平成教育委員会2015秋は「将棋回」。升田幸三vsGHQ、成金、ひふみんアイなど将棋づくし。加藤一二三九段は大躍進

加藤一二三九段が出演したフジテレビ系「平成教育委員会2015秋」が、2015年9月21日に放送されました。

加藤九段はこの放送の前に、以下のツイートをしていました。

「将棋ファンは絶対にご覧になった方がよい」という強いメッセージ。

そして放送された内容は確かに、将棋ファンにとっては「観てよかった」と思うものでした。この記事では、その内容をご紹介したいと思います。

ちなみに、前回「平成教育委員会2015春」にも加藤一二三九段は出演されていましたが、成績は最下位でした。

加藤一二三九段、平成教育委員会2015春で序盤に好手を放つも最終結果は最下位に

しかし今回の加藤九段は違いました。

初手、成金

まず1時間目の「国語」は「語源問題」。その最初に、以下の例題が出題されました。

問題「急にお金持ちになった人を揶揄する表現 『成金』の語源となった競技は?」

これには加藤九段、嬉しそうな表情。司会のビートたけしさんは「加藤くんは(わかって)当たり前でしょう」と加藤九段を指名します。

加藤九段は「将棋です。歩が成って昇格するんです。歩が金になったら必ず勝てます。そら、すごいもんですよ」と熱弁。まだ喋りたそうでしたがアシスタントの高島彩さんが「ちょっと長くなりそうなのでVTRで」と止めました。

VTRでは、歩がと金になって働きが増える様子が丁寧に説明されました。奈良県橿原市の橿原考古学研究所附属博物館には、平安時代に作られた日本最古の将棋駒が所蔵されていて、その裏にも「金」の文字があり「これぞ日本最古の成金」との説明もありました。にわか金持ちの意味で広まったのは江戸時代後期だとのことです。

高飛車

加藤九段はVTRの後、将棋から生まれた別の言葉として「高飛車」を紹介しました。高島さんが「高飛車というのは飛車がどういう状態?」と質問すると、加藤九段は「例えばね、えーっとまあ」と言いながら手をパチンと打ち「盤面の中段にいる飛車のことを高飛車というんですよ。だからまあ、んーと、高飛車は避けましょうとなってます、リスクが高い」と、説明してくれました。

たけしさんはこの説明を受け「NHK将棋講座でした」と一礼し、話を締めました。

加藤九段が将棋のことを説明をして、たけしさんが「NHK将棋講座でした」と話を締めるという流れは、この後番組を通して何度も出てきてパターン化しました。

実技テストは苦手なひふみん

加藤九段にとって実技は苦手科目。

前回もバスケットボールの「ピボット」を実演するという問題で不正解でしたが、今回も「アヒルの影絵を実演せよ」という問題に対し、ジェスチャーでアヒルを実演(モノマネ?)していました。

スタジオの方々はその様子に爆笑でしたので、番組としては正解だったと思います。

給食をゲットするひふみん

給食問題では、加藤九段が活躍。4班による対抗戦で2位となりましたが、その2位を決定する回答をしたのが加藤九段。

タンギー爺さん」の画像を見て、誰が描いた絵であるかを当てる問題で見事に正解しました。

豪華な給食をゲットしたひふみん。

天才の発想

加藤九段の天才ぶりが発揮されたのが中盤の「工場見学」の問題。

問題「ハシゴ車(消防車)の製造過程で、職人たちが大きなハンマーでハシゴを叩いているが、これは何のためにやっていることでしょう?」

他の出演者が「ハシゴの強度を確認する」などという平凡な発想をするなか、加藤九段の答えは以下。

「オノの力強さをたしかめる」

ハシゴ車の製造に関する問題なのに、職人たちのハンマー(加藤九段は「オノ」と表現)に着目し、それを答えとして出すとは。逆転の発想すぎて衝撃でした。加藤九段は「火事の現場でガラスを壊す時のために、オノの強さを確かめておく必要がある」という趣旨の発言。たけしさんは「オノの方だったとは。気が付きませんでした。将棋的な発想だ。相手の攻め方を(見る)」と絶賛していました。

ちなみに答えは、ハシゴを少しだけ反らせておくため。これによってハシゴを伸ばした時にまっすぐになる(反らせておかないと、ハシゴ自体の重さで湾曲してしまうので、逆方向に反らせておく)ということでした。

