ハッシーこと橋本崇載八段、将棋連盟の理事選挙で10人中6位の次点だった。連記の選挙制度で50%の棋士の支持を得る

2015年6月4日に行われた日本将棋連盟の棋士総会では、7人の新しい理事(役員)が選出されたのですが、それに先立って行われた「役員予定者予備選挙」では、橋本崇載八段が善戦していたことがわかりました。

(「役員予定者予備選挙」は、たぶんこれが事実上の本選挙であり、棋士総会では拍手によって予備選挙通過者を承認するセレモニーが行われるだけ、だと思います)

理事選挙の大まかな結果は以下の記事を参照ください。

日本将棋連盟の新役員が決定

東京では10人が立候補

雑誌「将棋世界」の2015年8月号には、この総会の様子が掲載されています。田丸昇九段による「盤上盤外一手有情」の記事です。

日本将棋連盟の常勤の棋士理事の定員は7人。内訳は東京が今回1人増えて5人、関西が2人です。

この記事によれば、関西は立候補者が定員と同じ数だったので信任投票のみだったとのこと。

一方、東京は以下の10人が立候補したとのことです。

青野照市九段(現職)
島朗九段(現職)
中川大輔八段(現職)
片上大輔六段(現職)
西村一義九段(元職)
田中寅彦九段(前職)
桜井昇八段(元職)
橋本崇載八段(新人)
真田圭一七段(元職)
佐藤秀司七段(新人)

10人で5枠を争う選挙の結果、島九段、青野九段、中川八段、片上六段、佐藤七段が当選(得票順)。この当選者5名の得票数については「100票を超える得票」と表現されています。

投票権を持つ連盟の正会員(棋士など)は232人ですが、総会に参加したのは185人(委任状含む)だったそうです。

ということは、仮に100票獲得した候補者は、投票者のうち54%以上に名前を書いてもらったことになります。

次点

当選者の5人に次ぐ得票数だったのが橋本崇載八段。「90票台の得票」ということで、50%前後の人が橋本八段に投票したと思われます。

どう思われるでしょうか。

私(管理人)は正直、驚きました。理事経験のある先輩方を抑えての次点ですし、半数の投票者が橋本八段に投票したのです。後述しますが、橋本八段は総会の後に政治からの引退を表明しています。申し訳ないのですが、選挙でボロ負けして引退を決意したのかなと思っていました。しかしこの結果は善戦と言えると思います。

選挙制度

日本将棋連盟の理事選挙の制度について、詳しいことはわかりませんがある本に「連記投票」だと書いてありました。

連記制にもいろいろあり、例えば5人の枠に対して、各有権者が(枠と同数の)5人の名前を書いて投票するのは完全連記制と呼ばれます。一方、5人の枠に対してそれ以下(例えば3人)の名前を書いて投票するのは制限連記制と呼ばれます。

完全連記制だと、ある一グループが議席を独占できる可能性が高くなります。例えば考え方の近い5人の有力な候補者がグループを組み連携し、それぞれの支持者にこの5人の連記を呼びかけることで5人全員が当選する可能性が高まると思われます。そういう意味では、連記投票制度下では事前の根回しが重要そうです。

また、こうやって選挙前から考え方の近い候補者たちが連携しておけば、当選後の組織運営も安定すると思います。逆に、グループを結成しない、根回しがうまくない、あるいは考え方が少数派の候補には厳しい制度といえそうです。

4人か5人の連記

今回の理事選挙が完全連記なのか制限連記なのかはわかりません。上記のある本には完全連記制だと書かれていて、しかし近年の選挙では制限連記制が採用されていると見たことがあります。

今回の場合、当選者5人の得票数がそれぞれ100票以上、次点の橋本八段の得票数が90票以上なので、少なくとも590票は存在します。投票者は185人だったので、少なくとも1人あたり4票はあったことになります。つまり完全(5人)連記制か4名連記制かいずれかということになると思います。

いや、もしかしたら関西所属の棋士は東京枠への投票権はないんですかね。だとすると総会出席者のうち40人が関西所属として(適当)計算すると、完全連記制じゃないと辻褄が合わないことになります。

多人数の連記制は少数派に厳しい

5人(完全)連記にしても4人連記にしても、有力な候補者がグループを組んで連携することは有効です。

一方、2人とかの少人数の連記とか、連記制ではない選挙制度下だとグループによる連携に限界があり、少数派が当選できる可能性が高まると言えそうです。連記する人数が多ければ多いほど多数派グループが議席を独占できる可能性が高まるので、少数派には厳しい戦いとなります。

