。

20160307-3手

△5一桂から入るのが良さそうです。

20160307-4手

あとは飛車2枚と角金で右下の方に追い詰めていく方針で、トドメに金を1枚残しておけば。手数は長いですが、信歩なら詰ますことができそうです。

矢倉2万局

3ヶ月間で矢倉を2万局指したという信歩。

計算してみると、1日200局ぐらい指したことになります。1日あたり20時間活動したとしても1時間で10局。

大変な量です。

詰将棋・・・数えてない

逆に詰将棋を解いた数を数えている人っているのかなと思いましたが、意外といらっしゃるかもしれません。

平成27年度版将棋年鑑のアンケートによると、渡辺明竜王は月に50題くらい、谷川浩司九段や加藤一二三九段は1年で500題以上、佐藤康光九段は1年で1200題くらい詰将棋を解いているようです。

ただ、今最も勢いのある佐藤天彦八段は「数えるのは難しいです」、糸谷哲郎八段は「数えていません」と回答。

羽生善治名人、郷田真隆王将、この漫画の監修の橋本崇載八段などは未回答になっています。

なお信歩は、第3話で浦野真彦八段の名著「3手詰ハンドブック」を読んでいます。200問収録されていて1200円(税別)。1問6円です。

どこまで指すか

岬玉に詰みがあり、信歩ならその詰みを発見するのは難しくないという状況。

今後の注目は、岬がどこまで指すかということになると思います。

美学を捨てた岬。アマチュアはどうかわかりませんが、プロの将棋では勝敗がわかりきっている状況で「詰みまで指す」ということはめったにありません。よきところで投了するものだと思います。

自分の詰みがわかりきっているのに指し続けるということは、相手の棋力を低く見て凡ミスを期待していることになるとか、後々まで残る棋譜を汚す行為だとされているためですね。ただ、信歩vs岬は「切れ負け」で指されているので、岬は相手の時間切れを期待して指し続けるかもしれません。以前の信歩vs十歩の戦いでは信歩が時間切れで敗れていますので、再びそのような結末は考えにくいですが。

追記:
よく考えたら「切れ負け」でしたっけ。都大会のルールをパッと思い出せないため、思い出したらまた追記致します。

追記2:
普通の高校生の大会だと持ち時間20分秒読み30秒が一般的だそうです。申し訳ありません。

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コメント

  1. 駒柱 より:

    粘って指すのはそんなに見苦しいですかね。
    昨日の天彦、カッコ悪かった?

    • 管理人 管理人 より:

      漫画の中では岬が「粘るのは醜い」と自分で言っています。それが彼の美学で、その美学に反した行動をしている自分のことを「醜い」「泥にまみれた」とまた自分で言っているんですね。この記事ではその言葉を使っています。

      醜いかどうかは彼自身の問題で、自分でそう思っているということです。

      私(管理人)は、この局面で粘るのは醜くもなんともないと思いますし、佐藤天彦八段の粘りも見応えがありました。

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