加藤九段は本当に天才。

たけしさん、ひふみんアイをご存知だった

その直後の問題の出題中、たけしさんが加藤九段について「加藤くんは将棋の戦いの最中に、相手の方に回ったことがあるんですよ」と発言。

これは業界でいう「ひふみんアイ」。たけしさん、ひふみんアイをご存知だったとは。

加藤九段はこのたけしさんの言葉に、嬉しそうに「それで素晴らしい手を見つけて、わたくしは、王将になったんですよ。今では『ひふみんアイ』で通ってます。千載一遇のチャンスで、ここというときは、そういうことが起きますね」と説明していました。

たけしさんは「とういわけで、NHK将棋講座でした」と話を締めました。

GHQが将棋を禁止した理由

この番組最後の問題も、なんと将棋問題。

VTRで裸の男達が将棋をしている風景が映され「GHQ(連合国総司令部)が将棋を禁止しようとした」と説明がありました。

たけしさんは裸の男達を指して「GHQは『裸で将棋をしてはいけない』と言った」と冗談を述べましたが、加藤九段は冗談だと気付かずに「裸ではダメだと初めて聞きましたけども。将棋そのものは、私達の将棋連盟から(GHQに)説明に行って」と解説。

升田幸三先生の写真が映されると、加藤九段は「正式の称号は、実力制第四代名人升田幸三先生で、先生から聞いたのは、GHQに・・・」と解説。そこで高島さんが「あ、ちょっとちょっと」とストップ。

というのもこの最後の問題がまさにGHQと升田幸三先生のやり取りに関するものだったため。

問題「将棋を禁止しようと言い出したマッカーサーの側近、コートニー・ホイットニーが、当時人気実力ともに抜群だった升田幸三を呼び出し『チェスなどは相手から取った駒は使わない。日本の将棋だけが取った駒を自分のものとして使う。これは捕虜を虐げる、捕虜虐待の競技だ。人道に反する』として将棋の禁止を迫った。これを聞いた升田は、理路整然と反論し将棋の禁止を断念させた。升田は何と反論したのか」

すごい問題!!

升田幸三の後継者

出題中、高島さんから「加藤くんは升田幸三の後継者と言われている」と説明されると、加藤九段は真剣な表情で「わたくしが小学校6年生の頃に(当時の升田八段が)『この子、天才だ』と言ってくれたんです」と発言。それを聞いた出演者らから「へえええ。すげえ」という声があがると、加藤九段は嬉しそうに「(升田先生は)言うこともすべて個性豊かで。もし生きてらっしゃって、ここ(スタジオ)へ登場されたらものすごく盛り上がると思います。あはは」と笑っていました。

問題の答えは「将棋は常に全部の駒を(元の)役職で生かしている。これぞ本当の民主主義だ」というもの。

正解VTRでは、升田幸三先生に扮した役者さんが「取った駒を使わないことこそ捕虜虐殺。そこへいくと日本の将棋は、金は金、角は角という、元の役職のまま仕事をさせる。全部の駒が生きているんだ。これは能力を尊重し、働きを与えるという思想だ。これぞ本当の民主主義ではないか」と話していました。

この話は、将棋ファンの皆様は知っていたという方も多いのではないでしょうか。私(管理人)もなんとなくは知っていました。

番組の回答者16人のうち8人が正解(もちろん加藤九段含む)。けっこう認知されている話なんだと思いました。

5時間の熱弁

升田幸三先生はGHQ相手に5時間も熱弁ふるったそうです。

升田先生に扮した役者は「お前たちは一体日本をどうするつもりなんだ。生かすのか殺すのかはっきりしてくれ。生かすのなら、日本の将棋にならって、優秀な日本人の役立つ道を考えて欲しい」と述べ、最後にはホイットニーに扮した役者と和解の握手をしていました。

私はそれまでぼんやりと番組を観ていましたが、升田先生が当時の日本の支配者であるGHQにそのような発言をされたところを想像し、急に鳥肌が立ちました。

加藤九段は「役職の話はやっぱり素晴らしいですね。リアリティがありますよね。その通りですから、ええ」と話しました。たけしさんは「そういうわけで、NHK将棋講座でした」と発言しました。本当に将棋の歴史講座でした。

