JT杯で史上初の持将棋が成立、297手の激闘。その5分後に指し直し、75手で渡辺明JT杯が行方尚史八段を破る

2015年9月5日の将棋日本シリーズJT杯プロ公式戦2回戦第2局で、同棋戦史上初となる持将棋が成立しました。

対戦カードは▲行方尚史八段vs△渡辺明JT杯覇者(棋王)。

行方尚史八段は昨年NHK杯で、同棋戦15年ぶりの持将棋(vs澤田真吾五段)を成立させています。また有名な出来事としては2004年度のB級1組順位戦(vs中川大輔八段)で千日手と持将棋によって2回指し直しを行い、23時間の激闘を演じたことが知られていますが、またしても持将棋がらみで将棋界を賑わせることになりました。

東北、青森県弘前市出身で粘り強い。

詳しい棋譜はJT杯公式サイト、または日本将棋連盟モバイル(本局は無料中継)で御覧ください。

戦型は矢倉に

戦型は矢倉。先手の行方尚史八段が早囲いを目指す。

20150905-29手

お互い囲ったところで後手の渡辺JT杯が仕掛ける。

20150905-42手

お互いに攻めの銀と守りの銀を交換し、銀2枚ずつを持ち合う展開に。

20150905-67手

先手が攻めるも、まず後手玉が自陣を脱出。

20150905-102手

飛車を取られても一目散に敵陣へ。

20150905-108手

後手は敵陣に囲いが完成。この時点で、プロの将棋の平均手数を軽く超える126手に到達。

20150905-126手

先手も脱出経路を開拓。

20150905-177手

中央からの敵陣へ。あとは点数をめぐる勝負へ。この時点で243手。

20150905-243手に。

先手、最後の攻撃(自陣の敵玉に)。

20150905-263手

しかし最後の望みも葬られる。持将棋となることが決定的に。270手。

20150905-270手

以下の局面で持将棋が成立。297手でした。

20150905-297手

持ち時間10分、切れたら1手30秒(+5分の考慮時間)という早指しなのに3時間超えの激闘。

それでも5分後に指し直しとなりました。

持将棋については、日本将棋連盟ホームページにの対局規定に、持将棋の項目がありますのでご参考に。

互いに敵陣に玉が入り、どちらも相手の玉を詰ます見込みがなくなった場合は、両対局者の合意で「持将棋」となり、無勝負とする。
持将棋が成立するには、大駒1枚を5点、小駒1枚を1点として数え、両対局者の点数が各々24点以上なくてはならない。
24点に満たない対局者は負けとなる。
ただし、両者合意に至らない入玉将棋については次項の「入玉宣言法」が適用可能となる。(※)

最後の「入玉宣言法」は、点数計算によって決着をつける方法。詳しくは上記リンクから。また、今年5月には世界コンピュータ将棋選手権で史上初の入玉宣言法による決着がなされています。

Selene、史上初の入玉宣言法による勝利を達成。世界コンピュータ将棋選手権

JT杯といえば

JT杯は、その名の通りJT(日本たばこ産業株式会社)が協賛する公式戦。

早指し戦で、大勢のお客さんの前で対局する珍しい棋戦です。対局のとなりで大盤解説も行われます。しかも早指しなのに途中で「封じ手」があり、その「封じ手」が「次の一手クイズ」としてお客さんに出題されます。

とはいえ公式戦なので、対局者どちらも負けるわけにはいかなかったのだと思います。その結果が持将棋。

そしてこのJT杯、対局後には、勝者がお客さんと「握手会」をするという嬉しいサービスもあります。

お疲れ様でした

通常、夕方ぐらいには対局は終わり、お客さんは棋士と握手をして会場を去るものですが、持将棋、指し直しとなると会場はどんな感じだったのか。

お子さんも多く来場されていたはず(直前にこども大会がある)。大人が本気になったらどうなるか、見せつけられたのではないでしょうか。

なお指し直し局は最初から1手30秒で行われ、わずか75手、40分ほどで終わったようです。戦型は角換わりで、先手の渡辺明JT杯が制し、準決勝進出を決めました。

現地解説の山崎隆之八段、聞き手の中村桃子女流初段、読み上げの山口恵梨子女流初段、また関係者の方、長い間お疲れ様でした。

対局者のお二人もお疲れ様でした。

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コメント

  1. 松山太郎 より:

    松山から遠征し,現地で見てました。
    持将棋局は15時から18時過ぎまでかかり,皆,固唾を飲んで見守っていました。山崎さん・中村さんの解説で大盤を見ていると,突然,対局者が喋り出し,持将棋が成立したのに気づきした。その瞬間の対局者を見損なったのは心残りです。
    当日指し直しが宣言され休憩時間になると,親子連れの半分くらいが帰ったように思います。私も迷いましたが,帰りの”船”の時間を気にしながら観戦を続けました。展開が早く,19時前に決着がついたのを見届けて会場を後にしました。(山口さんや中村さんの”握手会”だったら残ったと思いますが。。。)
    山口さん,最後は疲れたのか,秒読みの声がちょっと怪しくなってきました。子供大会の決勝2局,持将棋局,指し直し局と500手以上の読み上げですから,仕方ないと思います。行方さんは,指し直し局では持将棋局を引きずっていましたね。時々,天井を見上げていました。
    スタッフは反応が色々でした。司会はさすがの営業スマイルで仕切り直し,アシスタントは少々ご立腹?,会場整理は無表情で淡々とこなしていました。
    ニコ生は手軽ですけど,現地もいいですね。次の香川大会も面子が凄いので行きたいのですが,スケジュールが。。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      遠征お疲れ様でした。なるほど、松山から現地広島は船旅ですか。そしてご報告ありがとうございます。

      そうですよね、さすがに3時間以上の戦いのあとに、もう1局となると、親子連れの方は、いつ終わるかもわかりませんし帰宅はやむなしだと思います。

      あの壇上での読み上げは、山口女流は休めないですし大変ですね。別の女流棋士の方も言っていましたが、ああやって読み上げるのは大変なんだそうですね。読み上げる機会ってテレビ棋戦とかこういうイベントぐらいしかないのもありますし、500手(!)も読んでいれば疲れるでしょう。

      おそらく会場の都合(撤収とかの手配など)もありますし、スタッフは大変だったと思います。渡辺JT杯はブログによれば、持将棋局は投了も覚悟だったとか、本人も新幹線にギリギリ間に合ったとか。

      松山から香川って同じ四国だから近いかと思ったらそうでもないんですね。むしろ広島のほうが近い。地理を勉強し直します。メンツ、たしかに豪華。JT杯は私もお気に入りです。気軽に行きやすい雰囲気ですし。JTの飲料事業撤退で、来年以降どうなるか心配ですが。

      コメントありがとうございます。

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