新刊も絶好調、進化を続ける加藤一二三九段の棒銀

 こんにちは。フリーライターのアライコウと申します。

 今回で将棋ワンストップ様に寄稿するのは2回目ですが、前回の記事はかなり多くの方に読んでいただけたようで、ありがとうございました。今回もぜひお読みくださればと思います。

加藤棒銀の集大成

 加藤一二三九段が2015年6月13日、『無敵棒銀 加藤流熱血道場』(以下、無敵棒銀)を刊行しました。近年は『将棋名人血風録 奇人・変人・超人』『羽生善治論 「天才」とは何か』といった読み物を刊行されていましたが、戦術書では2005年刊行の『加藤の振り飛車破り決定版』以来かと思われます。

 さて、棒銀とは飛車先に銀を繰り出していく、初心者でも覚えやすい居飛車の戦法です。この棒銀のスペシャリストこそが加藤九段で、「加藤棒銀」という言葉が定着しているほどです。

 加藤九段はデビュー以来、何冊もの棒銀指南書を書かれていますが、数年前より「棒銀の集大成本を執筆している」と発表されていました。そしてこのたび、完成の日を迎えたわけです。出版元は木本書店。多くの棋書を刊行している出版社で、

ベストセラーよりもロングセラーに主眼を置いて編集されています。

とのことです。

サイン本が即完売

『無敵棒銀』は各書店、ネットショップで販売開始されましたが、とりわけ注目を集めたのが、将棋連盟デジタルショップでのサイン本販売でした。

 この将棋連盟デジタルショップでは、20冊ずつを数回に分けて販売されましたが、第1弾は15分、第2弾は36分、第3弾は26分、そして第4弾はわずか9分で完売したのです。税込み価格3,240円と、決して安い買い物ではないにもかかわらず、この人気ぶりはすごいの一言。

 実は私も第2弾のときに購入したのですが、販売開始の午後9時になった瞬間に購入ボタンを押しました。無事に購入できてホッとしていたところ、残り在庫数を見てみると、確か13冊くらいだったと記憶しています。開始と同時に購入した人が、他にもいたわけです。その後もページを更新するたびに在庫数が減っていくので、とても驚きました。

素晴らしい新手

『無敵棒銀』は加藤九段の棒銀快勝譜を主に掲載していますが、私が発売前から気になっていたのが、最近の加藤九段がよく語られる「棒銀の素晴らしい新手を思いついた」というものです。

 その新手は2011年12月20日に行われた、第70期順位戦の対千葉幸生六段戦で登場しました。

kifu2015062420111220加藤千葉-43手

 ▲3六飛と、飛車を浮いたのが新手でした。直接の狙いは▲3七桂と跳ねて、より力を溜めて攻撃しようというものです。この新作戦についても書かれていましたが、事前の研究ではなく当日思いついた手だったとのこと。

kifu2015062420111220加藤千葉51手

 さらに局面が進み、2枚目の銀も攻撃に参加します。飛車がボディ、銀が両翼、桂馬がエンジン。加藤九段はしばしば重戦車だと形容されますが、この形はまるでジェット機のように美しいと私は思っています。

 この対局は最後まで難しい展開が続きましたが、加藤九段が勝利を収めています。新手が奏功したのは間違いないでしょう。また「さかのぼって私がどこかで改良すると、この将棋は指しやすくなると考えている」とも書かれています。実際にその後の順位戦などでも採用されており、私も「どこで変化するのかな?」とワクワクしながら棋譜中継を見ています。

対振り飛車急戦は有力

 玉の囲いもそこそこに、いち早く仕掛ける戦い方が急戦です。対振り飛車の棒銀もこれに分類されます。しかし玉を固く囲ってから戦うというのがプロ間では多数派のようで、加藤九段のように振り飛車に急戦で挑む棋士は、少数派と言えます。それでも加藤九段は棒銀の可能性を追求し続けます。

最近はあまり指されていない戦型ですが、考えてみるといろいろな発見があり、改めて急戦は有力な作戦だと思いました

 先日開幕した第74期順位戦で、加藤九段と初戦を戦った門倉啓太四段は、終局後にこうコメントしました。これからも対振り飛車急戦、そして棒銀の新たな戦い方を、加藤九段が開拓されることを楽しみにしています。

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 この記事を書いた私(アライコウ/@araicreate)は、将棋小説「俺の棒銀と女王の穴熊」を、タイトル戦の中継でもおなじみのニコニコチャンネルにて連載しています。

リンク(ニコニコチャンネルへ)

 学生の部活としての将棋をメインに描いていますが、現在はプロ棋士に焦点を当てた短編を連載中で、今夏にはそれらをまとめた新刊をリリース予定です。おかしなタイトルですが真剣に将棋を扱っていて、またラブコメ要素を交えており、中学生以上を対象年齢にしています。

5巻表紙線画

 これは、最新巻表紙の線画です。タイトル戦の最中におやつを食べる……将棋ファンにはおなじみの光景を取り入れてみました。ご興味がおありの方は、リリースされる日をお待ちいただければと思います。

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コメント

  1. のじ より:

    タイトルを見たときいかにも管理人さんが書きそうにないところだなと思ったら当たってましたw

    加藤先生はエキセントリックなキャラクターばかりが注目され、俄かファンとしてはここ最近の風潮は好きになれなかったので
    このライターさんの文章からそういった視点から離れた加藤将棋の魅力が伝わってきて非常に嬉しく、また勉強になりました。

    新刊とライターさんの小説の方もチェックしてみようと思います。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。管理人です。

      私の傾向をつかむとは、なかなかマニアックですね。と同時に、やはり私の書けることは限られているので、このように寄稿いただくことは閲覧して下さる方にとっても有意義なことだと再確認しました。

      私は私で、棋力向上などに務めましてバラエティに富んだネタで書けるように致します。そうなんですよ、私も本当はもっと戦術とかの記事を書きたいんですが。棋力が追いつかないです。

      よろしければ、小説の方の感想もありましたら、コッソリでも構いませんので教えてください。

      コメントありがとうございます。

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