最終結果

加藤一二三九段の最終成績は、前回の最下位(16位)から大躍進の7位タイ。

最優秀生徒は川村優希さん。石川県の和倉温泉「加賀屋」のペア宿泊券をゲットしました。

番組は3時間でしたが、収録はもっと長くておそらく1日がかりだったはず。

加藤一二三九段、お疲れ様でした。スタッフ・出演者の皆様、楽しい番組をありがとうございました。また次回もよろしくお願い致します。

以上、この記事を読んでいただいた皆様も、最後までありがとうございました。

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コメント

  1. 匿名 より:

    今回、電王戦などにも出演していた、小藪一豊さんも出ていましたね。最後の升田幸三問題は不正解ではありましたが、「~~と、升田先生はおっしゃったのではないか」と発言していて、自然に棋士の事を『先生』と言ったあたりに将棋ファンの一端を見た気がしました。

  2. kewpiehoney より:

    いつも読んでマンモス。

    あの番組は娘と一緒に見ました。
    升田先生のGHQエピソードを見て「『月下の棋士』に載ってたやつだよね!」と驚いていました。

  3. 匿名 より:

    管理人さんは升田さんの「名人に香車を引いた男」を今すぐ読むべき!
    GHQのくだりをなんとなくと言われた辺りで未読だろうなと思いました。
    折角こんな立派なサイトを運営しているのにこの本を読んでないとしたら勿体無いです。

  4. 管理人 管理人 より:

    上の匿名様:
    コメントありがとうございます。
    小藪さん出ていましたね。記事でも触れようかなと思ったのですが最後の問題不正解だったので触れず・・・。そうですか「先生」と。聞き逃していました。あとは加藤九段のことを「ひふみん」と言っていた場面もありました。ですがほとんど絡みはなかったですね。でも結構強いはず(三段だったかと)。もうちょっと絡んでも良かったかなと思いました。

    kewpiehoney様:
    コメントありがとうございます。
    上の娘さんでしょうかね。しかし7歳(?)とかで月下の棋士を読んでいるとは。そっちのほうが驚きです。でもそれはいいことかもしれません。アンパンマンとか読んでても連合国総司令部のことを知ることはできませんから。平成教育委員会はクイズ番組とはいえ、記憶問題は少ないですしじっくり考えることができていいですね。

    下の匿名様:
    コメントありがとうございます。
    有名な本であることは存じております。その通り、未読です。将棋サイト運営者として恥ずかしい思いです。
    私は将棋ファンになって約1年半ほどです。このサイトを始める少し前ぐらい(サイト開設は今年1月です)から将棋界事情などに興味を持ち始めてきまして、その後いろんな方に書籍をおすすめいただきまして、順に読んでいるところです。「名人に・・・」も読ませていただこうと思います。今すぐは手元にないのでシルバーウィーク明けぐらいに読もうと思います。ご助言いただきまして、ありがとうございます。

    皆様コメントありがとうございます。

  5. 升田九段とGHQの下りをまとめた良記事がネットにあったので、管理人さんにお知らせしたいと思います。コメントのウェブサイト欄にURLを書いておきます。
    「名人に香車を引いた男」を入手されるまでは、この記事が参考になるかと思います。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。情報ありがとうございます。

      確かに、わかりやすく解説された記事でした。ありがとうございます。

      (ここからは銀のハンマー様への返信ではなく、ちょっとした所感です)

      ただ、ちょっと気になるのが、この記事、何を参考に書かれたかが書いてないんです。
      おそらく「名人に香車を引いた男」かその派生物を参考にしてライターの方が解釈して書かれたんだと思いますが。それか、広く知られた歴史的事実で、ライターの方にとっては「名人に・・・」を参考にするまでもないことなのか。
      仮にライターの方が「名人に・・・」を参考にしたとして。自分がその著者(つまり升田先生ですが)だったら、元ネタである自分の著書を明示せずにこういう記事が出ていたらやや気持ち悪い思いをするかも知れません。
      ネット上には大手のサイトであってもこういう記事がけっこうあって、元ネタの明示というのは一つ大事なことなのかなと思っていたところでした。もしこういうのが大っぴらに許されるならいろいろ問題がありそうで。もしこの辺の事情に詳しい方がいましたら、コメントかお問い合わせで教えていただきますと幸いです。

      (銀のハンマー様へ)
      せっかく教えていただいたのに変なことを返事して申し訳ありません。
      情報をいただいたことに感謝しております。お気を悪くされたら申し訳ありません。

      「名人に・・・」は近々入手予定。ますます読むのが楽しみです。

      今後共よろしくお願い致します。

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