情報処理学会のコンピュータ将棋プロジェクトが終了。NHKが「コンピュータ将棋 終了宣言へ」と報じたので誤解を招きそうですが・・・

NHKの報道によれば、情報処理学会の50周年記念事業の1つである「コンピュータ将棋プロジェクト」が終了するとのことです。

2015年10月11日付で下記サイトに終了宣言文がリリースされると思います。

コンピュータ将棋プロジェクト(一般社団法人 情報処理学会)

NHKは午後6時からのニュースなどで「『コンピュータ将棋』 終了宣言へ」と見出しをつけていましたが、これかなり誤解を生むような書き方だと思います。

あくまで情報処理学会という1団体の、1つのプロジェクトが終了した、というだけですので。

始まりは2010年

上記の情報処理学会のサイトには、2010年4月2日付で、当時の米長邦雄日本将棋連盟会長への「挑戦状」が掲載されています。

挑戦状には、当時の白鳥則郎情報処理学会会長名で

コンピュータ将棋を作り始めてから
苦節三十五年
修行に継ぐ修行 研鑚に継ぐ研鑚を行い
漸くにして名人に伍する力ありと

などと書かれており、それを受諾する米長会長の文章には

いい度胸をしていると
その不遜な態度に感服仕った次第

などと書かれています。

目的を達成した

挑戦を終了する理由は同学会のプロジェクトが「目的を達した」ためであるとのこと。

同学会の計算によると、

最強のコンピューターソフトの実力は、去年7月の段階で、プロのA級10人の平均を上回り、推定の勝率が63%、ことしの2月にはプロの中で最もレーティングが高い羽生四冠と並んだ

とのこと。

プロジェクトの責任者である公立はこだて未来大学の松原仁教授は、NHKのニュースの中で以下のように発言されていました。

松原教授「4、5年先だと、大変申し訳ない言い方ではありますけれども、コンピュータの方がもう圧倒的に人間より強くなっていて、対戦する意義がもはやないのではないかと。挑戦させていただいてありがとうございました」

それに対する日本将棋連盟のコメント。

現在はプロ棋士もコンピューターソフトを研究ツールとして活用しており、これからも技術向上の手助けをしてくれるパートナーとしてよい関係性を持続していきたい

学会のプロジェクトが終了

おそらく学会としては、「プロ棋士に勝つ」という目標は達成したか、少なくとも4、5年後には「圧倒的に」達成する見込みであるという判断だと思います。

つまりプロジェクトを維持する意味がなくなったということだと思います。

目的がなくなれば学会としてはそこにお金や人をかけていられなくなるので、撤退するのは当たり前の話なのかなと思いました。5年前の目標設定の通りに。

この情報処理学会の1プロジェクトが終了することを、NHKが「『コンピュータ将棋』 終了宣言へ」と報じたので大げさに聞こえますが、現在のコンピュータ将棋が主戦場としている「コンピュータ将棋選手権」を開催しているのはコンピュータ将棋協会であり、「電王戦」を主催しているのはドワンゴなので、「コンピュータ将棋終了宣言」みたいに聞こえる報道はちょっと違和感ありましたね。

やっぱり

ということを漠然と思っていたら。強豪コンピュータ将棋ソフトAperyの開発者、平岡拓也さんが以下のようにツイートされていました。

平岡さんのツイートを見ると、情報処理学会は現在開発には関与していないらしい。

Aperyの開発に参加している杉田歩さん。

なのは将棋の開発者のかずさん。

影響は軽微か?

2010年時点でコンピュータソフトvs棋士の対局の実現にこぎつけたのは情報処理学会の功績といえるかもしれませんが、ちょっとその後の活動はよくわからないです。そもそも情報処理学会の「コンピュータ将棋プロジェクト」のページ、2010年12月22日のリリースを最後に、更新が止まっている・・・?

そういうことで、この情報処理学会の「終了宣言」が現在のコンピュータ将棋業界に与える影響は少ないんじゃないかと思っています。(管理人の見解です)

また、何か情報を得ましたら、お伝えしていきたいと思います。

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コメント

  1. 匿名 より:

    「平岡のツイートを見ると」って呼び捨てですか

    • 管理人 管理人 より:

      ご指摘ありがとうございます。

      大変失礼致しました。

      修正致しました。申し訳ございませんでした。

  2. 長さん より:

    実際。コンピュータが名人クラスと対局した跡が現時点では乏しいため。
    松原教授の御意見には反対。最強コンピュータの推定レ-ティングには、
    優良データが不足しているため、少なくとも誤差は有ると私は思います。
    笑点の桂歌丸師匠の言と同じですが。
    やっぱり、人間の名人クラスが。実際に2連敗等するのを見るまではね。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      プロジェクトの責任者としては、プロジェクトを存続させるか終了させるか決めなければならないですし、終了させるとすればそれなりに理由の説明が必要なのであのようなことを述べていると解釈しました。私もレーティングは信用していない部分もありますが、それ以外に客観的な説明が難しいということだと思います。
      え、歌丸師匠がそんなこと言ってたんですか。なるほど。

      コメントありがとうございます。

  3. ひろ2 より:

    管理人さんが書かれたように、情報処理学会は第1回電王戦に関わりました。あからという合議機能で動くソフトに、自陣営にいたGPS将棋とともにこの時は主体的に参戦したようです。その後は不明で、最後はコンピューター将棋のデータの情報処理をやっていただけではないかと思います。
    影響はほとんどないように見えます。

    • 管理人 管理人 より:

      補足ありがとうございます。

      現在活躍されているコンピュータ将棋ソフト開発者の方々の意見をみても、情報処理学会の動きというのはよくわからないみたいですね。そのプロジェクトに、年間どれぐらいの予算がついていて、何人が関与していたのかわかりません。情報処理学会の学会誌を見ればもう少し詳しいことがわかるのでしょうが。

      でも情報処理学会としては、終了が大々的に報道されることで、最後に存在感を示したというか、良かった点もあったのかもしれません。
      コメントありがとうございます。

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