ただ、これが選挙制度の欠陥かというと、そうではないと思います。議会の選挙と違って、この場合は組織運営を担う役員を決める選挙ですから、役員間で考え方の大幅な違いがあっては運営が立ち行きません。そのために連記制を採用し、事前調整を経なければ当選し難いようにしてあるのだと思います。

国で言えば、理事は国会の構成員ではなくて内閣の構成員のはずですし、民間企業の取締役の選任についても、一人ひとりの選任ではなくて、取締役全員の選任が1つの議案として株主総会に提出され採決されるのが一般的です。

多くの支持

上記のように、この選挙制度下では候補者がグループを組まないのはあり得ないのだと思います。落選した5人全員か、一部はグループを形成していた可能性が高いです。しかも落選した5人の中で橋本八段が最も得票を得たということは、グループのリーダー格だった可能性もあります。

単独行動で選挙に臨んだ可能性もありますが、そうであれば90票台という数字はかなり多くの支持を得たといえるのではないでしょうか。

橋本八段は当選はなりませんでしたが、選挙戦においては最大野党のリーダーだったといえそうです。もちろん、田丸九段が書いているように、

理事選挙が終われば「ノーサイド」(敵も味方もない)として、今後は新理事会に協力していく姿勢は持つべき

と思います。

公約

なお、橋本八段の公約は下の記事で触れています。

橋本崇載八段が電王戦のハメ手に「ガッカリした人がいないか心配」

髪を染めたり物議を醸すようなことはしない
愛好家のみなさんや協賛企業との連携を強化し一層の普及に邁進
新棋戦の創設も念頭に置いて営業努力

また、田丸九段の元に橋本八段から届いた挨拶状には

髪を黒く染めただし、全力を尽くして将棋界の未来をよりよいものにすべく、攻めの政策でまいりたいと存じます

という決意が述べられていたとのことです。

「髪を黒く」という公約で、この支持を得られたということはある意味すごいです。

それでも引退

なお、橋本八段はこの善戦にも関わらず、今回限りでの政治からの引退を表明しています。

橋本崇載八段が政治からの引退を表明。理事選挙で落選し、思いを後輩に託す?

今後は棋士としての本業のほか、タレントとしても活動されるとのこと。実際、最近多くのメディアに出演しています。確かに、ハッシーにしかできない活動というのはあり、それは期待しております。

この記事の選挙制度の部分については、深く調べたわけではなく間違っている部分もあるかもしれません。ご指摘いただけますと幸いです。

以上、ありがとうございました。

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コメント

  1. 観る将リーマン より:

    私も、将棋界の理事選の仕組みは、良くわかりませんが、今回のハッシーの善戦は、正直予想外でした。
    かなり期待を集めていたのに、ふたを開けたら、惨敗であの発言になったと思ってたので。なんか、もったいない気がするんですけどね。

    一方で、とるいち先生の頑張りには感銘を受けてます。
    専務理事として大変にも関わらず、
    唯一の60代B級で順位戦2連勝は立派ですわ。

    どちらもそれぞれの立場で将棋界をよりよくしてもらいたいものです。

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      あの発言はだれだって惨敗だと思いますよね。ただ、数字としては惜しいかもしれないんですが、やはり連記制度下では当選するとしないでは事前の調整段階で決着がついていたと思いますから、そこには歴然たる差があったとは思います。いや私は橋本八段が単独行動じゃなさそうだということだけでなにかほっとしました。仲間内での投票ですから、落選時の失望が大きいのもわかります。

      いろいろ考えておられるようですし、別の方面でも活躍してほしいです。ただ、ちょっと何本かラジオとか拝聴させていただきましたが、少しトークにキレが・・・、まだまだタレントとしては新人なのでこれからいろいろ勉強が必要そうですね。

      青野九段はすごいですよね。本当に。人格者だと聞きますし、尊敬する方です。

      コメントありがとうございます。

  2. 名無し より:

    田中寅彦先生も94票と言うツイートがありましたので、橋下先生と同数ですね、
    橋下先生は、田中誠と同期だったので、その縁で、チームだったのでは無いかと予想

    • 管理人 管理人 より:

      コメントありがとうございます。

      え、そんなツイートがあったんですか。知りませんでした。94票って。
      田中九段と橋本八段、政策の共通点はあったのか・・・。あの2人が政策調整していたと思うと面白いんですが。髪を黒く染める以外にどういう政策だったのか。

      コメントありがとうございます。

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